JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)。素晴らしいナチュラルビルダーが多数在籍する、世界に誇れる日本のボディビル連盟です。
ちゃんとドラッグテストを実施しているボディビル団体は多くありませんが、世界にはいくつかあります。
JBBFもその1つです。これらドラッグテストを有するナチュラルボディビル団体の選手を見比べていつも思うのは、JBBF選手達のレベルが非常に高いという事です。素晴らしいです、世界に誇れます。
JBBFのトップ選手においては、その体は勿論ですが、トレーニング内容やその行い方も驚愕で、同じナチュラルでも次元の違いを感じさせます。
あのレベルのトレーニングを継続していく事は並大抵の事ではありません。
仕事、家庭を持ちながら驚愕レベルのトレを継続していく選手達。。。只々、敬服するばかりです。
そんなJBBFのトップ選手達のトレーニングを見て思う事は、1セット又は1回反復当たりに動員される筋繊維の数が非常に多いトレーニングだという事です。
『数多くの筋繊維を動員させて、それらの肥大反応を得る。』これが、ナチュラルで最大限に筋肥大させる重要なポイントだと感じさせます。
象徴的な種目がバーベルやダンベルのカールです。その動画がこちらです。↓
出典:RYOチャンネル トップビルダーのバイセップカール特集
見る方によっては、反動に頼り過ぎたカール動作だと良くない印象を持つも方いると思いますが、私は非常に筋肥大に効果的な行い方だと思っています。
ただ、誰にでも行えるものでは無く、人を選ぶやり方だとも思っています。
本日は、トップ選手が行なうチーティングカールのどういう所が良いのか、具体的に私の解釈を記したいと思います。
また、取り入れてみようとする方におすすめの行い方も紹介します。
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日本トップ選手のチーティングカール
たま~に、トップ選手が行なうチーティングカールを筋肥大効果の面で否定する文章やコメントを見る事があります。
最初に言っておきたいんですが、このカールは否定されるべきものでは有りません。その理由は単純で、こういうカールでデカい二頭を作り上げたトップ選手がいるという事実があるからです。
2003年のジャパンオープンボディビル選手権に選手係として携わった事があるんですが、上動画でも登場している(3人目)木澤選手の腕はホント驚くレベルのデカさでした。そのインパクトは今でも忘れられません。
事実に目を向けず狭い了見に合わないからといって否定する事は違いますよね。
なぜこのチーティングカールが効果的なのか?私見ですが、『ポジティブ動作(バーベルをカールする)』『ネガティブ動作(バーベルを下ろす)』の両方において、筋繊維が数多く動員されていると思うからです。しかも、1反復目から多数動員されていると思われます。
具体的に説明します。
ネガティブ動作(バーベルを下ろす)
トップ選手のチーティングカールのネガティブ動作(バーベルを下ろす動作)を上動画で再確認してください。
1発目からストンといった感じでバーベルが下りていますよね。
教科書的なバーベルカールでは『下ろす際はゆっくりで』と指導されますし、一般的なチーティングカールでも反動を使ってカールするけど、下ろす時はゆっくりコントロールして下ろすというのが通常です。
ですが、トップ選手のチーティングカールではゆっくりでなんて下ろしてません。
というより、『意図してゆっくり下ろさない』のでは無くて、『ゆっくり下ろす事ができない』というのが正確な表現かと思います。
『バーベルが落ちない様にネガティブ動作全域に渡って上腕二頭筋が縮もうと最大筋力を発揮しているにも関わらず、こらえきれずにバーベルがストンと落ちてしまう』という事だと思います。
これが1反復目から起きているんですね。
この時、上腕二頭筋内はどうなっているかと言いますと、ネガティブ動作全域で上腕二頭筋の速筋繊維がほぼ全て動員され、それらが全力で縮もうとしているのに(ブレーキとして働こうとしているのに)無理やり引き伸ばされている状態です。
