ジムでの会話やクライアント様との会話で、背中づくりの話題が良く出ます。背中づくりに多様な種目が必要である事は皆さん知っていて、基本種目を数多く取り入れたメニューを実践している方がほとんどです。
何故、その多くの種目を取り入れているのか根拠を聴いてみますと、『効いているかわからないから基本と言われる種目を多数行なう』や『背中には複数の筋肉があるから、でも効いてる感覚は曖昧』という場合が多いです。
中級者以上のトレーニーであっても、その種目が背中のどこに効いてるのか、どこに効かせるべきなのか曖昧という方が意外と多いです。
効きがよくわからないので、種目数でカバーするというのも一つの方針ではあります。でも、やはりこれは非効率です。
背中の狙った箇所を刺激できる術を身につける方がトレの質や効率は上がりますから。
背中の効きで皆さん苦戦しているのが広背筋です。背中の広がりを得るに無視できない筋肉です。
広がり系の基本種目『ラットプルダウン』『プルアップ』において、大円筋(脇下あたり)の効きは皆さん得られていますが、広背筋になると途端に曖昧になります。
その理由はいろいろありますが、基本種目における主な理由として以下があります。
可動域が広背筋にとって不十分
負荷方向が広背筋の繊維方向にあわない
ラットプルダウンやプルアップといった広がり系の基本種目の可動域は、短い大円筋にとってしっかり収縮させる事ができますが、長い広背筋にとっては可動域が狭く、特に短縮側の可動域は不十分です。
加えて、負荷方向と広背筋の繊維方向の相性も良いとは言えません。
というように、基本種目で広背筋の効く感覚が得られない・曖昧なのは、もちろんトレ技術も関係しますが、種目の特性によるものもあると思っています。
ですので、『基本種目だから』に固執せず、柔軟にエクササイズを取り入れていけば、広背筋をしっかり刺激する事は難しくありません。
あっ、もう一つ大切な事があります。それは、広背筋を上部と下部にわけて考える事です。
皆さん、大胸筋を上部、中部、下部に分けてとらえてエクササイズを割り当てますよね。そうする理由は、大胸筋の停止部は1か所だけど、起始部が複数なので上部、中部、下部で繊維方向が異なるからです。
広背筋も同じです。停止部は1か所で起始部は広範囲に複数あります。↓
出典:webサイト Body Motion Lab 広背筋(こうはいきん)の起始・停止と機能
これにより、『広背筋』と一口にいってもその繊維方向は多岐に渡るんです。↓
出典:webサイト Rehatora 広背筋(Latissimus dorsi)
ですので、大胸筋と同様に広背筋もエリアを分けて、少なくとも『広背筋上部』『広背筋下部』に分けて、それぞれの繊維方向を考慮したエクササイズを割り当てるべきだと思います。
前段がかなり長くすみません(笑)。
言いたい事は、『基本種目だから』に固執することなく、広背筋の可動域と繊維方向も加味したエクササイズを実践する事で、効く感覚がはっきりわかりますし、広背筋全体を発達させる事ができるという事です。
本日は、上述の観点から行っている広背筋上部の種目を紹介します。
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広背筋上部を確認
種目の紹介の前に、効かせる箇所=広背筋上部を視覚的に確認します。↓
出典:Giaime Serraチャンネル Tutte Pose: Back Double Biceps
見てわかる通り、広背筋上部の繊維方向は、パット見、水平に近い緩やかな傾斜であることがわかります。
種目例1.ローアングル・ワンハンド・ラットプル(ハンマーローマシン使用)
⇕
写真の通り、ハンマーストレングス製アイソラテラル・ロウマシンのフレームを握って、横向き立位でラットプルします。
ミソは『アイソラテラル・ロウマシンの選択』『フレーム握り位置』『肘の起動』になります。
1.アイソラテラル・ロウマシンの選択
ハンマーストレングス製アイソラテラル・ロウマシンは数種類あります。各々引く角度が異なっています。
今回の種目で選択すべきものは、プレートローディング式の『アイソラテラル・ハイ・ロウ』マシンです。↓
出典:Life Fitnessチャンネル Hammer Strength Plate-Loaded High Row Instructions
『アイソラテラル・ハイ・ロウ』マシンは、この行い方で広背筋上部をヒットさせるのに最適な角度(浅い角度)を有しています。
ですので、プレートローディング式の『アイソラテラル・ハイ・ロウ』マシンを選択します。
2.フレーム握り位置
基本的には色々試して、広背筋上部に効く感覚が一番強い箇所を握れば良いです。それが、その方の最適な握り位置です。
一応、目安としては、ボトム位(=引き切った位置)で前腕とフレームの角度が90°になる位置を握るとよいと思います。
握り位置がよろしくないと上腕二頭筋に負荷が移行します。
3.肘の軌道
今回の行い方に限らず、広背筋に効かせるには体の真横に向かって引くのでは無く、肘が少し体の後方に向かうように引く必要があります。
体の少し後方に向かうように意識して引きましょう。
重量が重くなると握りがつらくなるので、登山用スリングをリストラップとしてフレームに巻き付け、握力低下を防止しています(通常のリストラップでは短くて巻けないので)。
この行い方のバリエーションとして体軸を傾けて行うのもアリです。↓
このバリエーションは、短縮側の可動域をより大きくする目的や、身長が高い方の広背筋上部繊維方向に引く角度を合わせる目的で活用できます。
種目例2.ローアングル・ワンハンド・ラットプル(ケーブル使用)
『ケーブルの高さ』や『ケーブルとベンチの距離』を調整して、広背筋上部の繊維方向にあう引く角度(浅い角度)を作り出して、ケーブルのラットプルを行います。
過去記事で、広背筋下部用のケーブル・ラットプル種目を紹介しました。↓
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【筋トレ】下から広がる広大な背中づくりのコツ
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【筋トレ】スリング・ワンハンド・ケーブルラットプルで広背筋下部を攻める!
これらの記事をみるとわかりますが、広背筋下部種目の引く角度は下部繊維方向に合わせて、深い角度=傾斜がきつい角度になりますが、今回のように広背筋上部狙いの場合、その引く角度は上部繊維方向に合わせて、浅い角度=傾斜が緩い角度になります。
ケーブルで行なう場合も前項で説明したとおり、引く際の肘の軌道は体の少し後方に向かって引きます。
ケーブルで行なう場合のバリエーションは2つあります。
1つ目は『肩関節を内旋しながら引く』です。↓
バリエーション1
肩関節を内旋しながら行う事で、広背筋上部をより収縮させる事ができます。ですが、高重量使用や肩関節に不安のある方には不向きです。
2つ目は『肘を作用点にして引く』です。登山用スリングを使用して肘を作用点にしてラットプルを行います。↓
バリエーション2
又は
この行い方は、手では無く肘が作用点になるので、上腕二頭筋の関与がなく広背筋上部をアイソレートして行なう事ができます。
手や指などの怪我時にもできる行い方でもあります。
以上紹介してきた種目は、前段で話した広背筋の可動域や繊維方向にマッチしています。引く軌道が外から内なので、長い広背筋でもしっかり短縮できる可動域を有していますし、加えて、その角度が広背筋上部の繊維方向にあっているので広背筋上部に特化したラットプルになります。
特に、短縮側の刺激がしっかり入るので『広背筋上部が効く』という感覚を体得するのにも適しています。
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