
2018年9月。私にとって衝撃的なニュースがありました。それはカナダのストレングスコーチ チャールズ・ポリクィン氏がお亡くなりになった事です。
オリンピアンを含む数多くのアスリートの活躍に貢献してきたストレングスコーチなんですが、ボディビルダーやボディメイクに取り組むトレーニーにも大変役立つ情報を発信してくれました。
数多くのトレーニーがその恩恵を受けていると思います。私もポリクィン氏が発信する情報を積極的に取りにいった事で、トレーニングンの幅を広げる事ができたと思っています。
心からご冥福をお祈りいたします。
本日はチャールズ・ポリクィン氏考案のトレーニング法『6-12-25法』を紹介します。また、おこがましいのですが、6-12-25法をベースに私が行っているバリエーションも紹介します。
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ポリクィン式『6-12-25法』
この方法は、成長ホルモンの分泌を促して体脂肪分解を図るトレーニング方法『ジャーマン・ボディ・コンポジション法(GBCトレーニングと呼ばれます)』を基に、ポリクィン氏が発展させたトレーニング手法です。
この方法は、減量時のトレーニングプログラムとしても優秀なプログラムですが、個人的に実感しているのは筋肥大プログラムとしても優れた方法だという事です。
行い方は以下です。↓
スプリットルーティン
1日目:胸と背中
2日目:脚
3日目:休み
4日目:肩と腕
5日目:休み
これを繰り返します。
例えば、月曜日を1日目にした場合、こんな感じになります。↓

実施期間
上記のスプリットルーティンを6回繰り返します。これを基本とします。こんな感じです。↓

きつい方法なので、我々ナチュラルトレーニーが長期間実施すると体が消耗し利益が得られません。
ですが、使用重量や筋量増加の伸びがあり継続できるという方は、7回以上繰り返しても良いと思います。
セット構成
1部位あたり3種目を選択し、以下のように連続実施します。
1種目目を限界まで反復
↓10秒休息
2種目目を限界まで反復
↓10秒休息
3種目目を限界まで反復
これで1セットとなります。
セット数及びセット間休息
セット数:4セット
セット間休息:2分
反復方法
1種目目
押す(引く)動作:爆発的に実施
下す(戻す)動作:等速で4秒かける
2種目目
押す(引く)動作:爆発的に実施
下す(戻す)動作:等速で2秒かける
3種目目
押す(引く)動作:爆発的に実施
下す(戻す)動作:等速で1秒かける
反復のテンポに変化をつけてプログラムに組み込む手法は、ポリクィン氏の特徴と言えます。
使用重量と反復回数
1種目目
上記反復方法で限界反復6回の重量で限界まで反復(6回)する。
2種目目
上記反復方法で限界反復12回の重量で限界まで反復(12回)する。
3種目目
上記反復方法で限界反復25回の重量で限界まで反復(25回)する。
重量設定が重要
上記反復方法によって所定の回数で限界になる重量を使用。これが大切。
限界の反復回数が所定の回数を大きく上回ったり下回ったりしては、しっかりと乳酸産生できません(乳酸産生の増加で成長ホルモンの分泌が促される)。
セットをこなしていく中で反復回数が減るようであれば、所定回数になるように重量を減らします。
所定回数できたセットは次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増やします。
具体例
ポリクィン氏が示していた内容です。↓
1日目:胸と背中
胸

step
145°インクライン・ダンベルプレス
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
245°インクライン・バーベルプレス
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
330°インクライン・ダンベルプレス
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、挙げは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
背中

step
1加重した懸垂
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、引き上げは爆発的に)
↓10秒休息
step
2ベントオーバー・ロー
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、引き上げは爆発的に)
↓10秒休息
step
3シーテッド・ロー(首に向かって)
限界反復25回を実施。
(戻し1秒、引きは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
2日目:脚
大腿四頭筋

step
1スクワット
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
2ランジ
限界反復12回(片脚)を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
3レッグ・エクステンション
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、挙げは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
ハムストリングス

step
1レッグカール
限界反復6回を実施。
(戻し4秒、カールは爆発的に)
↓10秒休息
step
2ルーマニアン・デッドリフト
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
3リバース・ハイパーorバックエクステンション
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、挙げは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
4日目:肩と腕
肩

step
1シーテッド・ダンベルプレス
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
2シーテッド・ダンベル・ラテラルレイズ
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
3ケーブル・ラテラルレイズ
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、挙げは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
上腕三頭筋

step
1ディップスorクローズグリップ・ベンチプレス
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
2デクライン・バーベルエクステンション
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息
step
3ケーブル・プレスダウン
限界反復25回を実施。
(戻し1秒、プレスダウンは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
上腕二頭筋