これが全反復で起きています。
それほどの高重量を使ってネガティブ動作全域で速筋繊維をほぼ完全に引き出しているんです。
ストリクトで行なうカールや一般的なチーティングカールのネガティブ動作では難しいレベルの速筋繊維数の動員を実現し、それら全てに引き裂くような刺激を与えていると思います。
強烈な刺激です。
安全面や怪我のリスクでいったら気軽にオススメできませんが、筋肉に物理的刺激を与えるという観点でいうと、これは究極のネガティブレップstyleといえるかもしれません。
ストリクトで行なうカールや一般的なチーティングカール、このブログでもよく出てくる『等速で〇秒かけて下ろす』といったコントロールしながらゆっくり下ろすネガティブ動作は、比較的安全といえる重量(余力のある重量)で速筋繊維の動員数を高める方法ですが、上述の様な最大限の動員を、しかも1発目から狙えるものではありません。
トップ選手が行なうチーティングカールのネガティブ動作はホントに凄いなと思います。
ポジティブ動作(バーベルをカールする)
皆さんご存知のとおり、筋出力はポジティブ動作より遥かにネガティブ動作の方が大きいです。
そんな高い筋出力が出せるネガティブ動作でも、上述した様にコントロールしながら下ろせない程の重量をトップ選手達は自力でカールするわけですから反動を使うのは至極当然で、反動を使うといえども上腕二頭筋もフル活用しなければトップ位置までバーベルを持っていけません。
少なくともポジティブ動作(バーベルをカールする)の部分的な可動域において(中間位からトップ位付近)、ストリクトで行なうカールや一般的なチーティングカールのポジティブ動作では得難いテンションが上腕二頭筋に発生していると思われます。
すなわち、断続的・瞬間的であるかもしれないが、非常に数多くの筋繊維が動員されていると思います。
このポジティブ動作の次にあの強烈なネガティブ動作が待ち受けているし、これを反復していくわけですから想像しただけでも嫌になりますね(笑)。
以上のように、JBBFのトップ選手達が行なうチーティングカールは、1回反復あたりに動員される筋繊維数がとても多い効果的な行い方です。
冒頭でもいいましたが、『数多くの筋繊維を動員させてそれらの肥大反応を得る。』ということが、ナチュラルで最大限に筋肥大させる重要なポイントだと感じています。
また、副次的効果として抗重力筋も強化する事ができます。
抗重力筋の強固な固定力が得られる
このカールを行なうために重要な要素はまだあります。それは抗重力筋の強さです。
抗重力筋とは重力に抗って姿勢を維持する筋群で、例を挙げると、腹筋群・脊柱起立筋・腸腰筋・臀筋などなどを指します。
いきなりですが脱線しますね(笑)。
過去にこんな事がありました。
大学院生だった私。祖父が急逝したんです。
じいちゃん子だったんですが、そのショックと悲しみは自分の想像をはるかに超えるものでした。神経衰弱し、食べる事も激減、体力も急激に低下したんです。
なので、学業どころではなくなってしまい恩師に暫くの休みを頂く旨を伝えにいったんですが、その場で泣いてしまうという。。。(笑)
なんかボロボロだったんですよ。当然、筋トレも全くできず。
でも時間が解決してくれまして、体調が復活してきたんです。そこで筋トレも再開しました。
再開一発目の種目として選択したのがバーベルカールでした。浅はかの極ですが、遅れを戻したい一心でストリクトではなく、とても重い重量のチーティングを選択してしまったんです。
『じいちゃん、私、本日から復活します!』
『見ててください、前に進んでいきます!!』
『その証に、このカール、やりきって見せます!!!』
なんて意気込みを天国のじいちゃんに伝えまして(笑)、やったんですよ。
結果、2~3レップ目で怪我です。反射的にバーベルを床に落としてしまいました。
極短時間で左腕が全く動かせなくなりました。左の背中の痛みがみるみる増し、痛みで体を少し動かす事すら困難になりました。歩く事も困難だったんで、何とか後輩に電話して車を出してもらい、そのまま手稲渓仁会病院に運んでもらったんです。
痛くてしゃべるのも嫌な状態になってまして(笑)、全て後輩が対応してくれたおかげで(本当にありがとう。)救急科で対応して頂けたんです。
