前回の記事でお尻のエクササイズについて書きました。
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【筋トレ】お尻づくりにヒップスラストをもっと活用しましょう!
同じ下半身の裏ということで、本日はももの裏のエクササイズについて書いていきます。ちょっとした工夫で効きが変わる良い例なので、是非お読みください!
伝えたい要点
- つま先を伸ばしてレッグカールを行うと、腓腹筋の補助力が減るのでハムストリングへの刺激が強まる。
- とはいえ、つま先を伸ばしたままレッグカールを行うのは大変なので、この動画のように、戻す時につま先を伸ばせば良い。
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もも裏を鍛えるレッグカール
ももの裏の筋肉は1つだけではなく、複数あります。これらの筋群の総称をハムストリングスといいます。
このハムストリングスを鍛えるトレーニング種目にレッグカールがあります。難しいフォーム習得が不要で、気軽に行えるポピュラーなエクササイズです。レッグカールのマシンは大きく分類しますと以下の3つになります。
ライイング・レッグカール
出典:DNS ZONE
シーテッド・レッグカール
スタンディング・レッグカール
このように、レッグカールとは膝を曲げる(膝関節の屈曲)エクササイズです。
実はこのレッグカール、つま先の向きによってハムストリングスの刺激を強める事ができます。
レッグカール時のつま先の向きと膝を曲げる力
ちょっと思い返してみてください。高重量のレッグカールを行おうとする時、自然とつま先をスネに近づけていませんか?
レッグカールで力を出し切る最後の1回、2回の時、これまた自然とつま先がスネに近づいていませんか?
どうやら、つま先の向きによって膝を曲げる力(トルク)が変わるようです。事実なのでしょうか?実際に計測した研究があります。
Niuさん達の研究で、つま先の向き(足関節角度)と膝の曲げ伸ばし(膝関節の屈曲と伸展)の力の関係が示されています。
30名の男性を対象に、次の条件で膝の曲げ伸ばしの力が測定されました。
- つま先をスネに近づけながら膝を伸ばし、つま先を伸ばしながら膝を曲げる
- つま先を伸ばしながら膝を伸ばし、つま先をスネに近づけながら膝を曲げる
- つま先をスネに近づけた状態を維持したまま、膝を曲げ伸ばし
- つま先を伸ばした状態を維持したまま、膝を曲げ伸ばし
ややこしいですよね(笑)。測定値の平均結果のうち、レッグカールにあたる膝を曲げる力の結果をグラフにしてみました。↓
出典:ZHIXIN NIUら著 膝関節運動における足関節角度の変化への 影響について
この結果から一目瞭然ですが、レッグカール時のつま先の向きによって膝を曲げる力が変わります。
つま先を伸ばしたままのレッグカールは、膝を曲げる力が小さいので使用重量が減りますし、つま先をスネに近づけたままのレッグカールは、膝を曲げる力が大きいので使用重量が増えます。
何故この違いが生じるのでしょうか?その理由はふくらはぎの関与にあります。
ハムストリングスとふくらはぎの関係
レッグカールで膝を曲げる筋肉はハムストリングスだけではありません。ふくらはぎの筋肉のうち、腓腹筋(ひふくきん)という筋肉が膝を曲げる補助として働いています。
なぜなら、腓腹筋は足首だけでなく膝をもまたいで付着しているからです。
そして、ふくらはぎの膝を曲げる補助力がつま先を伸ばすと減り、つま先をスネに近づけると増すために、上記グラフ結果の様につま先の向きで膝を曲げる力が増減します。
このことから、レッグカールで使用重量が同じならば、つま先を伸ばすとハムの負担が増えますし、つま先をスネに近づけるとハムが怠けると言うことになります。
扱う重量が同じならば、つま先を伸ばしてレッグカールを行うことはハムストリングスをしっかり刺激する選択肢の1つになります。
次項に、つま先の向きでふくらはぎの補助力が変わる理由を書いていきます。
まったく興味ない方もいらっしゃいますよね(笑)。その方は次項をすっ飛ばして、最終項の具体的な実施法をお読みください!
つま先の向きでふくらはぎの補助力が変化する理由
ふくらはぎの腓腹筋は膝を曲げる補助として働き、その補助力はつま先をスネに近づけると増し、つま先を伸ばすと減るという事でした。
何故でしょうか?
これは、筋肉が長く伸ばされると動員されやすく、短く緩むと動員されにくくなる性質があるからです。
つま先をスネに近づけると腓腹筋の膝を曲げる補助力が増す理由は、つま先をスネに近づけると腓腹筋が伸ばされ、比較的力発揮しやすくなるからだと思われます。
つま先を伸ばすと腓腹筋の膝を曲げる補助力が減る理由は、腓腹筋が緩んでしまうためです。
腓腹筋は膝関節と足関節をまたぐ二関節筋なので『つま先を伸ばす』作用と『補助として膝を曲げる』作用がありますが、これらを同時に行なえるほど腓腹筋は長くありません。
ですので、でつま先を伸ばしてレッグカール(膝曲げ)を行なうと緩んで力発揮の低下が起きてしまい、腓腹筋の膝を曲げる補助力が減ります。
これを二関節筋の制約作用(※)といいます。
※二関節筋の制約作用
二関節筋がその2つの関節に渡って同時に短縮する時、ほとんどの二関節筋は同時にしっかりと短縮できる程の長さがないので、ある点まで短縮すると以降はゆるんで効果的な筋張力を生じる事ができなくなること。
ハムストリングの刺激を強めるレッグカールのやり方
これを利用して、レッグカールでハムストリングの刺激を高める方法を2つ紹介します。ライイング、シーテッド、スタンディング全てに利用可です。
1つ目は、『膝を曲げる時につま先をスネに近づけて、戻す時につま先を伸ばして行う』です。ライイング・レッグカールの場合の動画を載せます。
出典:Mark Dugdaleチャンネル Banded Plantar & Dorsiflexion Leg Curls 5.25.15
①つま先をスネに近づけて膝曲げ
=腓腹筋の補助で高重量を挙げる
②膝を曲げきった所でつま先伸ばし
=腓腹筋の補助解除
③つま先を伸ばした状態で元に戻す
=高重量をハムに乗せて伸張させる
④これを繰り返す
このやり方の利点は、ハムストリングの伸張時(エキセントリック収縮時)に高負荷を乗せることができる事です。
筋肥大の要因の1つに"筋損傷"というものがあります。筋肉の伸張時に高負荷を乗せる事で筋損傷を効率良く生じさせることができます。
2つ目は、『常時つま先を伸ばしたまま行う』です。
これは、ふくらはぎの補助が働かないので集中的にハムストリングを刺激できます。
しかしこの方法、実はけっこう大変です。
つま先を伸ばすことに意識が使われてハムストリングに100%集中できず、性に合わないと感じる方もいらっしゃると思います。また、腓腹筋以外のつま先を伸ばす筋肉(ヒラメ筋)にも負担がかかりますし。
少なくとも慣れるまでに時間を要しますので、1つ目の方法から取り入れる事をオススメ致します。
立体的な脚づくりにハムストリングの発達は不可欠です。今回の内容が参考になれば幸いです。
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