トレーニング

【筋トレ】筋肥大用の強調伸張性負荷トレーニング~説明編~

 

ボディメイク専門 札幌パーソナルトレーナーZeal-Kの長崎健太です。

 

トレーニング手法の1つ『強調伸張性負荷トレーニング』を筋肥大に適用した行い方について説明します。参考になれば嬉しいです!

 

皆さんは、『強調伸張性負荷トレーニング』をご存知でしょうか?英語では『AEL Training(Accentuated Eccentric Load Training)』と言われます。以下の様なトレーニングです。↓

出典:High Performance Muscleチャンネル Cluster with accentuated eccentrics

 

出典:CVASPSチャンネル John Wagle-Accentuated Eccentric Loading For Strength:Power Athletes

 

上の動画を見て頂くとわかりますが、『強調伸張性負荷トレーニング』は、短縮性筋収縮時の負荷に比べて伸張性筋収縮時の負荷が大きくなる様に設定された反復方法です。

 

『強調伸張性負荷トレーニング』は、筋力や筋パワー向上目的で行なわれる場合が多いですが、やり方次第で筋肥大にも有効だと実感しています。

 

本日は、筋肥大用の『強調伸張性負荷トレーニング』について説明します。

 

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強調伸張性負荷トレーニングについて

通常トレーニングの反復は重量固定のまま反復するので、下ろす際(伸張性筋収縮時)も、挙げる際(短縮性筋収縮時)も同じ重量です。

 

通常トレ】

下ろす重量=挙げる重量

出典:Bodybuilding.comチャンネル How To Bench Press: Layne Norton's Complete Guide

 

一方、強調伸張性負荷トレーニングは下ろす際(伸張性筋収縮時)に過負荷をかける反復方法なので、下ろす際と挙げる際で重量が異なり、『下ろす重量 > 挙げる重量』になります。

下ろす重量は重く、挙げる動作へ移行する直前で負荷を取り除いて挙げる重量を軽くするわけです。

これを実現させる手段は主に2つあって、それらは『補助者のマニュアル負荷(人の手で実現)』と『ツール使用(例:ウェイトリリーサー)』になります。

 

【強調伸張性負荷トレ】

下ろす重量 > 挙げる重量

①補助者のマニュアル負荷

出典:Milos Sarcevチャンネル Giant set for CHEST with IFBB PRO Petar Klancir and Mauro Sassi.

<特徴>

この方法は、高い熟練度の補助者が必要で一人ではできません。反復の中断なく毎レップの下ろし動作で過負荷をかけることができますが、人任せなので加重具合が曖昧になりがちで、かつ漸進性の原則に従った過負荷の重量管理が困難です。

 

②ツール使用

例:ウェイトリリーサー

ウェイトリリーサーが自動で外れる様子。↓

出典:Ideal Strength & Iron Wolfチャンネル Bench Press with Weight Releasers

<特徴>

この方法は、補助者不要で一人でできます。ツールにより加重解除は自動ですが、加重は手動で行なうので、下ろし動作の過負荷掛けを複数レップで実施する場合は、反復の中断を要します。加重重量が一定なので曖昧な伸張性過負荷にならず、漸進時の加重重量の管理も容易です。

 

伸張性筋収縮の過負荷掛けは、筋力の向上(Roigさん達のメタ分析Washifさん達の研究)や神経抑制軽減による挙上時(短縮性筋活動時)の力発揮向上が期待できます。

こういった理由からなのか、強調伸張性負荷トレーニングは筋力や筋パワーの向上を目的に行なわれる場合が多く、その効果が研究分野でも確認されています。

筋力向上

Walkerさん達の研究

Hardenさん達の研究

筋パワー

Sheppardさん達の研究

Friedmann-Betteさん達の研究

 

強調伸張性負荷トレーニングは、やり方次第で筋肥大も促進する可能性があると思っています。

 

 

筋肥大用の強調伸張性負荷トレーニング

筋肥大用の強調伸張性負荷トレーニングで大切なのは、総負荷量(筋肉の仕事量)を維持・向上させながら伸張性過負荷を掛けることです。筋力・筋パワー向上目的の強調伸張性負荷トレーニングは、ボリュームが少ない傾向にあると思います。

 

総負荷量(筋肉の仕事量)と筋肥大には相関がありますし(Schoenfeldさん達のメタ分析12)、伸張性過負荷掛けは以下による筋肥大促進が期待できます。

 

