背中の広がり系の基本種目に手幅を広くして行う『懸垂』があります。
出典:Bodybuilding.comチャンネル Pullups - Back Exercise - Bodybuilding.com
取り入れている方も多いと思います。
大円筋や広背筋上部に伸張刺激を与えやすい種目だと思います。
本日はその実施バリエーション『DCスタイル・ラックプル』を紹介します。併せて、これに少し変更を加えた行い方も紹介します。
背中の広がりを改善したい方は勿論、上級者の方でも背中のもう一広がりが欲しい方に役立つ実施バリエーションです。参考になれば嬉しいです!
【広告】
DCスタイル・ラックプル
この行い方の発案者はDCトレーニングの開発者であり、TrueニュートリションのオーナーでもあるDante Trudelさんです。
広がりづくりに優れた行い方だと実感しています。
DCスタイル・ラックプルを行なう上で参考になる動画を先に載せます。↓
<0:52~6:40>
出典:Dusty Hanshawチャンネル DUSTY HANSHAW | PROGRESSIVE OVERLOAD BACK TRAINING
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
スクショで抜き出すとこんな感じです。↓
⇅
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
なぜ、わざわざこんな形で、手幅を広くとった懸垂を行なうのか?通常の場合と比較して以下のメリットがあるからです。
広背筋をより伸ばせる
総負荷量の増加が期待できる
肩の違和感・痛みが軽減
1.広背筋をより伸ばせる
これが一番のメリットだと思っています。
このやり方で行なうと、下ろすフェーズ(伸張性収縮フェーズ)において広背筋がより伸びた位置で負荷がけできます。特に広背筋上部です。
広がり系の基本種目である『手幅を広くとった懸垂』や『順手のラットプルダウン』で広背筋を伸ばすには、広背筋の停止部(上腕骨)が体から大きく離れればよいので、斜め上方向の軌道で腕を体から離す必要があります。
これを実現するには肩甲骨の動きが大切で、肩甲骨を上方回旋しながら外転させなければなりません。ややこしいですよね。(笑)
上方回旋は比較的難しくはなく、あまり意識せずともできる動きですが、外転を伴わせる事が難しいんです。
ですが、細かい事は意識せずに『肩甲骨を上方回旋しながら外転させる』が実現できてしまうのが今回紹介している『DCスタイル・ラックプル』なんです。
『DCスタイル・ラックプル』は前方に出した脚を台に乗せるので、骨盤を後傾させて(腰を丸めて)下ろす事ができます。
この骨盤後傾(腰を丸める)は脊柱の屈曲(猫背)を引き出し、ひいては肩甲骨の外転を引き出します(両肩甲骨が外に向かって離れる)。
『DCスタイル・ラックプル』で、『腰を丸める(骨盤後傾)』だけ意識して下ろす動作を行なう事で『肩甲骨を上方回旋しながら外転させる』ができあがります。
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
やって頂くとわかりますが、脇下やその周辺において、ボトム位の伸張感・やり終えた後の張り感は通常の手幅を広くとった懸垂より強いです。
2.総負荷量の増加が期待できる
筋肥大の増大と総負荷量の増大に相関がありそうだという事は、経験的にも学術的にもわかっている事です。
高重量で低回数のトレ(数回程度で反復限界)より中重量で中回数のトレ(10回程度で反復限界)の方が、1セットあたりの総負荷量(=使用重量×反復回数)が大きくなります。実際に両トレを行って総負荷量を計算・比較するとわかります。
なので、総負荷量の観点からすると、中重量で中回数のトレの方が効率よく筋肥大が狙える事になります。
ここで話を懸垂に戻して、トレ経験が浅い方が手幅を広くとった懸垂を行なうと反復回数が少ない結果になりますが、初心者だけで無く体重が重い上級者でもあり得ます。
これは上記でいう『高重量で低回数のトレ』なので、そのセットにおける総負荷量は大きくありません。
そこで、『DCスタイル・ラックプル』を採用すると両脚先部分が支えられているので、『中重量で中回数のトレ』にシフトし総負荷量の増加が期待できます。
『DCスタイル・ラックプル』は体重が重い上級者でも総負荷量の増加が期待できる懸垂バリエーションだと思っています。
3.肩の違和感・痛み軽減
あとで触れますが、私が『DCスタイル・ラックプル』を行なう時、腕が伸びきるまで下ろしてから切り返して上げています。
これを通常の手幅を広くとった懸垂でやると肩に不快感や痛みがありできません。
ですが、『DCスタイル・ラックプル』で行なうとなんら問題なくできます。理由は定かではありませんが、ちょっとした角度の違いで肩関節角度もいい塩梅になるからかもしれません。
『DCスタイル・ラックプル』は通常の手幅を広くとった懸垂で肩に不快感がある場合、試す価値がある実施バリエーションだと思います。
行ない方について説明します。↓
step
1セッティング
脚を乗せるベンチの前方配置とバーの高さをセッティングする必要があります。
ベンチの前方配置とバーの高さが最適であれば、ボトム位とトップ位では以下となります。↓
ボトム位(完全に下ろし切った位置)
完全に下ろし切った位置で、体は『釣り針』の形になります、以下写真が理想形です。※お尻は地面に接地していません。
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
トップ位(引き切った位置)
引き切った位置で、体は『L』の字になります、以下写真が理想形です。
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
セッティングを間違えると別のエクササイズになってしまいます。↓
出典:semper29チャンネル Team Norton
step
2開始姿勢
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
- バー握り箇所は、肩より拳2~3個分外を握る。
