筋肉は刺激(ストレス)を繰り返し受ける事で、それに適応して筋肥大します。
その刺激は大別すると『物理的刺激』『化学的刺激』であり、これを具体化しますと、以下の様な筋肥大要因と、それを実現するための代表的な手段が見えてきます。↓
今回紹介するトレーニング手法は上図の『物理的刺激』を重視した物で、トレーニングバリエーションの1つとして活用できます。
この手法は使用重量が高重量で、『大きな筋力発揮』と『十分な伸張性筋力の発揮』で構成しているので、大きな運動単位が使われます。ですので、速筋刺激を重視した手法とも言えます。
また、筋力向上も見込め、中重量トレ時の使用重量や反復回数の向上が期待できます。
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6レップス+20%増ネガティブ法
『通常の反復』+『ネガティブレップ』で構成しています。
ネガティブレップとは、下ろす・元に戻す動作(伸張性収縮)を主に行なう事です。ネガティブレップは補助者付きで行なうのが理想ですが、一人でも行えます。
その方法は最後の方で記します。
行ない方
以下の様に行います。これを1セットと定義します。
反復限界6回
⇓重量を20%増やす
ネガティブレップ最低3回(等速4秒)
6回の反復限界に達したら休まず直ぐに重量を20%増量し、直ちにネガティブレップを開始します。
通常の反復
1セット目で反復限界が6回の重量で行ないます。
基本的に、全セットこの重量で行なおうとしますが、セットを進めていく中で反復限界が4回に落ち込んだら、次のセットで重量を減らします。
反復限界が6回未満のセットは、重量は減らす事なく同重量のまま30~40秒のレストポーズ(小休息)を挟んで反復を再開し、トータルの反復回数6回を必ず達成します。
反復中の意識は、負荷の挙げ・引き・カール時(短縮性収縮時)は、動作に集中して爆発的に力強く行います(チーティングはしません)。
負荷を戻す際(伸張性収縮時)は、内的集中で筋肉にテンションがかかっている事を感じながら行います。
ネガティブレップ
ネガティブレップの使用重量は通常反復の使用重量×1.2とし、これを用いて等速4秒で下ろす(戻す)を繰り返します。
繰り返し回数は最低3回。
または、4回目以降も行い、等速4秒が維持できなくなるまで繰り返します。
ネガティブレップ中(伸張性収縮時)は、内的集中で筋肉にテンションがかかっている事を感じながら行います。
【例】ベンチプレス120kg×6回できる場合
1セット目
通常反復120kgで限界6回
⇓直ぐに20%増量(120×1.2=144kg)
145kg等速4秒でネガティブレップ3回
↓3~4分程度休息
2セット目
通常反復120kgで限界5回
⇓小休息30秒(レストポーズ)
通常反復120kgで限界2回
(トータル6回反復を満足)
⇓直ぐに20%増量(120×1.2=144kg)
145kg等速4秒でネガティブレップ3回
↓3~4分程度休息
3セット目
通常反復120kgで限界反復4回
⇓小休息30秒(レストポーズ)
120kgで限界反復1回
⇓小休息30秒(レストポーズ)
120kgで限界反復1回
(トータル6回反復を満足)
⇓直ぐに20%増量(120×1.2=144kg)
145kg等速4秒でネガティブレップ3回
↓3~4分程度休息
4セット目
通常反復115kgで限界反復5回
⇓小休息30秒(レストポーズ)
115kgで限界反復2回
(トータル6回反復を満足)
⇓直ぐに20%増量(115×1.2=138kg)
140kg等速4秒でネガティブレップ3回
といった感じでセットを進めていきます。
重複する項目もありますが、使用重量やセット数などを纏めます。↓
使用重量
通常の反復
1セット目
ストリクトstyleで反復限界が6回の重量。
チーティングstyleは行わない
