広い背中づくりに欠かせないのは、その名のとおり『広背筋』の発達です。
一口に『広背筋』といっても広背筋の起始は多数あるので、大別すると『広背筋上部』『広背筋下部』に分ける事ができます。
広背筋上部
広背筋下部
本日の主役は広背筋上部です。広背筋上部を刺激するコツや種目例を紹介します。
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広背筋上部を刺激するコツ
今一度、広背筋上部の位置を確認します。↓
この部分を重点的に刺激するには、以下の動きが大切になります。
肩関節の内旋
肩関節の水平外転(水平伸展)
多くの筋電図研究で、これらの動きで広背筋上部が比較的活発に活動する事が確認されています。
ラットプルダウンやプルオーバーにこれらの動作を組み込む事で、広背筋上部の収縮を強める事ができます。
肩関節の内旋
以下の様に、上腕を内に捻る(内旋)動作です。
肩関節の水平外転(水平伸展)
以下の様に、上腕を水平位にして後方に引く動作です。
肩関節の内旋や水平外転(水平伸展)をラットプルダウンやプルオーバーの動きに加えるわけですが、イメージがわかないと思います。こんなマニアックな動きは日常動作で行わないですから(笑)。
実は、ボディビルディングの規定ポーズ『バック・ダブル・バイセップス』のプレアクションで見る事ができます。動きがマニアックですから例えもマニアックになります(笑)。
『バック・ダブル・バイセップス』とはこんなポーズです。↓
バック・ダブル・バイセップスポーズ
このポーズのプレアクション(ポーズをとる前の動き)に、一旦、両腕を真上に上げてラットプルダウンの動きを行なうものがあります。
この時に肩関節の内旋と水平外転(水平伸展)も同時に行なう選手がいます。こんな感じです。↓
2019 Mr. Olympia Brandon Curry選手(1:59~2:02)
出典:BodyOfLegendsチャンネル Brandon Curry Posing Routine | Mr. Olympia 2019 Finals
Nathan De Asha選手(1:08~1:11)
出典:Muscular Development Magazineチャンネル Nathan De Asha's Posing (2nd Place in Open) | 2019 IFBB Vancouver Pro
Ahmad ashkanani選手(1:00~1:04)
出典:MBWFtvチャンネル Mr. olympia 2019 Live 212 Finals | Ahmad ashkanani winner
Maxx Charles選手(1:08~1:15)
出典:Milos Sarcevチャンネル Maxx Charles at the 2020 Arnold Classic prejudging
以上のように、このプレアクションでガッツリと背中を収縮させてから『バック・ダブル・バイセップス』ポーズを決めています。
出典:MBWFtvチャンネル Mr. olympia 2019 Live 212 Finals | Ahmad ashkanani winner
実際に行なって頂くとわかりますが、普通にラットプルダウンの動作を行なうよりも強く広背筋上部が収縮します。具体的な種目例を紹介します。
広背筋上部を強調した種目
いくつかwebの動画から例を示します。
例1:ラットプルダウン+肩関節の内旋
ラットプルダウンに肩関節の内旋を加えたパターンです。
Chris Zarembaさんの実施例
出典:Chris Zarembaチャンネル Back - Lat Pulldown Leanback (B42)
Justin Harrisさんの実施例
出典:Justin Harrisチャンネル Justin Harris "Troponin" pulldowns
Ryan Humistonさんの実施例(1:05~1:18)
出典:Ryan Humistonチャンネル Lat Exercises YOU'RE DOING WRONG! (Build A Wider, Thicker BACK)
これらを実施する場合、個人的には座る位置は前では無く少し後ろ側に座って行った方が効きが良いです。
例2:プルオーバー+肩関節の内旋
ケーブル・プルオーバーに肩関節の内旋を加えたパターンです。
Brandon Curryさんの実施例(5:27~6:40)
出典:Muscular Development Magazineチャンネル IFBB Pro Brandon Curry Trains Back 4 Weeks Out from the 2014 Arnold Classic
ワイドグリップ、かつ肘を曲げて行う事で肩関節の内旋が強調されます。
また、上体の動きも連動させて可動域を増加させています。引きながら上体を立てる事で短縮側の可動域を増加させ、戻しながら前傾する事で伸張側の可動域を増加させています。
しかも、体重を乗せながら戻す事で伸張刺激をしっかり入れている事が見て取れます。
ワザ有な実施例です。
例3:ラットプルダウン+肩関節の内旋と水平外転(水平伸展)
ラットプルダウンに肩関節の内旋と水平外転(水平伸展)を加えたパターンです。
Brandon Curryさんの実施例(2:50~3:41)
出典:mountaindog1チャンネル Brandon Curry 3 Way Lat Pulldown For a Crazy BURN
こちらも2019 Mr. Olympia Brandon Curryさんの発案です。以下の3パターンのラットプルを連続で行なっています。
比較的内旋重視のラットプルダウン
↓
内旋+水平外転混合のラットプルダウン
↓
水平外転重視のラットプルダウン
しかもこれ、力発揮が弱い→強い順に並んでいるのでメカニカルドロップセットになっています。
メカニカルドロップセットとは重量を変える事なく行えるドロップセット法です。利点は、中断なく連続して筋収縮を延長ができる点です。過去に記事にしています。ご参考。↓
続きを見る
【筋トレ】パンプを促すメカニカル・ドロップセット法:上腕三頭筋編
続きを見る
【筋トレ】パンプを促すメカニカル・ドロップセット法:肩(三角筋)編
水平外転(水平伸展)動作のコツは『肩甲骨を寄せる』意識ではなく、弧を描くイメージで『両肘を中央に寄せる』意識で行なう事です。
これもまた、座る位置は少し後方の方が良いと個人的には思います。
以上です。
余談ですが、ボディメイクの観点でいえば、種目を『マス系種目』『形をつくる種目』に分ける見方があります。
『マス系種目』とは高重量を扱い、その部位の筋量を全体的に大まかに得る種目といえます。いわゆる基本的な種目が多いです。
少しの反動動作は気にせず使い、ストリクトでは扱えない高重量の負荷を断続的に筋肉に与える行い方もアリです。
通常のラットプルダウンは『マス系種目』といえます。全体的に背中の筋量を獲得できる種目です。
ですが、今回紹介した種目は『形をつくる種目』に分類されます。
経験的に実感してきた事ですが、『マス系種目』だけでは、同じ部位であってもどうしても発達が遅れる箇所が出てきてしまいます。
『形をつくる種目』とは、同じ部位でも『マス系種目』だけでは刺激しきれない・刺激が乏しい箇所を狙って刺激し、その人が本来持っている筋肉の形を最大限に発達させるために必要な補助種目といえます。
※生まれ持った筋肉の形、そのものを変えるという事ではありません。それはできません。例えば、縦長の腹直筋を横長に変える事は絶対にできません。
ですので、『形をつくる種目』は的確に効かせる事が大前提で、それが実現できる重量を扱います。高重量に拘りません。とはいえ、漸進性の原則は重要なので、その重量を少しずつ伸ばしていくスタンスで取り組んでいきます。
ホントは、もう一つ普段行っている効きが良い広背筋上部の種目を紹介したかったですがコロナ禍でジムに行けず、写真もとれず。。。また別の機会に紹介します。早くジム再開しないかな。
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