体脂肪を減らす目的で有酸素性運動を行う方は非常に多いです。
ただ漠然と取り組む方もいれば、体脂肪1gのカロリー=7.2kcalという情報と有酸素マシンが示す消費カロリーをもとに、どの程度の有酸素性運動量をこなせばよいか見積もって取り組む方もいらっしゃいます。
ですが、思いのほか体脂肪燃焼が進まず挫折してしまうケースがほとんどです。
思ったペースで燃焼しないのはその見積もりが甘いからで、見積もりが甘くなる理由は以下を前提としているからです。
- 体脂肪1g=7.2kcal
- 有酸素性運動の消費カロリーは全て体脂肪で賄われている
本日は、このへんの情報を見直してみたいと思います。
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体脂肪1gのカロリーは9.5kcal
よく目にしたり聞いたりする体脂肪1gのカロリーは7.2kcalです。
これを初めて知った時、ふと不思議に思ったんですよ。
食べる脂肪1gは9kcalなのに、体の脂肪になると7.2kcalに減る!? 何故? なんか別物に変わっちゃうって事?
そこでwebを見てみますと、以下だというのです。
栄養の脂肪(脂質)1gのカロリーは9kcal
だけど体脂肪は純粋な脂肪ではなく約2割が水分で8割が脂肪
だから体脂肪1gカロリー=9kcal×0.8=7.2kcal
これを素直に受け止めると、『摂取した1gの脂肪が体に蓄えられるとき、その2割が水分に変わる』という事になります。。。?
そんな体内の反応は、聞いたことも見た事もありません。脂肪の一部が水分に変わるなんて、「沢山食べて太らせて、トレーニングでその脂肪を筋肉に変えればいいんだよ!」くらいあり得ません。
正しくは、摂取した脂肪が体に蓄えられる際、その一部が水分に変わるのではなく、水分が加わって一緒に蓄えられるという事です。
これを脂肪組織といいます(脂肪組織=体脂肪+水分)。
ですので、体脂肪のカロリーは口に入れる前の脂肪のカロリーとなんら変わりありません。
ということで以下になります。
体脂肪1gカロリー
=栄養の脂肪(脂質)1gカロリー
=9kcalです。
といいたいですが、もう1つ間違いがあります。
栄養の脂肪(脂質)のカロリー9kcalは、約95%の吸収率を考慮して出されたものです。摂取した脂肪の5%は吸収されず排泄されるという事です。
ですので、栄養の脂肪(脂質)の実際のカロリーは9.5kcalでして、体脂肪は消化・吸収を終えたものなので約95%の吸収率が考慮不要となり、体脂肪1gカロリー=9.5kcalとなります。
体脂肪は、水分が加わり脂肪組織として蓄えられるといいました。その体脂肪と水分の割合は8:2です。
おそらくですが、よく目にする体脂肪1gカロリー=7.2kcalというのは、体脂肪ではなく脂肪組織1gのカロリーの事をいってるんだと思います。
だとしても、上式の9kcalは吸収率無関係な体脂肪のはなしなので9.5kcalが正しいですから、以下が正解です。
どのみち7.2kcalはおかしな値という事です。
ちなみに、クラブ・ジムやご家庭にある体脂肪計が示す体脂肪率や体脂肪量は、『脂肪組織』の率や量を表しているでは無く、上述してきた『体脂肪』の率や量を表しています。
ですので、体脂肪計の値を参考に減量を進めている方は、体脂肪1gカロリー=9.5kcalで見積もる必要があります。
脂肪組織・体脂肪なんて細かな事はいいから兎に角減ればよいという方には、この項の話はあまり重要ではなかったかもしれません。
ですが次の項の話は無視できないと思います。
消費カロリーは全て脂肪で賄われてはいません
有酸素性運動マシンは、その運動で消費したカロリーを表示してくれます。
この消費カロリーを体脂肪1gカロリーで割る事で、消費した体脂肪量を把握する方がほとんどです。↓
有酸素性運動で消費した体脂肪量[g]
=消費カロリー÷体脂肪1gカロリー
この式を素直に受け取ると、『消費したカロリー全てが体脂肪で賄われている』という事になります。運動生理的に、これはあり得ません。
人のエネルギー源は脂肪だけではないし、体は運動強度が高まるに連れて脂肪を消費する割合が少なくなり、その分糖質を消費する割合が高まるからです。
