広い背中を得るトレーニング手法はいろいろ有りますが、その中の1つに、ヘビーネガティブ法があります。『ヘビーネガティブ法』。。。とてつもなく、後ろ向きな響きですね(笑)。
そのネーミングとは逆に、筋力・筋肥大の向上が狙えるポジティブなトレーニング手法です。
ヘビーネガティブ法は強度が高いので、トレ経験が少ない方、初心者の方には不要です。
本日は、トレ経験が十分にあって初めてヘビーネガティブ法を行う方を対象に、背中の広がりを得るための活用法をご紹介します。
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広い背中を得るヘビーネガティブ法
この方法は、トレ経験が十分ある方対象です。
ネガティブ法の経験値によって行い方は様々ですが、初めて行う場合は、現在の背トレに以下の内容を追加します。
刺激する部位
広背筋上部と大円筋がメインです。
採用エクササイズ
プルアップ。
行い方
以下の動画のように、高重量でプルアップの下ろす動作のみ行う。
出典:Ideal Bodies Onlineチャンネル Negative Chin Up
私はパワーラックで行う場合が多いですが、その場合はパワーラックのラックに乗り上げてプルアップのトップポジションまで体を持っていき、あらかじめ配置したベンチやステップ台に着地します。
これを繰り返しています。
配置するベンチや台は、安全かつ下ろす可動域が確保できる高さのものを選択します。
行うタイミングと頻度
毎回の背中のトレーニングの最初に行う。背トレを『広がり』と『厚み』で分けている方は、毎回の広がりトレ時の最初に行う。
負荷・反復回数・セット数など
Mikeさん達の論文、Schoenfeldさんの論文を参考に以下の設定にしています。
負荷重量
プルアップで引き上げれるMAX重量の125%(このトレ法の開始時重量)
※この項の最後に、算出法を書きます。
反復回数
下ろすだけを6回(1回毎に6~8秒休む)
下ろすスピード
3~4秒
セット数
1セットのみ
負荷を上げるタイミング
全ての反復が上記の下ろすスピードでできた時、又はこれが2回のトレでできた時。
負荷の増量幅
1.25~2.5kgで負荷を増量していく。
実施期間
2ヶ月。
注意点
使用重量を伸ばすように取り組む。
下ろす動作は等速で行う。(トップで耐えてからストンと落とすような事はしない)
肩関節など保護のため、肩甲骨がすくむほど下ろさない。(ボトムで完全脱力しない)
肩関節など保護のため、手幅は広過ぎず、肩幅の1.5倍程がよい。
このトレ法は、消費エネルギーは少ないが、筋・神経系の負担は大きいので乱用しない。
参考
負荷重量の算出方法
Epley法(Max重量算出)をもとに以下のように算出。
負荷重量[kg]
=自体重×(1+自体重のプルアップ最大反復回数÷30)×1.25
この重量でプルアップのヘビーネガティブを行うために、プレート重量[kg]=負荷重量-自体重を自体重に加重する。
例:自体重70kg、自体重プルアップ最大反復回数10回の場合
負荷重量[kg]
=70kg×(1+10回÷30)×1.25
=70kg×1.33×1.25
=116.375kg
この重量で、プルアップの下ろすだけを行う。そのため、以下のプレート重量を自体重に加重する。
プレート重量[kg]
=116.375kgー70kg
=46.375kg
≒46.25kg
ヘビーネガティブ法とは?
ヘビーネガティブ法とは、超高重量を用いて、伸張性収縮だけ行う方法です。
伸張性収縮を説明するため、ウェイトの挙げ下ろしで起きている事を見て行きます。基本的な事ですが、お付き合い下さい。
筋活動によって、ウェイトが挙げ下ろしされます。
ウェイトを挙げる
⇒筋肉が縮みながら力発揮している
⇒短縮性収縮といいます
(コンセントリック収縮ともいいます)
ウェイトを下げる
⇒力発揮している筋肉がウェイトによって強制的に伸ばされる
⇒これが伸張性収縮です
(エキセントリック収縮ともいいます)
『?』と思われた方、いらっしゃると思います。
普段、ウェイトの反復中、下げる時に筋肉が強制的に伸ばされている感覚ありますか?ないですよね。
ですが、実際、強制的に伸ばされています。
ウェイトを挙げてから下げる時(=伸張性収縮)に、そのウェイトの重さと下ろすスピードに応じて使用する筋線維の数を減らしています。
残って活動している筋線維が、ウェイトがストンと落ちないようにブレーキをかけようと全力で力発揮しているのですが、活動する筋線維が減らされているのでウェイトの重さに負けて強制的に伸ばされ、ウェイトが下りて行きます。
1つ1つの筋線維は完全に休むor全力で力発揮するのどちらかで、使用する筋線維の数で筋肉全体の筋力を調整している。
このとおり、伸張性収縮している筋線維は、そのウェイトを支え留め置く筋線維数より少ない数で全力で力発揮するも無理やり引き伸ばされてしまうので、とても強い刺激が加わります。
言いかえますと、伸張性収縮は、筋発達要因の筋損傷が得やすいということです。
実際、Nosakaさん達の研究で筋損傷しやすい事が示めされています。
伸張性収縮時に動員される筋線維の数ですが、ウェイトが重いほど多く、それをゆっくり下ろそうとすると更に増えるので、高重量をコントロールして下ろすことは筋損傷を多くの筋線維に与えることになります。
他にも伸張性収縮は、ボディメイクにプラスな特徴を持っています。↓
Nardoneさん達の研究では、伸張性収縮で速筋線維が優先的に使用されことが示されています。
また、Hollanderさん達の研究では、伸張性収縮は短縮性収縮より20~60%大きな力が出せることが示されています。
さらに、Mooreさん達の研究では、伸張性収縮は短縮性収縮より筋肉のタンパク質合成を増加させることが示されています。
以上のような、伸張性収縮の特徴をフル活用したトレ手法がヘビーネガティブ法です。
ヘビーネガティブ法の利点
ヘビーネガティブ法は、伸張性収縮の特徴をフル活用したものです。
その結果として、より多くの速筋線維が使用され、それらの速筋線維に筋損傷を与える事が可能になるので、優先的に多くの速筋線維の発達が促されます。
ご存じのとおり、速筋線維は肥大しやすく、強い力発揮に優れた筋線維です。実際、Schoenfeldさんの論文(pdfダウンロード)で、ネガティブ法で速筋線維が優先的に肥大する事が示めされています。
さらに、FarthingさんとChilibeckさんの研究や他多数の研究で示されているように、伸張性収縮トレーニングの方が短縮性収縮トレーニングより筋肥大をもたらす傾向があるようです。
筋肥大だけではありません。
Doanさん達の研究や他多くの研究が示すとおり、筋力向上の面でも優れた成果が得られています。
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