前回の記事では、重量や反復回数が伸びにくい種目に対して、使用重量の増加で過負荷を掛けていく方法を紹介しました。
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【筋トレ】重量・反復回数が伸びにくい種目で過負荷をかける方法(1/2)
本日は別の方法を紹介します。
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過負荷の掛け方は重量以外にもある
前回の記事でも触れましたが、『負荷』といえば一般的には『使用重量』のことになります。ですが、使用重量以外にも過負荷の掛け方はあります。
筋肉にとって負荷になるもの
そもそも、なぜ筋肥大が起きるのか?
それは、ストレスに適応しようとするからです。筋肉にストレスが与えられ、それに適応しようと筋肉が肥大します。
ストレスとは何か?
それは、不慣れなことです。
自分に置き換えて想像してみて下さい。仕事でもプライベートでも不慣れな課題を与えられた時、ストレスを感じます。自分の現在の能力以上の事を求められた時にストレスを感じるはずです。
そして、この様な状態の時、『仕事量が多くて負荷がかかっている』などと表現します。
筋肉も同じで、ストレスである「不慣れな課題」「現在の能力以上の課題」が『負荷』になります。使用重量はその一部に過ぎず、使用重量の伸びに拘らなくても良いことになります。
Bret Contrerasさんの記事やBrad ShoenfeldさんのInstagramで、筋肉の負荷になるものが複数紹介されています。私の経験則も含めて書き出します。↓
使用重量
- 同じ反復回数で使用重量を増やしていく。
- 自体重を利用した種目で、同じ反復回数で体重を増やしていく。
反復回数
- 同じ使用重量で反復回数を増やしていく。
セット数
- 同じ『使用重量×反復回数』でセット数を増やしていく。
トレーニング頻度
- 対象筋に対する週当たりのトレーニング量を増やしていく。
努力度
- 同じ『使用重量×反復回数』をより低い努力度(主観的感覚で構わない)でできるようにする。
可動域
- 同じ『使用重量×反復回数』で可動域を増やしていく。
フォーム
- 同じ『使用重量×反復回数』をより良いフォームでできるようにする。
※より良いフォーム
ボディメイクや筋肥大の場合、対象筋により負荷重量がのるフォームといえる。
マインドマッスルコネクション
- 同じ『使用重量×反復回数』で対象筋の筋収縮を高めていく。
- 同じ『使用重量×反復回数』をよりコントロールしてできるようにする。
時間
- より短い時間で同じトレーニング内容をこなせるようにする。(セット間や種目間の休息時間を短縮する等)
- 同じ時間内でより多くのトレーニング内容をこなせるようにする。(セット間や種目間の休息時間を短縮する等)
体重
- 減量しながら減量前と同じトレーニング内容をこなせるようにする。
筋肉の連続的緊張時間
- 同じ『使用重量×反復回数』を1反復当たりに時間をかけてこなせるようにする。(スロー法、アイソテンション法、1.5レップ法など)
挙上スピード
- 同じ『使用重量×反復回数』で挙上スピード・加速度を上げていく。
上級者向けトレ手法の導入
- 同じ『使用重量×反復回数』を実施した後、ドロップセット法やレストポーズ法などを使用して、反復回数を延長していく。
以上の様なものが筋肉に対して『負荷』になり得ます。
『過負荷を掛ける』の程度について
『過負荷を掛ける』とは、どの程度のものか?
前回(又は以前)より上回っていて、その日に頑れば達成できそうな程度で良いです。
使用重量や反復回数を負荷とした具体例をあげると以下になります。
- 毎トレーニングで、各セット、前回反復回数+1回以上を目標に取り組む。
- 10回できたセットは次回トレ時の同セットで、1~2.5kg程度増やして10回を目指す。
- 10回できなかったセットは次回トレ時の同セットで、同重量のまま10回を目指す。
この程度の過負荷掛けで、私やクライアント様は確実に筋肥大してきました。
低体力者や初心者の方でしたら、その程度をさらに緩くしても良いです(毎トレーニングでは無く、3回目のトレーニングで過負荷を掛けるなど)。
高い過負荷掛け(その時の筋肉の能力からかけ離れた課題を課す)も自分自身で経験してきましたが、体が疲弊して機能が低下するからなのか、記録は伸びて行かないし、肥大反応もイマイチでしたし、肥大しても直ぐに頭打ちになってしまいました。
以前より上回っていて、その日に頑ればクリアできそうな過負荷掛けで十分だと思っています。
伸びにくい種目の過負荷の掛け方【負荷≠使用重量の場合】
やっと本題です。いつもすみません(笑)。
前項で、筋肉の負荷は使用重量だけでは無く、他にも多くあることを説明しました。
ですが、それらの殆どが、使用重量や反復回数が伸びにくい種目にとって不向きな負荷で、結局直ぐに伸びが停滞してしまったり、中・上級者とって当たり前に実践しているものであるため、長期間の適用(数ヶ月単位の適用)が出来るものではありません。
それでも、使用重量や反復回数が伸びにくい種目に対して、確実に過負荷を掛けることができるものがあります。
それは、『セット数』『上級者向けトレ手法の導入』『トレーニング頻度』です。
これらは使用重量や反復回数が伸びにくい種目でも長期間の適用(数ヶ月単位の適用)ができ、こちらの計画通りに段階的な過負荷が確実に掛けられます。その種目の実施時間は長くなってしまいますが。。。具体例です。↓
セット数を増やしていく
伸びにくい種目のセット数を段階的に少しづつ増やしていきます。
