バーベル・ベンチプレスは伸張刺激(筋肉が伸びて張る)と比較して、短縮の刺激(筋肉が縮み固まる)が得にくい種目です。
バーベルを下げる際は、その重量を胸に乗せて大胸筋が引伸ばされる感が得やすいですが、挙げる際は大胸筋が縮んで強く収縮する感が得にく方が多いと思います。
後で説明しますが、バーベル挙上動作時の意識のしかたやマインド・マッスル・コネクションの向上などで、バーベル挙上時の大胸筋の短縮(感)をある程度向上させる事ができます。あと、単純に大胸筋の筋量が増えてくると感じやすくなります。
しかし、ベンチプレスはその構造・特性からバーベルを下す時の伸張刺激が得やすい事に変わりありません(そう私は思っています)。
なので私は、ベンチプレスを伸張刺激メインの種目と捉え、扱える範囲で高重量を用い、その負荷をしっかり乗せながら下ろす事に最大の注意を払っています。極端な表現ですが、挙上はどうでもよく(笑)、下ろす行為を繰り返し行うために挙げている感覚です。
こういった捉え方でベンチプレスを取り入れる事が多い私ですが、バリエーションとして、挙上時の大胸筋の短縮に重点をおいたやり方で行う事もあります。本日はそのやり方をご紹介します。
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挙上時の大胸筋短縮を重視したベンチプレス
パワーラックのセイフティバーとチューブを活用してベンチプレスを行います。↓

このように行う事で、両肘を中央に寄せる動き(肩関節の水平屈曲)にチューブで負荷がけできるので、バーベル挙上時の大胸筋短縮が高まります。詳細下記します。
使用チューブ
私やクライアント様にはこれを使っています。
もちろん、これでなくてはダメではありません。
※2022.9.28追記
上記チューブは旧型ですが、最近、仕様変更されました。正直に言いまして、仕様変更後は切れやすくなったと感じます(個人的感想)。旧型は非常に丈夫でしたが。。。現在、代わりの商品を探しています。
行い方について
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1セイフティバーの設定
パワーラックのセイフティバーの高さは、バーベルを下した際に胸にふれず、ご自身が下せる範囲で出来るだけ低く設定します。
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2バーベルをセイフティバーに乗せる
このやり方のベンチプレスはボトムから開始します。ボトム→トップ→ボトムで1反復です。
step
3バーベルにチューブとプレートを装着
基本的には写真のように、バーベルシャフトにチューブをかけてからプレートをつけていきます。

step
4チューブを肘にかける
チューブをセイフティバーの下から肘にかけます。

セイフティバーの下からかける事が重要です。下を通さず上からかけた場合、バーベルを挙上した際に肘にかけたチューブがズリ上がる場合があります。
また、下から通した方が、挙上時の肘を内に寄せる動作に対して理想的な方向からチューブの負荷がかかります。
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5ベンチプレスを実施
セイフティバー上にあるバーベルを握り、『プレスしてトップまで挙げる』→『セイフティバーに触れる直前まで下ろす』を繰り返します。動作のコツは以下です。
- 挙げ始めからスティッキングポイント付近までは『押す』動作で挙げる。
- スティッキングポイントを越えた辺りから『肘を内に寄せる』動作で挙げる。
- 肘がしっかり伸びきるまで『肘を内に寄せる』動作を行う。
- バーベル負荷を大胸筋に乗せて緊張を維持しながら下す。

バリエーションについて
各反復で、ボトムの伸張反射防止と大胸筋をしっかり緊張させてからバーベル挙上を開始するため(挙上時の大胸筋短縮向上のため)、ラックプレス式でこの方法を行います(私は殆どこの方法で行っています)。実施要領は以下です。
セイフティバー上のバーベルをトップまで挙上
↓
バーベルを下しセイフティバーに乗せる
↓
いったん脱力する
↓
バーベルが浮き挙がらない程度の力で押す
↓
大胸筋が緊張している事を感じ取る
↓
(感じ取ってから)挙げ始める
これを繰り返します。
他にも、手幅を狭めてナロープレスぎみでこのやり方を行う事で、大胸筋内側の短縮刺激を高める事ができます。
両バリエーション共に、挙げ下し動作のコツは上述した通りです。
パワーラックのセイフティバーは固定する。
このやり方で行う場合、使用するパワーラックはセイフティバーが固定できるものをおすすめします。
パワーラックによってはセイフティバーの脱着が簡素化され、簡単に浮き上がるものがあります。これでこの方法を行うと、バーベル挙上時にセイフティバーが浮き上がって外れる場合があり危険です。
このようなパワーラックしかジムにない時は、こんな風にセイフティバーに加重して浮き上がらないようにしています。

チューブの負荷の増し方
チューブ自体の強度を変える以外に、このようにプレートの次にチューブをかける事でチューブの負荷が増します。

これは、プレートの直径や厚さによってチューブと肘までの距離が長くなり、その分負荷が増す事になります。
どのプレートを使うか、どのプレートの次にチューブをかけるかによってチューブ負荷を細かく調整できます。
伸張刺激を重視したベンチプレス
大胸筋に伸張刺激を与える事を目的にベンチプレスを行う場合は、今回の方法は不向きなので行わず、扱える範囲でバーベル自体の負荷を増やし(プレートで負荷を増やす)、それを大胸筋にしっかり乗せて下ろす事を重視して行ってください。
各やり方はそれぞれに特長があります。
今、自分に必要な刺激の種類は何かを把握し(自分に足りない刺激の種類ともいえる)、その得たい刺激が選択したやり方で得られるのか、そこが大切だと思います。
ちぐはぐなやり方を選択しないためにも、エクササイズや、やり方の特性を理解する事が大切です。
『押す』ではなく『肘を内に寄せる』を重視する
セイフテイーバーやチューブを活用した特殊なベンチプレスをご紹介しましたが、このやり方の動作のコツは通常のベンチプレスにも適用でき、バーベル挙上時の短縮(感)を強める事ができます。
ベンチプレスは、その名のとおり『押す』動作でバーベルを挙げる場合が多いと思います。これはバーベル挙上時の大胸筋の短縮感が得にくい理由の1つです。
ボディメイクで行うベンチプレスは、肘を開いてバーベルを挙げる事で、大胸筋の作用である『肩関節の水平屈曲』に対し負荷がかかります(大胸筋の短縮に対して負荷がかかる)。
肩関節の水平屈曲とは、ベンチプレスの姿勢で肘(腕)を内に寄せる動作の事です。大胸筋が短縮(縮み固まる)する事で、この動作ができるわけです。
ですので、ベンチプレスのバーベル挙上を単純に『押す』と認識して行うのではなく、以下の様に捉えて行うことで、バーベル挙上時に大胸筋の短縮(感)を増す事ができます。
大胸筋が縮む
↓
肘(腕)が内に寄る
↓
バーベル握っているので肘(腕)が連動して伸びる
↓
結果としてバーベルが押し挙がる
要は、ベンチプレスを『肘を内に寄せる』動作と捉えて行うということです。

これについて1記事に纏めたものがこちらです。↓
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【筋トレ】ベンチプレスやチェストプレスマシンで大胸筋の収縮を高める挙げ方
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