- 足のかかと又は足首より少し上部分をベンチに乗せる。
- 完全に脱力して『釣り針』の形でぶら下がる。(腰から脊柱にかけて丸みを帯びている)※写真不明瞭ですが、お尻は地面に接地していません。
step
3引き上げる
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
- 後傾した骨盤を立てながら真直ぐ体を引き上げる。(引き上げた状態はL字になります)
- 引き上げの際、個人的には肩甲骨を寄せる事はしていない。肩関節を支点に肘を下に引く事を重視。(肩関節内転重視)
- 上体を後ろに倒しながら引き上げる事はしない。(効果が薄れます)
上体を後方に倒しながらの引き上げはしない
step
4下ろす
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
- 骨盤~脊柱にかけて丸めながら等速4秒かけて真下に下ろす。
- ぶら下がるまで下ろし切る。(下ろし切った状態は『釣り針』型になります)
- 下ろし中に、脇下とその周辺の伸張をしっかり感じ取る。
step
5Loadedストレッチ
出典:Antonio Notaroチャンネル Rack chin al multipower
- 完全にぶら下がった状態を2秒継続。(自体重で大円筋と広背筋をストレッチしている状態)
- 脇下とその周辺がしっかりストレッチしている事を感じ取る。
これで1反復です。Step3~5を繰り返します。
Mohamadさん達のレビューによるとストレッチは活用次第で筋肥大を後押しする手段になる可能性があります。
今回の取り入れ方は、各反復毎に負荷がかかったストレッチをかけていくパターンですが、筋肥大に関わるシグナル経路、ホルモン放出、成長因子の活性化を期待して取り入れています。
ちょっと変更を加えたDCスタイル・ラックプル
私は、以下の変更を加えて『DCスタイル・ラックプル』を行なう場合が多いです。↓
⇅
上写真の様にベンチに足裏をあてて膝を曲げて行います。この利点はいくつかあります。
1つ目が『足ズレ防止』です。
通常のDCスタイル・ラックプルの場合、足のかかと又は足首より少し上部分をベンチに乗せ、脚を伸ばして行いますが、脚がベンチ上を滑り動いて安定した姿勢で動作できない事があります。
変更版DCスタイル・ラックプルにする事で、これが一切おこりません。
2つ目は『腰が丸めやすい』です。
通常のDCスタイル・ラックプルより骨盤後傾がしやすいので、腰から脊柱にかけての丸みがより引き出せます(=肩甲骨の外転が引き出せる)。
そして3つ目が『広背筋をより短縮させる』です。
体を引き上げる際、通常のDCスタイル・ラックプルより骨盤を前傾させやすいので、広背筋の短縮が比較的増す感覚があります。
なので、変更版DCスタイル・ラックプルの引き上げ時は、骨盤を前傾させる事も重視しています。
行い方は基本的に、前項のDCスタイル・ラックプルと同様です。行ない方を簡単に纏めます。
【行い方】
1.引き上げる
- 骨盤を前傾しながら真直ぐ体を引き上げる。
- 引き上げの際、個人的には肩甲骨を寄せる事はしていない。肩関節を支点に肘を下に引く事を重視。(肩関節内転重視)
- 上体を後ろに倒しながら引き上げる事はしない。(効果が薄れます)
⇓
2.下ろす
- 骨盤~脊柱にかけて丸めながら等速4秒かけて真下に下ろす。
- ぶら下がるまで下ろし切る。
- 下ろし中に、脇下とその周辺の伸張をしっかり感じ取る。
⇓
3.Loadedストレッチ
- 完全にぶら下がった状態を2秒継続。(自体重で大円筋と広背筋をストレッチしている状態)
- 脇下とその周辺がしっかりストレッチしている事を感じ取る。
これで1反復です。1~3を繰り返します。
加重方法
加重方法は3つあります(これ以外にもあると思います)。
1.EZバー又はショートバーで加重
トレーニングパートナーがいる場合、パートナーにEZバー又はショートバーを股関節付近に乗せてもらう。↓
出典:Dusty Hanshawチャンネル DUSTY HANSHAW | PROGRESSIVE OVERLOAD BACK TRAINING
変更版DCスタイル・ラックプルにはむいていません。
2.ダンベルを肩にかける
ロープ等で2つのダンベルを連結して肩にかける。私の場合、登山用スリングを使用して連結しています。↓
肩にかける際、首に連結ロープがかからない様に気を付ける。↓
この方法は重くなると不快感があるので、せいぜい十数キロ程度がが限度だと思います。
3.『EZ VEST』で加重する
最大100kgまで搭載可能な加重ベストができました。Kensui Fitnessの『EZ VEST』です。↓
出典:Kensuiチャンネル Kensui EZ-VEST® Promo
プレートの取り付け方動画も参考に載せます。
出典:Kensuiチャンネル Best Methods To Put On The Kensui EZ-Vest (Without Assistance!)
日本でも購入可能になりました。製品詳細及び購入はこちらからできます。
よく利用するセット法
DCスタイル・ラックプルを行なう時、私は好んでマッスルラウンド法(クラスタセット法)やレストポーズ法で行っています。
どちらも総負荷量を増やす事ができるセット法です。
1.マッスルラウンド法
4回反復して10秒休むを6度行なうセット法です。
これで1セットになります。
詳細は以下過去記事を参照。↓
続きを見る
【筋トレ】クラスタセット法の具体例:中重量編
2.レストポーズ法
反復限界に達したら小休息(数秒~数十秒)を挟み、重量は変えず反復を継続するセット法です。
これで1セットになります。
具体的には以下のように行っています。↓
10RM重量(10回が限界)で限界まで反復
↓40秒休息
重量そのままで再度限界まで反復
↓40秒休息
重量そのままで再度限界まで反復
⇓
1セット目終了
パーソナルトレーニングのお問い合わせはこちらから
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
facebook https://www.facebook.com/ZealKenta/
【広告】