かれこれ15年程前だったと思います。1つのツールに出会いました。それは『登山用スリング』です。↓
神奈川県に住んでいた頃、戸塚体育館のトレーニング室でトレすることに一時期ハマり、通っていたことがありました。
何故かそこに登山用スリングがあったんです。「なんだろコレ?何に使うもんだ?」といつも気になっていたんですが、手に取ることもしませんでした。誰からも利用されず、なんだか寂し気に定位置にぶら下がっていました。
ただ、登山用品だということは直ぐにわかりました。その理由は『色柄』です。今はわかりませんが、登山系の色柄って特有な感があるんです。実は私、高校時代、山岳部員だったもんで。まぁ~、色々やらかしエピソードがある問題部員でした(笑)。滝つぼで溺れたり、他いろいろ。。。
話を戻しまして、その登山用スリングを度々見ている内に「あっ、使えるかも」と思ったんです。それは背中のトレーニングで負荷と肘を連結するツールとしてピッタリだと思いました。
その当時、トレ歴は結構ありましたが未だ『背中で負荷を引く』という感覚がわからず、背トレに苦戦していました。
そこで、背中トレでよくアドバイスされる『肘で引く』をその言葉どおり体現してみようと考えていましたが、負荷と肘をつなぐツールが思いつかず保留状態だったんです。
「いけるかもしれない!」と思い、誰からも相手にされていなかった登山用スリングを初めて手に取り、思い描いていた『肘引き』をやってみたんです。「おぉぉー、コレだぁ!」と一人、戸塚体育館のトレ室で感動したことを今でも覚えています。(笑)
背中に負荷が引っ掛かる感やそのまま背中で引く感覚、引き切った時の強い収縮感(短縮性)まではじめて体感できたんです。登山用スリングのおかげで背中に効く感覚が掴めたことで、その後の背トレの取り組み方に広がりができました。この出会い以来、今もよく使う相棒として常備しています。
すみません、懐かしさもありいらぬ出会い話が長くなってしまいましたが、ここから本題です。
過去記事で紹介したことがありますが、回転域が大きいグルートマシンと登山用スリングを用いたプルダウン種目があります。
『グルートマシン・スリングプルダウン』と適当に名付けました。これです。↓
肘と負荷を登山用スリングで連結
これ、広背筋中部・下部あたりに非常によく効きます。肩関節の内旋動作も加えると広背筋上部への刺激も高めることができます。広背筋で負荷を引く感覚がよくわかる種目だと思います。
これをやり込むようになりました。しかし、やり込んでいく内に1つ気になる事がでてきました。それは、肘の動きに『遊び』があることです。↓
この遊び=自由度があるから肩関節の内旋動作を加えて広背筋上部も活性化できる事がメリットではあるんですが、何か引く力の伝達や負荷を乗せる面でロスする感覚が気になっていました。
それを改善したものが本日紹介する種目です。
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改良版グルートマシン・スリングプルダウン
FAT GRIPZエクストリームと登山用スリングを組み合わせて行う肘引きプルダウンです。↓
⇅
マシンのパッドを跨いで手(手関節)と肘(肘関節)を連結し、互いに動きを制限し合う状態を作ることで肘動作の『遊び』を解消しています。
上写真を一見すると手で引いている様な印象を受けますが、あくまでも肘で引いており、手は、『遊び』解消目的でFAT GRIPZに引っかけているだけです。
『遊び』が解消する事で力発揮や広背筋への負荷乗せがしやすくなります。
1.効かせる箇所
広背筋中部・下部。
出典:Jeremy Ethierチャンネル The Best Science-Based Back Workout (TARGET EVERY MUSCLE!)
2.行い方
【準備】
Fat Gripzとスリング
以下の様にFat Gripzエクストリームの中に登山用スリングを入れる。
肘へ装着
以下の様に、組み合わせたFat Gripzと登山用スリングを肘に装着。長袖でない場合は、皮膚保護目的でタオル等を肘周辺に巻く。
↓
↓
↓
肘と負荷の連結
以下の様に、マシンのパッドを跨いで連結する。
⇓
台座と可動部の調整
台座:
実際に行いながら、広背筋中部・下部に効く高さに設定する。
可動部:
プルダウン動作で十分な可動域が確保される様に、可動域を設定する。
①プルダウン動作
- 胸を張った姿勢で、力強くで肘で引く。(体の支えとして、空いている側の手はマシンフレーム等に当てる。)
- 引き切った所で1~2秒程度保持し、広背筋中部・下部の短縮を感じとる。
- 体が大きく厚みのある方は、引き切る手前でマシンのパッドが胸に当たる場合がある。
- その場合は、構わず自分の胸にパッドを最大努力で1~2秒間強く当て続けて、広背筋中部・下部に強いテンションを発生させる。(ISOテンション法)
- 手で引こうとしないこと。(手は肘動きの『遊び』解消目的で引っかけているだけ。)
②戻す動作
- 上体を前傾し、上体の体重を肘(スリング側)に乗せながら、引いた肘を等速3秒程度かけて戻す。
- 広背筋に強い伸張刺激が入るので、これを感じとりながら戻す。
3.この種目のメリット
広背筋に負荷が引っ掛かる感や広背筋で引く感覚がわかりやすく、効かせ辛い広背筋によく効く種目です。こうなる理由は以下だと考えています。
上腕二頭筋の関与が低い
作用点(荷重点)が肘メインなので、プルダウン動作及び戻し動作に対し上腕二頭筋の関与が少ない。
マシンの回転軌道と相性が良い
今回の様な『作用点が肘』かつ『座位』で行なうプルダウンにおいて、グルートマシンの回転軌道は肩関節の伸展軌道(肩関節の回転軌道)とマッチするので、広背筋中部・下部にヒットさせやすい。
安定した回転軌道で引ける
以前は肘の動きに『遊び』があったため、動作途中で直線的な引きになることがあったが、改良により解消され、肩関節を中心とした回転軌道のプルダウン動作が安定的に行える。
他にもメリットだと思うのが、ISOテンションを入れれる点です。
体に厚みがある場合、引き切る手前でマシンのパッドが胸に当たってしまう場合があります。当初、これはデメリットだと思いましたが、構わず全力で引き続けてパッドを胸に当てる事で、追加的なOvercomingアイソメトリクス(最大努力で行なう等尺性筋収縮)を入れることができます。
最大短縮位まで引けない点はマイナス面といえますが、筋肉の強いテンションが引き出せるISOテンションが入れれる点は魅力的であり、個人的にはメリットだと思っています。
座位方向を変えてみる
座位方向を変えることで、ヒットさせる広背筋の箇所も変わってきます。その例を2パターン紹介します。
例1:45°方向で座る
こんな感じです。↓
動作
⇅
効く箇所
広背筋中部に特化。起始部付近まで短縮が感じられる。
出典:Jeremy Ethierチャンネル The Best Science-Based Back Workout (TARGET EVERY MUSCLE!)
例2:正面向いて座る
こんな感じです。↓
動作
⇅
<マシンパッドの跨ぎについて>
正面向いて行う場合、パッドを斜めに跨ぐ。
効く箇所
広背筋上部。起始部までしっかり短縮できる。
以上です。
広背筋を非常に強く収縮させることができる種目です。
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