月に2セット程度(2週に1セット程度)増やして行けば良いと思います。その方の体力や回復力、費やせるトレーニング時間によっては月に1セット増加でも構わないと思います。
これを3ヶ月程実施します。3ヶ月後には、伸びにくい種目のセット数が3~6セット増加していることになります。
参考として、類似の過去記事を添付します。
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【筋トレ】『総負荷量』で過負荷を掛けて筋肥大を促進する
総レップ法で反復回数を増やして行く
これは個人的に好んでいる方法で、よく使用します。
(1)総レップ法について
総レップ法とは、使用重量は変えずに、予め決めた総反復回数に到達するまで『反復限界→小休息』を繰り返す方法です。(決めた総反復回数に到達するまで『レストポーズ法(上級者向けトレ手法)』を繰り返す。)
実施期間は2ヶ月程度です。
【具体例】
使用重量:反復限界8回の重量
総反復回数:40回
小休息時間:45秒
実施期間:2ヶ月程度
実施要領:
反復限界8回の重量で、40回に到達するまで反復限界⇒小休息45秒を繰り返す。これを1セット(1ラウンド)と定義する。
※人によって、種目によって以下の結果(反復限界を何度繰り返したか)は変わります。
参考に、総レップ法についての過去記事を添付します。
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【筋トレ】Chad Waterbury式『総レップ法』
(2)総レップ法の過負荷掛け
伸びにくい種目に総レップ法を適用した場合、総反復回数を増やしていくことで過負荷をかけていきます。
私にとって、伸びにくい種目の1つに『バーベルカール』があります。これに総レップ法を適用した過負荷掛けをどの様に進めていくか、例として示します。
使用重量8RM(反復限界8回重量)と小休息時間45秒は変えず、週毎に総反復回数を3~4回増やしていきます。
【1ヶ月目】
1セットのみ実施。
1週目
総反復回数:40回
2週目
総反復回数:44回
3週目
総反復回数:47回
4週目
総反復回数:50回
【2ヶ月目】
2セット実施する。
2セット目も1セット目と同じ重量と小休息時間で行なう。
セット間休息時間は3分以上。
1週目
1セット目総反復回数:50回
2セット目総反復回数:30回
2週目
1セット目総反復回数:50回
2セット目総反復回数:34回
3週目
1セット目総反復回数:50回
2セット目総反復回数:37回
4週目
1セット目総反復回数:50回
2セット目総反復回数:40回
(3)総レップ法のメリット
伸びにくい種目に対する過負荷掛けとして、私が好んで総レップ法を使用している一番の理由は、その総反復回数の殆どで高い筋繊維動員ができていると思うからです。
その総反復回数の殆どが、いわゆる『エフェクティブ・レップ(Effective rep)』だということです。
前項の『セット数を増やす』の場合、そうはいきません。そのセットの前半の反復に余裕があるからです。
総レップ法は、小休息を挟みながら反復限界又はそれに近い状態を繰り返しているので、サイズの原理に従って多くの筋繊維が動員されていると考えています。
(4)採用種目について
伸びにくいからといって、スクワットやデッドリフトに総レップ法を適用することはお勧めしません。危険だからです。
そして、対象筋の『高い筋繊維動員レベル』に焦点をあてて言えば、コンパウンド種目(多関節種目)よりアイソレーション種目(単関節種目)で総レップ法を行なう方が良いかもしれません。
と言いながらも、プルアップ(懸垂)などで総レップ法を使用していますが、そう考えています。
そう考える理由は、『中枢性疲労の増大』『協働筋活動の増大』で対象筋の筋活動が停滞・低下する可能性があるからです。
①中枢性疲労の増大
- 総レップ法は『限界反復→小休息』を多数繰り返す手法なので、中枢神経系の疲労が大きいと予想される。
- これに、アイソレーション種目より疲労度が高いコンパウンド種目を組み合わせると、より中枢性疲労が増大する事が懸念される。
- 中枢性疲労は、筋肉への神経駆動を減少させる。
②協働筋活動の増大
- コンパウンド種目は多関節種目なので、主働筋だけでなく協働筋も働く。
- 高重量の使用や筋疲労の進行で、主働筋の筋活動は停滞又は下がるが、協働筋の筋活動は増大する事が確認されている。
※こうなるところを如何に対象筋優位でコンパウンド種目を行え続けるかが、ボディメイクのトレ技術と言えるかもしれません。
以上①②が組み合わさり、総レップ法+コンパウンド種目で、対象筋の筋繊維動員の高まりが抑えられてしまう可能性があると考えています。
以上になります。
伸びにくい種目に対する過負荷の掛け方として『セット数を増やす』『総レップ法で反復回数を増やす』を紹介しました。
これらにより、伸びにくい種目でも確実に漸進させながら過負荷を掛けることができます。
ですが、これら手法は体力的・時間的な負担が大きくなり続けるので、通年で行なうことは非現実的だと思っています。
ですので、実施期間を2~3ヶ月程度にして、その後は、種目変更や伸びにくくても重量増加に拘った手法(前回記事)などにシフトすると良いです。
<前回記事>
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【筋トレ】重量・反復回数が伸びにくい種目で過負荷をかける方法(1/2)
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