昔の私は、
筋肉痛が大好きでした。笑
きついトレーニングに耐え、
やり抜いた先に味わえる、
まるで勲章であるかのように
良いトレーニングの証として
筋肉痛を捉えていました。
が、
これまでの経験や科学的知見から
今では考えを改め、
筋肉痛の呪縛から解放されました。笑
筋肉痛は、ボディメイクや筋肥大にとって
絶対的に必要なものではないです。
筋肉痛が無かったからといって、
『行ったトレーニングの質がダメだった』
『無駄なトレーニングだった』
『筋肥大するに足らないトレーニングだった』
なんて思わないで下さい。
本日は、筋肉痛について書いていきます。
以前の私のように、
筋肉痛の有無に囚われている方の
参考になれば嬉しいです。
伝えたい要点
- 筋肉痛の程度は、筋線維の損傷の程度を反映していない。
- 筋線維では無く、結合組織(特に筋膜)の損傷の方が筋肉痛の主たる原因のようである。
- 人体は、トレーニングを行う機会が増えると、筋ダメージに関係なく筋肉痛を感じにくくする仕組みを持っている。
- 筋肉痛の強さが低い・ほとんど感じない状態でも筋線維は筋肥大しうるダメージを受けている。
- 以上の事から、筋肉痛の有無や強さを『トレーニングの質』『筋肥大しうる刺激』の判断基準にしない。
- 『前回のトレより、反復回数・使用重量を少しでも増やす事ができたか』がトレーニング原則に従った良い判断基準。
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筋肉痛と筋線維の損傷
トレ後に遅れて発生する筋肉痛。これは、遅発性筋肉痛といい
DOMS(Delayed Onset Muscle Soreness)とも言われます。
この筋肉痛の原因・メカニズムは完全にわかっていません。
ですが、これまでに以下の説が挙げられてきました。
乳酸説
筋痙攣説
筋温上昇説
筋損傷説
現在では、上3つの説は否定されていまして、
筋損傷説が最有力となっています。
この説は、
『筋線維』や『結合組織(特に筋膜)』の
トレーニングによる微視的な損傷、構造の変化が
筋肉痛の原因とされています。
過去の私も含め、多くの方が
『筋肉痛の程度が大きい程、筋線維の損傷の程度も大きい』
と考えます。
実際、どうなのでしょうか?
Nosakaさんの研究で、被験者110名を対象に
筋肉痛の程度と
筋線維の損傷指標(クレアチンキナーゼ活性値など)
※クレアチンキナーゼは筋中に多く存在する酵素で、トレ後や筋損傷の際に血液中に放出される。
の変化量に、どういう関係性があるか調べられました。
結果は、
筋肉痛の程度は、筋線維の損傷の程度を反映していない
というもので、
これは、
『筋肉痛の程度が大きい程、筋線維の損傷の程度も大きい』と
必ずしも言えないという事です。
では、筋肉痛は主に何と関わりを持っているのか?
上記の研究やSchoenfeldさんとContrerasさんの論文に
示されているとおり、
『結合組織(特に筋膜)』の微視的な損傷の方が
筋肉痛の主たる原因のようです。
主役といえる筋線維ではなく、
それを包んでいる脇役『筋膜』の方が、
関連性が高いとは意外ですね。
考えられている筋肉痛のメカニズムは以下のとおりです。
①伸張性運動(短縮しよう力発揮している筋肉が伸ばされる)や、久しぶりの運動、不慣れな運動を行う。
↓
②結合組織の筋膜(筋周膜や筋内膜、筋外膜)が微細に傷つく。
※筋線維も微視的な損傷・構造の変化がおきていますが、筋肉痛への関与は筋膜の方が大。
↓
③炎症が起き、発痛物質(ブラジキニンなど)が生成される。
↓
④痛みを感じる神経が過敏になる。
↓
⑤過敏なので、筋肉を動かしたり、圧迫すると痛みを感じる。
(安静にしていると痛みを感じない)
上記③、④の反応には時間を要するので、
筋肉痛は遅れてやってきます。
ここまで説明してきたとおり、
筋肉痛の痛みは、
筋線維の損傷よりも、筋膜の損傷の方が関わり深いことや
筋肉痛の程度は、筋線維の損傷の程度を反映していない
という事ひとつとっても、
筋肉痛の有無や強さを
『トレーニングの質』『筋肥大しうる刺激』
の判断基準とする妥当性は、
怪しくなってきます。
筋肉痛の痛みに対する適応
トレ未経験者がトレを行うと、どぎつい筋肉痛が生じます。
そんな未経験者も、トレを行う習慣が身につくと、
筋肉痛は起きにくくなります。
筋肉痛の程度が小さかったり、起きない日もでてきます。
これを
「そっか!筋肉が強くなって、刺激が不十分なんだ!」
と考えます。
筋肉痛が弱い、起きない=筋肉への刺激が不十分
と理解し、十分な刺激を与えようと
筋肉痛を追い求めます。
実際はどうなのでしょうか?
