このブログでは『伸張刺激』という用語がよく出てきます。
この表現は『伸張性筋収縮』『筋肉が伸びた位置での等尺性筋収縮』で得られる刺激を指しているのですが、主に伸張性筋収縮で得られる刺激の意味合いとして使っています。
伸張性筋収縮で得られる刺激とは、筋肉を引き伸ばそうとする負荷に抵抗しているにも関わらず引き伸ばされてしまう刺激です(ブレーキをかけようとするも負けて引き伸ばされる)。
ちなみに、ストレッチは筋肉を引き伸ばそうとする負荷に対して無抵抗で伸ばされている状態なので、伸張性筋収縮とは明確に違います。
伸張性筋収縮は普段のトレーニングのどういった場面で起きているかというと、ご存知のとおり、ウェイトを『下ろす』『戻す』時に起きています。
この時、上述した様な無理やり引き伸ばされている感じはあまりしないと思われるかもしれませんが、ウェイトを『下ろす』『戻す』に動員された筋繊維は、ブレーキとして100%力発揮しているにも関わらず無理やり引き伸ばされています。
ウェイトを『下ろす』『戻す』際、その重量と速度に応じて動員される筋繊維の数が間引かれます。間引かれずに動員された筋繊維は100%力発揮し抵抗しますが、動員数が少ないので引き伸ばされてしまうわけです。
こうした伸張刺激は筋肥大に有効な刺激です。
筋肥大要因『筋損傷』をしやすいですし、速筋繊維が優先的に働きます。また、比較的ゆっくりとした伸張性筋収縮で得られる伸張刺激は、mTORのリン酸化が上がり筋タンパク質合成が高まるなど筋肥大にポジティブな刺激です。
やっと本題に入ります(笑)。
この伸張刺激がお尻に入る種目は代表的な種目にいくつかありますが、脚の関与が少なく強い伸張刺激が入る種目はそうそう有りません。
本日はその一例として、レッグプレスマシンを活用したお尻の伸張種目を紹介します。
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プレッツェル・グルートECCローディング
しっかりと伸張刺激を入れて筋肥大させるのに必要な要素として『使用重量』や『下ろす・戻す速度』があります。これらは、多くの筋繊維を動員させる事に関わります。
他にも大切な要素として、その筋肉がよく伸びる動作・方向に負荷掛けするという事も重要です。
この観点から、お尻を伸ばす動作やフォームをどうしたらいいか?なんて考える必要もなく、代表的なお尻のストレッチを思い浮かべればいいんです。
代表的なお尻のストレッチといえば『プレッツェル・ストレッチ』です。↓
出典:ASICS Japanチャンネル お尻の下部ストレッチ
このストレッチ、やればわかりますが、お尻がかなり伸びます。これにレッグプレスマシンで負荷掛けしたものが、本日の主役『プレッツェル・グルートECCローディング』です。
刺激する部位
大臀筋(特に下部繊維)。
出典:James H.Clay David M.Pounds著 クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック
行い方
45°レッグプレスマシンで行なっています。概要写真です。↓
この写真の場合、左のお尻を刺激しています。
別角度から。↓
(1)準備:可動域の設定
- お尻がしっかりストレッチする位置に45°レッグプレスマシンのストッパーを設定する。
- 良い具合にストッパーが設定できない場合は、プレートウェイト等で調整する。
ストッパーが良い位置に設定できない場合は、プレートウェイトなどで調整する。↓
(2)行い方詳細
この種目は片側ずつ行なうエクササイズです。以下は、左のお尻を刺激する場合を例として説明しています。
step
1開始姿勢
- プレートを加重して使用重量を設定。
- 右脚をレッグプレスマシンのプラットフォームにあてる。
- 以下の写真のように左脚を右脚に乗せる。
- プラットフォームのロックを解除する。
step
2下ろしてお尻に伸張刺激を入れる
- 下ろし動作開始。
- 左のお尻を伸ばそうとする負荷に対して左のお尻で抵抗しながら等速4秒かけて下ろす。
- 事前設定したセイフティにつく直前で止めて、左のお尻に力を入れたまま1~2秒保持。
- 保持後、セイフティに着地し、右脚も左のお尻も脱力する。
下ろし動作及び直前止めの際に左のお尻が安全に抵抗力を発揮できるのは、もちろん、右脚の抵抗力があっての事です。右脚の絶妙な筋出力の配分があって成り立ちます。
右脚の筋出力が高すぎては左のお尻に良い負荷は入れれませんし、逆に、右脚筋出力が低すぎると左のお尻や股関節に怪我を招く可能性があります。
安全に、かつ良い刺激を左のお尻に入れるには、右脚の筋出力のコントロールが重要なんです。しかも、そのコントロールがほとんど意識せずにできて、抵抗力を発揮する左のお尻に意識のほとんどを向けてこの種目を実施する事が望ましいです。
ですので、この種目は難しい部類のもので、上級者やトレ経験豊富な方対象となります。
ちなみに、左のお尻に伸張刺激をしっかり入れるために設定した使用重量と可動域は、右脚にとっては大した負荷ではないし、可動域も不十分(狭い)なので右脚が過度に発達する事は無いと考えています。
一方、左脚には全く負荷がかからず、お尻のみにしっかり伸張刺激を与える事ができます。これは、この種目の利点です。
step
3開始姿勢に戻る
- 左のお尻は脱力したまま右脚でプラットフォームを押し上げて開始姿勢に戻る。
- 又は、右脚に乗せた左脚を開放して両脚でプラットフォームを押し上げて開始姿勢に戻るのもアリ。この場合は、押し上げたら、一旦、プラットフォームをロックしてから再度開始姿勢をつくり、ロックを解除する。
この時も右脚にとっては大した負荷ではなく、可動域も不十分(狭い)なので右脚が過度に発達する事は無いと考えますが、使用重量が重くなってきたら上述のとおり、両脚で押し上げて右脚の負担を減らせばよいです。
以上、このStep2と3を繰り返します。
使用重量やセット数など
(1)使用重量
上記行い方で、反復限界8回の重量。
反復限界とは、等速4秒で下ろせなくなること。
(2)使用重量を増やすタイミング
上記行い方で、キッチリ8回できる事に慣れたセットは次回トレで2.5kg増量する。慣れていないセットは増量しない。
(3)反復回数
8回。
(4)セット数
片側3セットずつ。
(5)セット間休息
1~2分。
注意
以下の方はこの種目は不要です。怪我のリスクも高まります。
- 初心者やトレ経験が浅い方。
- マインド・マッスル・コネクション(意図する筋肉が意識できる)や力発揮のコントロールが未熟な方。
- 膝や股関節に痛みや何らかの疾患、障害をかかえている方。
- お尻の柔軟性が著しく低い方。
- 筋力レベルが低い方。
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