既存の種目にチューブを組み合わせて反復しているトレーニーをジムや動画で見た事があると思います。例えばスクワットです。↓
出典:Iron Edgeチャンネル Banded Barbell Squat
チューブが可変抵抗である事を利用して、より大きな筋力が発揮できる可動域(スクワットで言えば、立ち上がりきるエリア)で負荷掛けするために行なわれます。
こうする事で筋力や筋パワーの向上が期待できます(筋肥大にも効果が期待できます)。
他にも、ボトム~スティッキングポイントでの補助力としてチューブを組み合わせ、これ以外の可動域で過負荷を掛ける場合もあります。↓
出典:mountaindog1チャンネル Reverse Band Bench Press
というように、既存種目にチューブを組み合わせるのは、狙った可動域で負荷を掛けたり減らしたりするための場合が多いです。
ですが、ボディメイクにおいては他の目的でチューブを既存種目に組み合わせる場合があります。それは、その種目で刺激する筋肉を緊張させた状態にするために組み合わせる方法です。
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サブの筋作用にチューブで負荷を掛ける
項のタイトルを見て、何を言っているかわかりづらいと思いますが、良く行われている実施例をもとに説明します。
これ、よく見かけると思います。↓
スクワット+膝巻きチューブ
出典:Annaチャンネル Wide Stance Squat with Resistance Band (Smith Machine)
ヒップスラスト+膝巻きチューブ
出典:Fisker Performanceチャンネル BB Hip thrusters + band around knees
既存種目であるスクワットやヒップスラストは、大臀筋を刺激する種目として見た場合、大臀筋の作用の1つである『股関節の伸展』がメインの筋作用であり、これにウェイト重量で負荷掛けする事になります。
上の動画では、加えて膝周辺にチューブを巻いています。
この膝巻きチューブはメインの筋作用である『股関節の伸展』に負荷掛けしているのでは無く、大臀筋の他の作用である『股関節の外転』や『股関節の外旋』というサブの筋作用に対して負荷掛けし、アイソメトリクス(等尺性筋収縮)に近い状態にして筋緊張させています。
大臀筋のメイン筋作用だけでなくサブ筋作用に対してチューブで同時に負荷掛けしているんです。
【膝チューブSquatやHipスラスト】
メイン大臀筋作用
①作用
股関節の伸展
②負荷タイプ
ウェイト重量で負荷掛け
③筋収縮タイプ
等張性筋収縮(短縮性と伸張性筋収縮)
サブ大臀筋作用
①作用
股関節の外転(や外旋)
②負荷タイプ
チューブの弾性で負荷掛け
③筋収縮タイプ
等尺性筋収縮(アイソメトリクス)に近い状態
以上の様に、今回の行い方はサブの筋作用にチューブで負荷掛けし、アイソメトリクス(等尺性筋収縮)に近い状態にして筋緊張させながら、メインの筋作用にウェイト重量で負荷掛けする方法になります。
この行い方のメリット
メリットは以下の3つです。
筋繊維動員の増加
筋緊張が抜けづらい
刺激し辛い箇所の刺激が可能
メリット1:筋繊維動員の増加
単純に考えて、対象筋の複数の作用に同時に負荷掛けするので、筋活動を高める事が期待できます。
具体的な活用例を2つ挙げます。↓
活用例1
サブの筋作用の負荷が大きい場合
即ちチューブ負荷が大きい場合は、メインの筋作用の使用重量が比較的軽くても対象筋の筋繊維動員の増加が期待できます。これは、関節や軟部組織の保護につながります。
活用例2
サブの筋作用の負荷が小さく最適化されている場合
即ちチューブ負荷が小さく最適化されている場合は、メインの筋作用の使用重量や反復回数が減少する事なく(=総負荷量を減らす事なく)、対象筋の筋繊維動員を高める事が期待できます。
メリット2:筋緊張が抜けづらい
筋緊張が抜けず維持できる事は筋肥大にとってメリットになります。
どんな種目でも負荷が抜ける又は小さくなる可動域が存在しますが、チューブによるサブの筋作用の負荷掛け(ほぼアイソメトリクス状態)で、これを補っているので筋緊張が抜けづらくなります。
これにより、以下が可能になります。
- 代謝ストレスの増加
- 苦手部位の効き向上
- 筋緊張による血流制限トレの実施
メリット3:刺激し辛い箇所の刺激が可能
皆さんもあると思いますが、この種目は○○筋のこの部分に刺激が入るといった経験をしていると思います。例えば、こんな感じです。↓
ショルダープレス
肩前部の刺激が強く、肩側部はそうでもない。
バーベルナロープレス
肘付近の上腕三頭筋の刺激が強く、それ以外の箇所の上腕三頭筋はそうでもない。
ダンベルカール
遠位側(肘側)の上腕二頭筋の刺激が強く、近位側(肩付近)の上腕二頭筋はそうでもない。
という様に、同じ筋肉でも種目によって、その活動が活発になる箇所が異なる実感があります。
研究でも確認されており、同筋肉でも種目によって活発箇所が異なり、その結果、活発箇所が肥大するという事が示されています。
これは言い方を変えれば、種目によって筋肉に不活発な箇所があるという事になりますが、今回の方法でそれを補う事ができます。
不活発な筋肉の箇所をチューブで負荷掛けして緊張を引き出します。
以降に胸・上腕三頭筋・肩の具体例を紹介します。
胸・上腕三頭筋・肩への適用例
胸・上腕三頭筋・肩への適用例を以下に示します。私にとっては、かなり効きが良いです。
