先に書いておきますが、ハマっている筋肥大トレ方針とは『必要最低限の刺激を与える→とっとと回復させる』を頻度多く行なうものです。
これが良いなと思ったのは、一度のトレーニングで得られる筋肥大量には限りがあるという理論的背景と、実際に試してきて筋力、筋肥大ともに向上できている実体験があるからです。
この方針について、2記事に分けて説明したいと思います。前編の本日は、前段的内容で恐縮ですが上記トレ方針に至るきっかけの話です。
伝えたい要点
- 過去のトレーニングは、週1回1部位を多量にトレーニングするもの。そうした理由は、筋肥大は『筋破壊(筋損傷)→再生』のみで起こると思っていたから。
- しかし実際は、筋損傷はもともと起きづらいし、Repeated bout effectにより更に抑制される事を知る。
- これにより、筋肥大は『筋破壊(筋損傷)→再生』以外の要因でも起き、筋回復を確保しつつトレーニング頻度を上げれる(筋肥大の機会を増やせる)可能性があると考え始め、トレーニング方針を見直す事になる。
【広告】
過去にメインにしていた筋肥大トレ方針
また私の昔話から始まります。すみません。
私が学生~社会人初期の頃、トレーニングは各部位週に1回のみで、1日1部位を多量にトレするパターンでした。例えばこんな感じ。↓
月曜日:胸
火曜日:背中
水曜日:肩
木曜日:OFF
金曜日:腕
土曜日:脚
日曜日:OFF
というような、1週間で全部位が鍛え終わるルーティンでした。これ、最近よく目にする『broスプリット』とよばれるものです。
伝統的なスプッリットルーティンで、近年の科学的なそれとは異なるので少し見下した感で扱われる場合もありますが、効果があるスプリットルーティンである事は間違いありません。
そう思うのは、私はこれで筋量の基礎を作ってきましたし、過去も現在もこのスプリットルーティンで驚愕な体を作ってきたビルダーが多くいるからです。
こういった事実が沢山ある以上、最近の科学的知見と異なるからというだけで見下されたり、否定されたりするものでは無いと思います。いきなり話がそれました(笑)。戻します。
各部位週1回で1日1部位多量トレをしていた私、そうしたには理由があります。単純に当時のトレンドで、多くのボディビル系雑誌で見るスプリットルーティンだったからというのもありますが、一番の理由は『筋破壊→再生』のみで筋肥大がおきると思っていたからです。
私が『各部位週1回・1日1部位ルーティン』をしていた理由
過去に、各部位週1回で1日1部位多量トレのスプリットルーテインをメインにしていた時期があります(現在もバリエーションとして行う場合があります)。
これを採用していた一番の理由は『筋破壊→再生』のみで筋肥大がおきると思っていたからです。当時の私はこういう考えだったので、筋肥大量は破壊できた筋繊維数に比例すると思っていました。
なので、出来るだけ多くの筋繊維を破壊させようと、その日のトレーニングは1部位だけに専念してトレーニング量を多くこなしていましたし、これにより破壊された筋繊維が多量になるであろうから回復にかける時間も多くとっていました(各部位トレは週に1回だけ)。
それと筋肉痛の有無・程度も重視していまして、翌日の筋肉痛がなかったり又は痛みの程度が小さかったり、そんな場合は凹んでましたね。『無駄なトレーニングだった。。。』『甘い自分に腹が立つ!』なんて思ってましたから。(笑)
筋肉痛は筋繊維の破壊によるもので、酷い筋肉痛は多くの筋繊維を破壊できた証だと思っていたので、筋肉痛を追い求める様なトレーニングをしていました。
ですが、こういうトレーニングをやりつつ、いつも疑問に思っていた事がありました。
それは筋肉をしっかり痛めつけたであろう会心のトレを続けていっても、次第に筋肉痛が得られなくなったり、その程度が小さくなってしまう事です。
新たなプログラムを実施して満足な筋肉痛が得られても、2回目の実施では途端に得られなくなったり、痛みの程度が極端に落ちたりといった事になる。。。凄い疑問でした。
そんな中、少しずつ筋トレ、筋肉の知識を得てきた事で、その疑問が解けてトレーニングに対する考えが変わってきます。
私が『各部位週1回・1日1部位ルーティン』に固執しなくなった理由
筋トレや筋肉について得た知識によって、それまでの『各部位週1回で1日1部位多量トレ』に固執する事が無なくなりました。その理由は以下になります。
1.『筋破壊』なんて殆ど生じていない
上述の表記で敢えて『筋破壊』と表現しました。これは当時の私が使っていた表現そのままです。なぜこんな大袈裟な表現を使用していたかと言うと、筋トレによって筋肉が大きく壊れる・傷つくと思っていたからです。