トレ手法の1つとして、チーティングstyleは悪いものではありません。
ですが、このトレ手法でチーティングstyleを適用する事は怪我のリスクを高めます。
なので、重量設定において、チーティングで反復限界が6回の重量は扱いませんし、チーティング自体行いません。
2セット目以降
基本的に1セット目と同重量。
但し、セットを進めていく中で、反復限界が4回まで落ち込んだら次セットで反復限界6回が狙えそうな重量に減らす。
ネガティブレップ
各セットともに、通常反復で使用した重量の20%増。↓
各セットのネガティブレップ重量
=各セット通常反復の重量×1.2
反復回数
通常の反復
ストリクトな動作で全セット6回必ず行う。
6回できない場合は、『30~40秒の小休息(レストポーズ)→同重量のまま限界反復再開』をトータル6回達成するまで続ける。
(例1)あるセットで反復限界4回だった
反復限界が4回
⇓30~40秒休息
同重量のまま反復限界1回
⇓30~40秒休息
同重量のまま反復限界1回
⇓
トータルの反復回数6回達成なので終了しネガティブレップに移行。
(例2)あるセットで反復限界5回だった
反復限界が5回
⇓30~40秒休息
同重量のまま反復限界2回
(途中でトータル6回達成でも限界まで反復継続)
⇓
トータルの反復回数6回を満足したので終了しネガティブレップに移行。
ネガティブレップ
等速4秒で最低3回実施する。
または、4回目以降も行い、等速4秒が維持できなくなるまで繰り返す。
セット数
4~5セット。
※参考
高重量トレは総負荷量が減りがちなので、総負荷量ありきでセット数を決める場合があります。総負荷量の算出の際は、ネガティブレップの反復回数1回=0.5で計算します。(例:ネガティブレップ3回は1.5で計算)
高重量トレと総負荷量について↓
続きを見る
【筋トレ】高重量トレーニング時は総負荷量にも気を配りましょう!
セット間休息
3分以上。
負荷を増量するタイミング
通常の反復
連続6回できたセットは、次回トレの同セットで増量し連続6回反復を目指す。
連続6回できてないセットは、次回トレの同セットで同重量のまま連続6回を目指す。
ネガティブレップ
増量した通常反復の使用重量×1.2で算出。
漸進性の原則は非常に重要
上記のように毎回のトレで、フォームは維持したまま前回の反復回数や使用重量を少しでもいいから上回るように取り組みます。ですので、ノートに記録をとる事をオススメします。
その日のトレで、この方法を採用するタイミング
体がフレッシュな最初の種目・メイン種目で行なうのが、筋肥大にも筋力向上においても最良と言えます。
ですが、関節に不安のある方や年齢的に高重量を積極的に扱えない方もいらっしゃいます。
そういう場合は、2種目目以降(ある程度事前に筋肉を疲労させた後)でこの方法を採用するのもアリです。
関節負担やケガのリスクを確実に減らしつつ、この手法で得られる恩恵の100%には至らないかもしれませんが、利点である物理的刺激による筋肥大反応は得られます。
ただ、筋力向上の効果は、最初に行なう場合と比較すると、劣る結果が予想されます。
ネガティブレップの行い方
ネガティブレップの行い方は
色々ありますので、以下に示します。
1.補助者と行なう
ネガティブレップを行ったら補助者の補助を受けて開始位置まで戻します。これを繰り返します。
各ネガティブレップの力発揮に集中したいので、『開始位置に戻す補助力は全力で!』と補助者にお願いします。イメージはこんな感じです。ベンチプレスでの例です。↓
1:50~2:29
動画ではセイフティが機能する高さになっていませんが、念のためセイフティは設定しましょう。
出典:Body Sketch Fitnessチャンネル Insane Chest Workout!!! How to use negatives when doing the bench press.