胸:スミスベンチプレス+肘かけチューブ
こんな感じです。↓
⇅
サブの大胸筋作用『肩関節の内転』『肩関節の伸展』にチューブで負荷掛けしながら、ベンチプレスをしています。
メイン大胸筋作用
作用
肩関節の水平屈曲(水平内転)
負荷タイプ
ウェイト重量で負荷掛け
筋収縮タイプ
等張性筋収縮(短縮性と伸張性筋収縮)
サブ大胸筋作用
作用
肩関節の内転と伸展
負荷タイプ
チューブの弾性で負荷掛け
筋収縮タイプ
等尺性筋収縮(アイソメトリクス)に近い状態
- スミスマシンの最下にあるプレートホルダーと肘をチューブで連結。
- 頭上➪脚方向かつ床➪天上方向かつ外➪内方向からチューブを肘にかけているので、大胸筋サブ作用『肩関節内転』『肩関節伸展』に常時負荷掛けしてアイソメトリクスに近い状態を作り出してる。
- 挙上時若干ではあるが、チューブは大胸筋メイン作用『肩関節水平屈曲(内転)』にも負荷掛けしている。
私がこれを行なう場合は、チューブ負荷を比較的強めにして行っています。
ベンチプレスの全可動域において大胸筋が緊張しているので非常に効きが良く、通常のベンチプレスでは感じ取りにくい、大胸筋中央付近まで収縮を感じとる事ができます。
また、大胸筋の血流制限トレーニングとして(チューブによる大胸筋の筋緊張で血流制限する)、軽いウェイト重量、かつ高反復回数で実施する場合もあります。
ベンチプレスで大胸筋に効かせられない、効きが弱いという方にオススメです。
上腕三頭筋:スミスJMプレス+肘かけチューブ
こんな感じです。↓
⇅
サブの上腕三頭筋作用『肩関節の内転(長頭)』『肩関節の伸展(長頭)』にチューブで負荷掛けしながら、JMプレスをしています。
メイン上腕三頭筋作用
作用
肘関節の伸展
負荷タイプ
ウェイト重量で負荷掛け
筋収縮タイプ
等張性筋収縮(短縮性と伸張性筋収縮)
サブ上腕三頭筋作用
作用
肩関節の内転と伸展(上腕三頭筋長頭)
負荷タイプ
チューブの弾性で負荷掛け
筋収縮タイプ
等尺性筋収縮(アイソメトリクス)に近い状態
- スミスマシンの最下にあるプレートホルダーと肘をチューブで連結。
- 頭上➪脚方向かつ床➪天上方向かつ外➪内方向からチューブを肘にかけているので、上腕三頭筋サブ作用『肩関節内転(長頭)』『肩関節伸展(長頭)』に常時負荷掛けしてアイソメトリクスに近い状態を作り出してる。
通常のJMプレスは肘に近い側の上腕三頭筋が効きやすいですが、この行い方によって上腕三頭筋全体に効きます。特に、脇閉めを意識して行う場合の長頭の効きの強さは顕著で、とても良い刺激が入ります。
肩:スミスショルダープレス+クロス肘かけチューブ
こんな感じです。見た目強烈ですね。(笑)
⇅
サブの三角筋作用『肩関節の対角線上の外転(側部)』にチューブで負荷掛けしながら、ショルダープレスをしています。
メイン三角筋作用
作用
肩関節外旋位の外転(前部狙い)
負荷タイプ
ウェイト重量で負荷掛け
筋収縮タイプ
等張性筋収縮(短縮性と伸張性筋収縮)
サブ三角筋作用
作用
肩関節の対角線上での外転(側部狙い)
負荷タイプ
チューブの弾性で負荷掛け
筋収縮タイプ
等尺性筋収縮(アイソメトリクス)に近い状態
- 肘に結びつけたチューブ(※1)を対角上にあるスミスマシン最下のプレートホルダーにかける。
- 前側かつ対角方向からチューブを肘にかけているので、三角筋サブ作用『肩関節の対角線上での外転(側部)』(※2)に常時負荷掛けしてアイソメトリクスに近い状態を作り出してる。
- 挙上時若干ではあるが、チューブは三角筋メイン作用『肩関節外旋位の外転(前部)』(※3)にも負荷掛けしている。
※1:チューブの結びつけ方
プレス時にチューブがズレる場合があるので、以下要領で肘にチューブを結びつける。
↓
↓
↓
※2:肩関節の対角線上での外転
こういう動きです。↓
↓
動画はこちら。↓
出典:TrainedbyJPチャンネル TrainedbyJP - How to Crucifix Lateral
この種目は三角筋側部のレイズバリエーションです。三角筋側部の筋繊維方向に合った負荷掛けが出来る種目です。
※3:肩関節外旋位の外転
ショルダープレスは、肩関節が外旋した状態で外転動作をする種目です。外旋位により三角筋前部が上を向いているので、ショルダープレスでは主として三角筋前部に負荷が掛かる事になります。
肩前部がメインで刺激されるショルダープレスで、肩側部も一緒に刺激できないかと思い始めたのがこの行い方です。
狙い通り、肩前部と側部の両方に非常に良く効きます。肩の緊張が全く抜けず非常にきついプレスになります。
セットを進めていくと僧帽筋中部・下部あたりにも副次的に効いている事がわかります。
使用チューブとその負荷調整
参考ですが、使用チューブを載せておきます。
使用チューブ
負荷調整
チューブ負荷の調整は以下要領で簡単にできます。
強度を上げる場合
Case 1:結んで短くする
Case 2:伸ばした状態にする
↓
強度を下げる場合
適当なものをスペーサーとして入れる。私の場合は登山用スリングをスペーサーとしています。
↓
以上です。
上腕二頭筋への事例
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【筋トレ】チューブで筋緊張状態を作り出して種目を行う:『上腕二頭筋』編
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