『筋肉痛が弱い、起きない=筋肉への刺激が不十分』は
正しいのでしょうか?
そうではない事がわかります。
トレーニングしている人を被験者としたFalvoさん達の研究では、
11名の男性トレーニーに
筋線維の損傷が起きる、かなりキツイ
スミスマシン・ベンチプレスを行ってもらい(トレ1)、
2週間後に同内容を実施してもらいました(トレ2)。
筋肉痛の強さと筋線維の損傷指標(クレアチンキナーゼ活性値)について
トレ1後とトレ2後の比較結果をみると、
筋肉痛の強さは、トレ2後の方が有意に低く、
筋線維の損傷指標は、トレ1後とトレ2後で有意差がありませんでした。
このことから
筋線維のダメージに対する体の適応
(=筋が強くなる・肥大で損傷が起きにくくなる)
とは別に、
筋肉痛に対する体の適応(=痛みが起きにくくなる)
が有るという事がわかります。
さらに、
筋ダメージの適応より、筋肉痛の適応の方が早い
という事です。
トレ未経験からトレを行う習慣がつくなど、
人体は、トレーニングを行う機会が増えると、
筋ダメージに関係なく筋肉痛を感じにくくするものなのです。
上記の研究結果が示すとおり、
筋肉痛の強さが低い・ほとんど感じない状態でも
筋線維は筋肥大しうるダメージを受けているのです。
なので、
筋肉痛の有無や強さを
『トレーニングの質』『筋肥大しうる刺激』
の判断基準にしないで下さい!
体に備わっている機能・メカニズムで
筋肉痛が感じにくくなるものなのに
それを追い求めて日々トレーニングを行うと
過大で、筋肥大に必要以上の筋ダメージを与えてしまう事
になります。
以前の記事で書いたとおり、過大な筋ダメージは浪費です。
続きを見る
【筋トレ】ハードなトレーニングこそが筋成長を早める!?
回復時間が長くなるだけです。
筋ダメージが強いほど、それに比例して筋肥大も多く得れらる
なんて事は起きません。
1回のトレーニングで得られる筋肥大の量は限度があるのです。
必要最低限の刺激にとどめ、とっとと回復させる。
これを多く繰り返す(=トレ頻度を増やす)方が
効率よく筋肥大できると考えています。
話がそれました。笑
ちなみに、
筋肉痛が感じにくくなるメカニズムは
複数の説が出ていますが、良く分かっていないのが現状です。
個人的に、
Bingelさん達の研究で示されるとおり、
筋肉痛の強さの低減には、
痛みに関する脳領域の活動の減少も大きく関わっている
と考えています。
(筋肉痛発生時に、痛みを感知する脳領域は活動する
という事がZimmermannさん達の研究で示されています。)
では、トレの良し悪しは何を基準にするか?
『トレーニングの質』『筋肥大しうる刺激』の判断基準に
筋肉痛はふさわしくないと結論づけました。
では、何が良いか?
ボディメイクや筋肥大のトレにおいて、
『前回のトレより、反復回数・使用重量を少しでも増やす事ができたか』
が、単純でわかりやくす、トレーニング原則に従った
良い判断基準だと思います。
強い筋肉痛が起きるか!
なんて気にせず、
前回の記録を少しでもいいから上回るといった
前回の自分超えをトレ目標に
自己成長を楽しんで下さい!
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