step
1インクライン・ダンベルカール
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、カールは爆発的に)
↓10秒休息
step
2スタンディング・バーベルカール
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、カールは爆発的に)
↓10秒休息
step
3ケーブルカール
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、カールは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
この手法の利点
1.筋肥大要因に特化した刺激
筋肥大要因『メカニカルテンション』『代謝ストレス』に特化した刺激が得られます。
メカニカルテンション
多くの筋繊維が動員され張力を発揮する。これ自体が筋肉にとってストレスとなり、筋肥大を促進するシグナルになる。
代謝ストレス(乳酸等の代謝産物増加)
代謝産物の蓄積が筋肉にとってストレスとなり、筋肥大を誘発するホルモン分泌が促進される。
この手法のセット構成を筋肥大要因の観点でみると以下になります。
1種目目
限界反復6回。
メカニカルテンション特化型といえる。
2種目目
限界反復12回。
メカニカルテンションと代謝ストレスがバランスよく得られる。
3種目目
限界反復25回。
代謝ストレス特化型といえる。
2.全ての筋繊維を刺激できる
1セットで高重量低反復回数~低重量高反復回数を網羅してるので、速筋と遅筋を刺激する事になります。
3.時短
比較的短時間で終わります。その分キツいという事ですが(笑)。
バリエーション1:6-12-25法の種目を同一種目にする
ポリクィン式6-12-25法は異なる3種目を連続で行っていくので、日本のジムやクラブでは行い難い内容となります。
そこで、同一種目で6-12-25法を行うのもありです。これも筋肥大に効果的なので実践しています。胸を例にあげるとこんな感じです。↓
step
1スミスマシンプレス
限界反復6回を実施。
(下ろし4秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息(重量落とす)
step
2スミスマシンプレスのまま
限界反復12回を実施。
(下ろし2秒、挙げは爆発的に)
↓10秒休息(重量落とす)
step
3スミスマシンプレスのまま
限界反復25回を実施。
(下ろし1秒、挙げは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
反復回数やテンポに関するスキームを有したドロップセット法とも言えます。
このバリエーションの利点は、複数の場所やマシンの占有を回避できることと、同一のエクササイズなので同じモーターユニット・筋繊維群を集中的に刺激できる事です。
バリエーション2:6-12-25法の種目をPOF種目にする
POFトレーニングについて
先にPOFトレーニングについてふれます。POFトレーニングは筋肉に強く負荷がかかるポジションによって、エクササイズを以下の3つに分類します。
ミッドレンジ種目
・可動域の中間位で強く負荷がかかる種目
・多関節種目が多く、高重量が扱える
ストレッチ種目
ボトム位(筋肉が伸びた位置)で強く負荷がかかる種目
コントラクト種目
トップ位(筋肉が短縮した位置)で強く負荷がかかる種目
肥大させたい筋肉にこれら種目をバランスよく行う事で、その筋肉が満遍なく刺激されて筋肥大が促進されるという考え方です。
言いたい事はわかるんですが、筋肥大が促進されるその理由が、何か曖昧でスッキリしないんですね(笑)。
POFは確かに筋肥大に有効です。体感しています。その理由は個人的に思うに、3つの筋肥大要因を満遍なく与える事ができるからだと考えています。
ミッドレンジ種目
高重量が扱える種目で、筋肥大要因『メカニカルテンション』に特化している。
ストレッチ種目
筋損傷しやすい種目で、筋肥大要因『筋損傷』に特化している。
コントラクト種目
パンプしやすい種目で、筋肥大要因『代謝ストレス』に特化している。
上記の様に分類できますから、POFは筋肥大要因の刺激を満遍なく与える事ができる手法といってよいと思います。
6-12-25法について
6-12-25法も今一度見返してみます。
この方法は、『1種目目:限界反復回数6回』『2種目目:限界反復回数12回』『3種目目:限界反復回数25回』で構成されています。
これを見ると一目瞭然ですが、1種目目は『メカニカルテンション』を得るのに最適、2種目目は『筋損傷』を得る種目として適用可能、3種目目は『代謝ストレス』を得るのに最適な構成だとわかります。
6-12-25法もPOFと同じく、3つの筋肥大要因を与える事ができるトレ手法であり、POFと相性が良いということです。
ですので、6-12-25法の種目にPOF種目を割り当てれば、3つの筋肥大要因をしっかり与える事ができます。
6-12-25法+POF法
このバリエーションではポリクィン式6-12-25法の採用種目をPOF種目にします。
step
11種目目:POFミッドレンジ種目
限界反復6回を実施。
(戻し4秒、挙げや引きは爆発的に)
↓10秒休息
step
22種目目:POFストレッチ種目
限界反復12回を実施。
(戻し2秒、挙げや引きは爆発的に)
↓10秒休息
step
33種目目:POFコントラクト種目
限界反復25回を実施。
(戻し1秒、挙げや引きは爆発的に)
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
具体例
具体例として上腕二頭筋の場合を示します(あくまで一例です)。こんな感じです。↓
step
1チンニングやチーティング・バーベルカール(ミッドレンジ種目)
限界反復6回を実施。
(下ろしに4秒・引き上げやカールは爆発的に)
チンニング
出典:bruno082985チャンネル Weighted Chin-ups 132x5
※動画では下ろしに4秒かけていません。
チーティング・バーベルカール
出典:TobyDog 7Jhチャンネル Bodybuilder Yumon Eaton "cheat" curls 185 pounds
※動画では下ろしに4秒かけていません。
↓10秒休息
step
2シーテッド・ツーハンド・ケーブルカールなど(ストレッチ種目)
限界反復12回を実施。
(下ろしに2秒・カールは爆発的に)
シーテッド・ツーハンドル・ケーブルカール
出典:Welsh Warrior Fitnessチャンネル Incline Bench Bicep Dual Handle Cable Drag Curl
↓10秒休息
step
3チューブwithバーベル・カールなど(コントラクト種目)
限界反復25回を実施。
(下ろしに1秒・カールは爆発的に)
チューブwithバーベル・カール
出典:Brett Eddyチャンネル Band Resisted Barbell Biceps Curl
- これで1セットとなる。
- セット間休息2分で4セット実施。
- セットが進むにつれ所定の回数ができなくなったら、重量を落として構わない。
- 所定回数ができたセットは、次回のトレーニングで使用重量を少しずつ増量する。
高重量でメカニカルテンションを強める(動員される筋繊維数を増す)という方針のもと、1種目目の下ろし動作スピード4秒を通常スピードにし、その分より高重量を使用する行い方もアリです。
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