ですが事実は、ジムで日頃行なえるレベルのトレでは筋破壊なんていう大きな壊れや傷つきは殆どおきません。
一例ですがMacIntyreさん達の研究で示される様に、かなりキツいネガティブトレーニング(レッグエクステンション300回の高負荷ネガティブレップ)でも破壊レベルの様な事は無く、極一部の『損傷』程度です。
キツいネガティブトレーニングといった特殊な方法では無く、日頃ジムで行なう様な通常トレでは損傷ですらそうそう起きるものではないんです。起きたとしても、その程度は光学顕微鏡や電子顕微鏡で確認できる微小損傷であり、分子レベルの損傷が実際のところです。
しかも、後編の記事で説明しますが筋肥大に筋損傷は必ずしも必要ではありません。筋肥大が起きるのは『筋損傷→再生』だけではないんです。
2.筋肉痛は筋損傷の指標ではない可能性が高い
筋肉痛ですが、未だにそのメカニズムははっきりしていません。乳酸説(これは完全に否定)、筋損傷説、筋膜・結合組織損傷説、神経損傷説など複数の説があり不明のままです。
いえる事は、SchoenfeldさんとContrerasさんの論文に示されているとおり、筋肉痛の原因は筋損傷説よりも筋膜・結合組織損傷説の方が有力であるようだという事です。
この時点で筋肉痛=筋損傷の指標は怪しくなってきます。実際、Nosakaさんの研究では、筋肉痛の程度は筋線維の損傷の程度を反映していないという結果になっています。
経験的にも確実に言える事ですが筋肉痛が起きなくても筋肥大はします。なので、筋肥大トレの善し悪しを筋肉痛の有無や痛みの程度で判断する必要はありません。
3.Repeated bout effect(繰り返し効果)の存在
Repeated bout effect(繰り返し効果)とは、同じ運動を繰り返す事で筋損傷が短期間で減少する事です。(McHughさんのレビュー論文)
この短期間での減少効果は、Newhamさん達の研究で示されるように筋肉痛でも起こります。皆さんも日頃のトレーニングで経験があると思いますが、トレーニングを日々行っていくと筋肉痛って起こりにくくなりますよね。
また、筋肉痛がある部位をトレーニングすると、次の日に筋肉痛が消失したり緩和した事ありませんか?yamaguchiさんとOkadaさんの研究をみてみると、筋肉痛時にトレーニングを行っても筋肉痛が悪化するどころか抑制され、それだけでは無く筋力増加などのトレーニング効果も得られる結果となっています。
この様に、筋肉の強化(筋肥大)によるものでは無く、Repeated bout effect(繰り返し効果)によって筋損傷や筋肉痛は短期間で起こりにくくなるんです。
Repeated bout effect(繰り返し効果)のメカニズムはわかっていません(いくつか仮説が提唱されています。)。
以上のとおり、ジムで行なう様なトレーニングでは筋損傷は起こしづらいし、Repeated bout effect(繰り返し効果)で更に起きにくくなるのが現実。
また、筋肉痛は筋損傷による痛みではなさそうだし、こちらもRepeated bout effect(繰り返し効果)で殆ど起きなくなるもの。
これらの事から、『各部位週1回で1日1部位多量トレ』の前提としていた『筋破壊(筋損傷)→再生』のみで筋肥大が起きるという考えは崩れ、『筋肥大が起こる主要因は他にあるんじゃないか』と思うようになりました。
加えて、筋肉という物体自体の回復を重要視し過ぎていた事にも気づきました(1部位週に1回しかトレしていなかった)。
筋肉の破壊や損傷は殆ど起きない、Repeated bout effectで助長されるので、栄養摂取(使った筋グリコーゲンの補充や材料にあたるタンパク質の供給など)と慢性疲労(神経系的要因が大きいと思われます)に気をつければ、筋肉の回復を確保しつつ1部位あたりのトレ回数を増やせるのではないか(筋肥大の機会を増やせるのではないか)と考えるようになりました。
こういった経緯があり、トレーニングの方針を見直す事になります。
本日はここまでです。冬季五輪カーリング女子決勝観戦に備え寝ます(笑)。前段的内容ですみませんでした。
後編はこちら。↓
続きを見る
【筋トレ】ここ数年の私のトレーニング方針『最適容量高頻度トレーニング』について(2/2)
パーソナルトレーニングのお問い合わせはこちらから
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
facebook https://www.facebook.com/ZealKenta/
【広告】