1人で行なうトレーニーの方が多数派ですよね。以降、1人でできる行い方を紹介します。↓
2.マシン付属のアシストステップで行なう
シーテッド・チェストプレスマシンで付属されている場合が多いアシストステップを利用します。
アシストステップとは、足で踏み蹴ってチェストプレスの開始位置までバーを持っていくステップの事です。こんなやつです。↓
出典:Tri Cities Gold's Gymチャンネル How-To Use the "Chest Press" Machine
ネガティブレップを行ったら、アシストステップを踏み蹴って開始位置まで戻します。これを繰り返します。
各ネガティブレップの力発揮に集中したいので、全力で踏み蹴り、脚力の最大限の補助を使って開始位置まで戻します。
アシストステップ付きのシーテッドチェストプレスマシンは、ほとんどがウェイトスタックです。『フルスタックでも全然軽い』という読者も多いと思います。その場合は、過去記事で紹介した方法で加重します。↓
続きを見る
【筋トレ】マシンの重量が足りなくなったら
それでも足りない方は、ここに記している他方法で行なってください。
ちなみに、アシストステップでネガティブレップが行える種目は、大胸筋の『チェストプレス』以外に上腕三頭筋の『JMプレス』があります。
3.他筋肉を補助とて活用し行う
ネガティブレップを行ったら、刺激する筋肉以外の筋肉の補助を受けて開始位置まで戻します。これを繰り返します。
各ネガティブレップの力発揮に集中したいので、他筋肉の補助は全力で行って開始位置まで戻します。
(例1)ダンベルカール
ワンアームで行ない、空いてる腕の補助で開始位置まで戻します。
(例2)リバース・バーベルカール
クリーン動作で開始位置まで戻します。
(例3)ケーブルサイドレイズ
ワンアームで行ない、空いている腕でケーブルを握り一緒に開始位置まで戻します。
(例4)ライイング・バーベルエクステンション
ナロープレスで開始位置まで戻します。
(例5)ダンベルフライ
ダンベルチェストプレスで開始位置まで戻します。
(意外とうまくいきません。一応、例として載せます)
4.他筋肉のみ使って開始位置に戻る
ネガティブレップを行ったら、刺激する筋肉以外の筋肉だけ使って開始位置まで戻します。これを繰り返します。
上記3項とは違い、戻す際に刺激する筋肉の関与はほぼ無いので、各ネガティブレップの力発揮に集中できるやり方です。
(例1)プルアップ(懸垂)
脚力だけ使って(台にあがって)開始位置まで戻ります。
(例2)バーベルカール
スクワットで開始位置まで戻ります。
参考記事
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【筋トレ】1人で行えるバーベルカールのヘビーネガティブ法
(例3)バーベル・プルオーバー
ベンチプレスで開始位置まで戻します。
参考記事
続きを見る
【筋トレ】1人で行えるプルオーバーのヘビーネガティブ法
5.2/1法で行なう
2/1法とは、片下肢または片上肢でネガティブレップを行い、開始位置まで戻す際は両下肢または両上肢で戻すネガティブレップ法です。
(例1)レッグプレス
片脚でネガティブレップを行い、両脚で開始位置まで戻します。
(例2)スミスマシン・ベンチプレス
片腕(片胸)でネガティブレップを行い、両腕(両胸)で開始位置まで戻します。
(例3)スミスマシン・ショルダープレス
片腕(片肩)でネガティブレップを行い、両腕(両肩)で開始位置まで戻します。
この2/1法でネガティブレップを行なう場合、通常反復6回終了後、直ぐに2/1法用ネガティブレップ重量(※)に設定して、等速4秒のネガティブレップを左右交互に最低3回行います(左1回→右1回を3回繰り返す)。
または、4回目以降も行い、等速4秒が維持できなくなるまで繰り返します。
逆に、3回到達不可の場合(疲労でネガティブレップの開始位置まで戻せない)、30~40秒の小休息(レストポーズ)を挟んで左右交互のネガティブレップを再開し、トータル3回は必ず達成させます。
※2/1法用ネガティブレップ重量
通常反復の使用重量×1.2÷2で算出。
【例】スミスマシン・ベンチプレス120kg×6回できる場合
通常反復120kgで限界6回
⇓直ぐに20%増量(120×1.2÷2=72kg)
72.5kg等速4秒で左右交互のネガティブレップ実施するも2回が限界(3回目で開始位置まで戻せなかった)
⇓小休息30秒(レストポーズ)
72.5kg等速4秒で左右交互のネガティブレップを限界実施で2回できた
⇓
ネガティブレップトータル3回を満足したので終了
以上です。
具体的な胸、肩、上腕三頭筋への適用例はこちら。↓
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【筋トレ】6レップス+20%増ネガティブ法の具体例:胸、肩、上腕三頭筋編
具体的な背、上腕二頭筋、脚への適用例はこちら。↓
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【筋トレ】6レップス+20%増ネガティブ法の具体例:背、上腕二頭筋編、脚
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