相反抑制をご存知でしょうか?神経系の制御機構で、互いに拮抗しあう筋肉の活動を抑制する仕組みです。
主動筋が収縮する時に拮抗筋は弛緩されるということです。
これをエクササイズに利用して、意図する筋肉をよりアイソレートして鍛える事ができます。
本日はその一例を紹介します。
腹筋種目の『シットアップ』はご存知だと思います。
出典:Bodybuilding.comチャンネル Sit Up - Core / Abs - Bodybuilding.com
これに相反抑制を適用した『ジャンダ・シットアップ』を紹介します。
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ジャンダ・シットアップ
股関節を伸展させる筋肉『ハムストリングス』や『大臀筋』を収縮させながらシットアップを行います。提唱者のVladimir Janda博士の名から『ジャンダ・シットアップ』と呼ばれています。
実施例をいくつか示します。
パターン1:お尻とかかとの間にプレート設置
出典:Dominic Parisチャンネル Janda situp 2
配置したプレートにかかとを強く押しつけて(これ以上曲がらないけど膝を曲げようとする)、ハムストリングスに力を入れ続けながらシットアップを行います。
大臀筋にも力を入れれれば尚いいですが、難しいと思うのでハムストリングスの収縮に専念でOKです。
出典:Dominic Parisチャンネル Janda situp 2
パターン2:スミスマシンやパワーラックでバーを利用する
出典:Primal Strength & Movementチャンネル Janda sit up
スミスマシンやパワーラックで固定されたバーに、ふくらはぎを強く押しつけてハムストリングスに力を入れ続けながらシットアップを行います。
これも大臀筋に力を入れずらいので、ハムストリングスの収縮に専念でOKです。
ふくらはぎに痛みがあるのでバーにパッドを巻くとよいです。
出典:Primal Strength & Movementチャンネル Janda sit up
パターン3:シットアップベンチ
通常、シットアップベンチでシットアップを行なう場合、パッドに足首付近をひっかけて行ないますが、これをふくらはぎ側のパッドにふくらはぎを強く押しつけて(これ以上曲がらないけど膝を曲げようとする)、ハムストリングスに力を入れ続けながらシットアップを行なうようにします。
このパターンは比較的大臀筋にも力が入れやすいので、出来る方は多少膝を下に押し込んで(これ以上下に押し込めないけど押し込もうとする)、大臀筋にも力を入れ続けながらシットアップを行います。
出典:ehowhealthチャンネル How to Use a Sit-Up Bench : Advanced Exercise Tips済
パターン4:
出典:HAPAcademyチャンネル HAPAcademy - Banded Sit Ups
チューブでハムストリングスに負荷をかけながらシットアップを行います。
ハムストリングスの収縮がしっかり引き出せるように、以下で強度を調整します。
チューブ自体の強度
チューブ固定箇所と自分との距離
離れるほどきつくなる
脚にチューブをかける位置
膝付近:弱、かかと付近:強
これも比較的大臀筋にも力が入れやすいので、出来る方は多少足裏を床に押し込んで大臀筋にも力を入れ続けながらシットアップを行います。
他にも色々やり方はあると思います。しっかりハムや大臀筋が収縮していれば、通常のシットアップの場合より腹筋に負荷がかかる事がわかると思います。
何故ハムや大臀筋に力を入れるのか?
シットアップは腹筋だけでなく、股関節を屈曲させる筋肉も働きます(腸腰筋や大腿直筋など、もも上げの筋肉)。
ですので、一般的なシットアップでは、両膝を曲げて寝る事で股関節の屈筋の寄与を減少させています。
具体的に記すと以下の状態なので、股関節の屈筋は力発揮しにくくなり、腹筋の力発揮がより必要になります。
両膝を曲げて床やベンチに寝る
=床やベンチに支えられ股関節が屈曲
=股関節の屈筋は縮んで緩んでいる
この一般的シットアップに上述した相反抑制を利用して、さらに股関節の屈筋の寄与を減少させたのが『ジャンダ・シットアップ』です。
股関節屈筋(腸腰筋や大腿直筋など)の拮抗筋は股関節を伸展させる筋肉ハムストリングスや大臀筋になります。
これらの筋肉を収縮させれば、相反抑制により股関節の屈筋は弛緩して力発揮しにくい状態になり、シットアップで腹筋が強調されます。
このようにジャンダ・シットアップは『支えられた股関節屈曲姿勢』+『相反抑制』の2本立てで股関節の屈筋を弛緩させ、腹筋を強調させています。
参考ですが、Larson氏他3名の筋電図研究によると、ハムストリングスを収縮させてクランチを行った群は収縮させなかった群と比較して、腹直筋下部で26.89%、外腹斜筋で46.3%の筋活動の有意な増加が確認されています。
また、これも参考ですが、シットアップ中に腰背部が痛くなる方は、そのシットアップ動作で股関節の屈筋の寄与が大きくなっている可能性があります。
股関節屈筋の大腰筋と小腰筋の働きが大きくなると、付着部の脊椎が引っ張っれ腰部の緊張も生じ痛みが発生します。
そういった場合も『ジャンダ・シットアップ』で股関節屈筋の収縮を抑制させる事で、腰背部痛の緩和が期待できます。
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