挙げ下げの反復をしっかり行いつつ(総負荷量を稼ぐ)、伸張性過負荷を複数レップ又は全レップで掛ける様に強調伸張性負荷トレ内容をアレンジすれば、筋肥大の最大化が見えてくるかもしれません。

(ちなみに、研究分野で強調伸張性負荷トレーニングの筋肥大効果は確認されていますが(速筋繊維の肥大Friedmann-Betteさん達の研究1,2)、まだ多くありません。)

 

では、どうやって総負荷量を維持・向上させながら伸張性過負荷掛けを複数レップに掛けていくかですが、クラスタセット法やレストポーズ法の様な小休息を挟むトレーニング手法に採用します。

 

補助者が常にいる方は稀だと思いますので、ツールを使用して独りで行なう具体例を以下に示します。

クラスタセット法やレストポーズ法の小休息中に伸張性過負荷をツールで再設定しながら、挙げ下げの反復をしっかりこなすことで、総負荷量の確保と伸張性過負荷掛けの複数回実施を実現させます。

 

パターン①:マルチレップ・クラスタ

【設定値】

過負荷時下ろし重量(%1RM):120

通常時下ろし重量(%1RM):65

挙げ重量(%1RM):65

1セットあたりの反復回数:10

1クラスタあたりの反復回数:5

小休息回数:1

小休息時間(秒):20

 

【図解】

反復1回目と6回目に伸張性過負荷(120%1RM)が掛かる。

  • これを1セットと定義する。
  • 挙げ動作は最大努力で力強く行う。
  • 下ろし動作はSchoenfeldさんのレビュー論文を参考に、過負荷掛け下ろし動作で等速3秒(図解の反復1回目と6回目)、通常の下ろし動作で等速2秒(図解の反復1回目と6回目以外)にしている。

 

【セット数】

3~4セット。

 

【セット間休息時間】

2分程度。

 

Nagataniさん達のレビュー論文で、筋肥大用として強調伸張性負荷トレーニングをクラスタセット法に採用する場合のガイドライン(※)が紹介されています。このガイドラインから作成したものがパターン①になります。

私にとって、少々物足りなくなったので現在は行っていませんが、導入初期の採用に良いと思います。

 

※ガイドライン

過負荷時下ろし重量(%1RM):80~120

通常時下ろし重量(%1RM):60~70

挙げる重量(%1RM):60~70

1セットあたりの反復回数:8~12

1クラスタあたりの反復回数:3~6

小休息回数:1~2

小休息時間(秒):20

 

以降の②~④が、私がよく行う実施パターンになります。

 

パターン②:シングルレップ・クラスタ

【設定値】

下ろす重量(%1RM):120

挙げる重量(%1RM):85

1セットあたりの反復回数:8

1クラスタあたりの反復回数:1

小休息回数:7

小休息時間(秒):12

 

【図解】

全ての反復に伸張性過負荷(120%1RM)が掛かる。

  • これを1セットと定義する。
  • 挙げ動作は最大努力で力強く行う。
  • 下ろし動作はSchoenfeldさんのレビュー論文を参考に、等速3秒で実施。
  • 反復途中で限界に達しても小休息時間を長くとって8回完遂させる。

 

【セット数】

3~4セット。

 

【セット間休息時間】

3分以上。

 

クラスタセット法の利点の一つに『高重量をより多く反復させる』があります。例えば、通常セット法で反復4回しかできない重量をクラスタセット法で6~7回させたりします。これは反復途中に小休息を入れるからできる事です。

『高重量をより多く反復させる』でよく用いられるのがシングルレップ・クラスタセット法です。反復1回毎に小休息を入れるクラスタセット法です。これに伸張性過負荷掛けを加えたものが、パターン②になります。

 

パターン②は反復全てで伸張性過負荷を掛け、紹介するパターンの中で最も多く伸張性過負荷を掛けます。また、挙げる重量も高い設定にし、シングルレップ・クラスタセット法でより多く反復します。ですので、メカニカルストレス重視のパターンになります。

 

③シングルレップ・クラスタ+Dropセット

【クラスタ設定値】

下ろす重量(%1RM):120

挙げる重量(%1RM):90

1セットあたりの反復回数:6

1クラスタあたりの反復回数:1

小休息回数:5

小休息時間(秒):12

 

【Dropセット設定値】

反復重量:反復限界8~10回の重量

1セットあたりの反復回数:限界まで

 

