筋トレ種目の分類に『ストレッチ種目』というものがあります。
この『ストレッチ種目』はPOFトレーニングで定義されたもので(違ってたらゴメンなさい)、その定義によるとストレッチ種目は筋肉が伸びている時に最大の負荷がかかる種目で、筋肉に強い伸張刺激が入る種目となります。
ここで、上腕二頭筋の代表的なストレッチ種目としてよく挙げられる『インクラインダンベルカール』を考えると、ストレッチ種目の定義にそぐわないと思うんです。
インクラインダンベルカールを実際行ってみると、上腕二頭筋が伸びてる時(=ボトム位)で筋肉が強く引き伸ばされる感(伸張刺激)はイマイチですし、物理的にもボトム位で最大の負荷はかかりません。
本日は、この辺を含めながらインクラインダンベルカールのメリットの見直しや、それに代わる上腕二頭筋のストレッチ種目をいくつか紹介します。
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インクラインダンベルカールのメリット
インクラインダンベルカールの利点は、カール動作で上腕二頭筋が動員されやすいことです。
インクラインダンベルカールは通常のダンベルカールやバーベルカール等の他カール種目と比較して、上腕二頭筋が伸びた姿勢になります。
理由は、上腕二頭筋が肩関節と肘関節を跨ぐ二関節筋だからです。
筋肉は伸ばされると動員されやすく縮んで緩むと動員されにくい性質があるので、筋肉が伸びた姿勢でカールするインクラインダンベルカールは上腕二頭筋が動員されやすい種目になるわけです。
次に、インクラインダンベルカールはPOFトレーニングの『ストレッチ種目』、すなわち筋肉が伸びている時に最大の負荷がかかる種目(=強い伸張刺激が入る種目)なのかみてみます。
インクラインダンベルカールのボトム位は、この種目の可動域の中で上腕二頭筋が最も伸びる位置であり、内部モーメントアーム(筋肉付着部と関節の距離)が非常に小さいくなるので上腕二頭筋の強い力発揮が必要となる位置ではありますが、この位置では物理的に強い負荷(=上腕二頭筋を強く引き伸ばそうとする負荷)が入りません。
外部モーメントアーム(負荷モーメントアーム:負荷と関節の距離)が小さいからです。
出典:Sean Nalewanyjチャンネル The Seated Incline Dumbbell Curl (Top Bicep Curl Variation)
上写真では、ボトム位で肘を軽く曲げているので上腕二頭筋を引き伸ばそうとする負荷が多少入りますが、ボトム位で肘を伸ばし切ってしまうと肩関節と肘関節が負荷方向に重なって外部モーメントアームは無くなり、負荷がかからなくなります。ただの軽いストレッチ状態です。
以上のとおり、インクラインダンベルカールはPOFトレーニングの『ストレッチ種目』、すなわち筋肉が伸びている時に最大の負荷がかかる種目(=筋肉に強い伸張刺激が入る種目)とは言い難いと思います。
ちなみに、インクラインダンベルカールをPOFトレーニングの種目に分類すると、『ミッドレンジ種目(可動域中間で最大負荷がかかる)』になると考えます。
通常のダンベルカールやバーベルカールと比較すると、やや伸張位で最大負荷がかかるでしょうが、これら種目と同じミッドレンジ種目だと思います。
ですので、インクラインダンベルカールは強い伸張刺激が得られるといった利点よりも、他カール種目と比較して上腕二頭筋が伸びた姿勢でカールできるので、上腕二頭筋が動員されやすいという事が大きな利点になります。
次に、インクラインダンベルカールに代わる上腕二頭筋の『ストレッチ種目』をいくつか紹介します。
上腕二頭筋の『ストレッチ種目』の例
以下に上腕二頭筋のストレッチ種目(=強い伸張刺激が入る種目)を2つ紹介します。
共通して言える事は、腕を後方に配置した姿勢(上腕二頭筋が伸ばされる姿勢)で腕を後方に引っ張る方向に負荷をかける事です。
例1:フェイスアウェイ・ケーブルカール
インクラインベンチで行なう場合
肘関節の負担減のためボトム位では肘を伸ばし切らない方が良いです。
出典:Andy Vincentチャンネル High Incline Cable Curl
立位で行なう場合
肘関節の負担減のためボトム位では肘を伸ばし切らない方が良いです。
8:40~9:05
出典:Ben Pakulski - Muscle Intelligenceチャンネル Ben Pakulski Joe Bennett Arm Workout (BIG ARMS)
両場合において、上腕二頭筋が伸ばされた姿勢で、内部モーメントアームが変わらず小さいままボトム位の外部(負荷)モーメントアームが大きいので、上腕二頭筋に強い伸張刺激が入ります。
出典:Andy Vincentチャンネル High Incline Cable Curl
注意点
両場合の注意点は、肩関節・肘関節が負荷方向に重ならない事です。
重なってしまうと外部モーメントアーム(負荷モーメントアーム)が無くなるので、負荷がかからなくなります。
これも、ただのストレッチ状態です。
出典:Frank den Blankenチャンネル Incline Cable Curl
例2:ライイング・ダンベルカール
昔、月ボでBIG TOEさんが紹介していたカールです。初代ミスターオリンピアのラリー・スコットさんが好んで行っていたそうです。
肘関節の負担減のためボトム位では肘を伸ばし切らない方が良いです。
出典:TheBigtoe56チャンネル BIG TOEの太くてかっこいい腕を作る 上腕二頭筋の究極のトレーニング ライイングダンベルカール
この種目は普通に仰向けになって行なえますが、個人的には上動画のように頭を起こし、脚も上げた姿勢で行なう方が良い感覚があります。
頭を起こすことで力発揮しやすいですし、過度な肩への負担が減らせます。
また、脚をあげる事で反動防止や過度な体軸の反りが防止ができます。
この種目も上腕二頭筋が伸ばされた姿勢で、内部モーメントアームが小さいままボトム位の外部(負荷)モーメントアームが大きいので、上腕二頭筋に強い伸張刺激が入ります。
出典:Vücut Geliştirme Hareketleriチャンネル Lying Supine Dumbbell Curl Pazu Hareketi Nasıl Yapılır - FitnessProgrami.com
注意点
ボトム位からカールする範囲は、トップ位の負荷が小さくならない範囲で肘を曲げます。
上動画(BIG TOEさんの動画)のように、前腕が床に対し垂直になる手前までが良いです。
出典:TheBigtoe56チャンネル BIG TOEの太くてかっこいい腕を作る 上腕二頭筋の究極のトレーニング ライイングダンベルカール
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