これを見て下さい。Astrand氏とRodahl氏によって示されたグラフです。運動強度とエネルギー源の使用割合の関係です。

このグラフから、運動強度が高くなるほど脂肪の消費割合が減少して、その分糖質を使用する割合が増加する事がわかります。
脂肪が使われる割合が一番高い安静時でさえ、脂肪がエネルギーとして使われる割合は50%程度です。有酸素性運動は明らかに安静時より高い運動強度ですから、脂肪が使われる割合は50%より低くなります。
ですので、その有酸素性運動で消費した体脂肪量は多めに見たとしても以下になります。
有酸素性運動で消費した体脂肪量[g]
=消費カロリー÷体脂肪1gカロリー×脂肪消費割合0.5
多めに見積もっても、いつもの見積量の半分という事です。
比較してみます
体脂肪燃焼量の一般的な見積もりと見直した見積もりを比較して、どの程度の違いがあるか確認してみます。
体脂肪燃焼量の一般的な見積もり
以下を前提としている。
- 体脂肪1gカロリーは7.2kcal。
- 消費したカロリーは全て脂肪で賄われる。
体脂肪燃焼量の見直した見積もり
以下を前提としている。
- 体脂肪1gカロリー9.5kcal。
- 消費したカロリーは全て脂肪で賄われていない。
- 多めに見積もっても脂肪が使用される割合は50%程度
例として30日間毎日有酸素性運動で500kcal消費した場合、どの程度の体脂肪が燃焼するのか比較します。
※前提:運動後の代謝増加について
しっかりとした筋トレ後に基礎代謝は増加しますが、一般的な減量目的の有酸素性運動では増加が見込めません。増加したとしても低いレベルですので、有酸素性運動によるエネルギー消費は実施中のみと考えて問題ありません。
体脂肪燃焼量のこれまでの見積もり
30日間の総消費カロリー
500kcal×30日=15000kcal
30日後の体脂肪減少量
15000kcal÷体脂肪1gカロリー7.2kcal
≒2083g≒2.08kg
30日後、2kg程度の体脂肪が減少する見積もりになります。
体脂肪燃焼量の見直した見積もり
30日間の総消費カロリー
500kcal×30日=15000kcal
30日後の体脂肪減少量
15000kcal÷体脂肪1gカロリー9.5kcal×脂肪消費割合0.5
≒789g≒0.79kg
30日後、0.8kg程度の体脂肪が減少する見積もりになります。
ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、比較結果を列記すると以下になります。
これまでの見積もり=1ヶ月で体脂肪2kg減
見直した見積もり=1ヶ月で体脂肪0.8kg減
かなりの開きがあります。脂肪消費割合多めの50%にしてこれですから、実際はさらに開きがあると考えられます。
体脂肪は思っている以上に燃焼されないんです。
(その有酸素性運動に慣れると体の適応により消費するカロリーが減って、さらに体脂肪の燃焼は低くなる可能性があります。)
ですので、多めに見積もったとしても、有酸素性運動で消費した体脂肪量は消費カロリー÷体脂肪1gカロリー9.5kcal×脂肪消費割合0.5で見積もる必要があると思います。
この記事の冒頭でかきました、『有酸素性運動で減量しようとする方のほとんどが挫折してしまう』と。。。思った又は想定したペースで体脂肪が燃焼されないからです。
ですが、今回説明したとおり、体脂肪は思っている以上に燃焼されない物と認識して、どんと構えて有酸素性運動に取り組めば挫折せず減量効果が得られるかもしれません。
『かもしれない』というのは、食事が無頓着だと有酸素性運動の体脂肪減少効果が埋もれてしまうからです。
食事はほんの数分で数百キロカロリーを得る事ができます。一方、有酸素性運動は数百キロカロリーを数分なんかで消費できませんし、体脂肪減少効果が小さいです。
ですので、食事が無頓着だと有酸素性運動の体脂肪減少効果が埋もれてしまうのは当然です。
減量目的の方は食習慣の見直しが必須だと個人的には思っています。運動だけで減量しようとする方は、そのほとんどが失敗に終わっています。
以上です、参考になれば嬉しです!
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