【図解】

クラスタフェーズとDropセットフェーズから成る。

クラスタフェーズでは、全ての反復に伸張性過負荷(120%1RM)が掛かる。Dropセットフェーズでは、伸張性過負荷掛け無し。

直ちに重量減らし反復を継続

(反復限界8~10回の重量に減)

  • これを1セットと定義する。
  • 挙げ動作は、クラスタフェーズもDropセットフェーズも共に最大努力で力強く行う。
  • 下ろし動作はSchoenfeldさんのレビュー論文を参考に、クラスタフェーズは等速3秒で、Dropセットフェーズは等速2秒で実施。
  • クラスタフェーズでは反復途中で限界に達しても、小休息時間を長くとって6回完遂させる。
  • Dropセットフェーズでは反復途中で限界に達したら、そこで終了。

 

【セット数】

3セット。

 

【セット間休息時間】

3分以上。

 

メカニカルストレス重視のパターン②にDropセットを組み合わせたものがパターン③になります。Dropセットを組み込む事で、筋肉の代謝ストレス・虚血を高めて、更なる筋肥大の促進を狙います。

メカニカルストレス、化学的ストレス、総負荷量の増加を狙った欲張りなパターンになります。

 

④レストポーズ法

【設定値】

過負荷時下ろし重量(%1RM):120

通常時下ろし重量(%1RM):75

挙げる重量(%1RM):75

小休息回数:2

小休息時間(秒):30~40秒

 

【図解】

レストポーズ法は、小休息(レストポーズ)を入れながら限界反復を繰り返す手法。

小休息(レストポーズ)を2回入れて、限界反復を3度実施する設定にしている(限界まで反復⇒小休息⇒限界まで反復⇒小休息⇒限界まで反復)。

各限界反復の1反復目に伸張性過負荷(120%1RM)が掛かる。

30~40秒休息。

(ツールで伸張性過負荷を再設定)

30~40秒休息。

(ツールで伸張性過負荷を再設定)

  • これを1セットと定義する。
  • 挙げ動作は最大努力で力強く行う。
  • 下ろし動作はSchoenfeldさんのレビュー論文を参考に、過負荷掛け下ろし動作で等速3秒(図解の反復1回目、11回目、15回目)、通常の下ろし動作で等速2秒(図解の反復1回目、11回目、15回目以外)にしている。

 

【セット数】

3セット。

 

【セット間休息時間】

3分程度。

 

中重量を用いたレストポーズ法に伸張性過負荷掛けを組み合わせたものがパターン④になります。

中重量のレストポーズ法は、総負荷量を高めつつ、メカニカルストレスと化学的ストレスがバランスよく得られるセット法です(若干、化学的ストレスよりな気がします)。もう少しメカニカルストレスを得ようと思い、伸張性過負荷掛けを組み合わせました。

 

ここまでお読み頂いて疑問を持っている方がいると思います。

「独りで行なうためのツールってウェイトリリーサーのことか?」と。。。いいえ、違います。ウェイトリリーサーは日本のジムに殆どないし、購入しても持ち運びが非常に面倒なので使いません。

別のツールを使用して、上述した筋肥大用強調伸張性負荷トレーニングを独りで行ないます。

 

 

独りで行なうためのツールと種目について

加重の解除が自動で行なわれ、かつ持ち運びが容易なツールとして『パフォーマンスピン(Performance Pin)』を使います。

これは、人の手を使うこと無く、ウェイトスタック重量を素早く変えてくれるツールです。素晴らしいアイデア商品で重宝しています。

出典:Performance Pinチャンネル Performance pin video tutorial

 

パフォーマンスピンはウェイトスタックの重量を自動で変えてくれるツールなので、採用種目はウェイトスタックマシン種目になります。以下に普段私が取り入れている種目を載せますが、これらに限らず、採用できるウェイトスタックマシン種目は工夫次第で増やすことができると思います。

 

  • ケーブルカール(上腕二頭筋)
  • ケーブルtricepsエクステンション(上腕三頭筋)
  • ケーブルサイドレイズ(三角筋側部)
  • マシンペックフライ(大胸筋)
  • アシスト付きチェストプレスマシン(大胸筋)
  • マシンLegエクステンション(大腿四頭筋)
  • マシンLegカール(ハムストリングス)

 

『パフォーマンスピン』+『ウェイトスタック種目』により、筋肥大用の強調伸張性負荷トレーニングを独りで行なっています。

 

この時点でも疑問に思う方がいると思います。独りでどうやって高重量なウェイトを下ろし動作開始位置まで持って行くのか?その辺も含めて、具体的な実践例を別の機会に紹介します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございました。

 

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