もうね、私の中では左の背中の骨が複数骨折だと、間違いなく骨折だと、もう大怪我だと、どーしよって頭の中めぐってたんですが『筋挫傷』でした。(笑)
骨折じゃなかったんです。1つも折れてませんでした。(笑)
どこの筋肉が挫傷したか忘れてしまいましたが、左肩甲骨周辺の筋肉でした。そうなんです、怪我部位は上腕二頭筋ではなく肩甲骨周辺の筋肉だったんです。
その時はじめて知ったんです。カールって上腕二頭筋だけじゃないんだと。カール動作の土台として(固定筋として)肩甲骨周辺筋群が働いているんだと。
それを期に、ラットプルやローイングやカール等で左肩甲骨周辺の怪我癖がついています。加えて、背中種目(特にローイング系)の左側の効きが明らかに右側より弱い状態になってしまいました。未だにです。
皆さん、気を付けてください。
話もどります。
抗重力筋の強固な固定力があるから反動に必要な筋群やメインの上腕二頭筋の筋出力がしっかり出せるし、抗重力筋の強固な固定力により一定の姿勢を保てる事で的確に負荷を筋肉に乗せる事ができるわけです。
この重量です。しかもチーティングという大きい動作や加速度を伴う環境下です。抗重力筋の負担も相当なものです。
ですので、抗重力筋の強固な固定力がそもそも備わっていないと、このカールはできないです。
逆にいうと、こういうカールを段階的に身に着けていけば、抗重力筋群もしっかり強化できるとも言えます。
あと、すごく良いなぁ~と思うのは腹圧が入る感覚を養える点です。
腹圧を高めてしっかり体幹を固めなければ力発揮が上手くいきません。腹圧の入れ方、高め方も副次的に身に付くカールだとも思います。
説明してきたとおり、体全体の強さが無ければ上手くできないチーティングカールといえるでしょう。
しかも力一杯筋出力するので呼吸をとめる場面も多々あり、苦しいカールなんです。心肺機能も関わってくるわけです。
また、手首などの関節の強さも必要です。
動画に映る選手達も、最初からこういうカールができたわけでは無いと思います。コツコツ積み重ねて、これができる体の強さ・体力を向上させてきたんだと思います。
でも誰しもができるものだとは思いません。こういうカールを日々のトレーニングで年単位で取り入れる事ができるなんて、生まれ持った体の強さがあるような気がしています(個人的な思いです)。
ですので、人を選ぶカールだと思っています。
おすすめの取り入れ方
こういうチーティングカールを取り入れようとする場合、慣れるまでクラスタセット法で行なうと良いです。
クラスタセット法とは、そのセット内の反復途中で数秒~数十秒の小休息時間を挟み、断続的に行うセット法の事です。
模式図で表すと以下の様になります。↓
(反復回数:8回を例にしています)
クラスタセット法のメリットの1つは総負荷量を増やせる事ですが、他にもメリットがあります。
それは、小休息を挟むので、動作が難しエクササイズで質の高い正確な動作を保ちながら反復できる事です。
今回のチーティングカールは、筋肉の緊張を維持しながら反復して強いパンプを狙う種目ではありません。
1回1回多くの筋繊維を動員して、それらに引き裂く様な刺激だったり短縮させたり、物理的な刺激を入れる事が重視されるので、負荷をしっかり乗せる各反復の質が問われる種目です。
ですので、クラスタセット法のような途中で小休息を挟む反復方法でも何ら問題ありません。むしろメリットと言えます。
今回のチーティングカールは、ポジティブ動作とネガティブ動作共に負荷を上腕二頭筋に乗せる事が難しいです。
1回1回全力勝負な種目ですし、上述したとおり過酷な状態で反復する種目なので、負荷が上手く乗るフォームや軌道、重心移動を反復毎に再現する事が難しい種目なんです。
ですので、クラスタセット法で行なう事で、小休息がとれるので質の高い反復の再現性が高まり、1回1回しっかりと物理的刺激を上腕二頭筋に与える事ができます。
また、小休息を挟むので、精神的負担を減らして行なう事ができる点もクラスタセット法を取り入れるメリットになります。
クラスタセット法の区切り反復回数(上例の図では2回)や、小休息の秒数に決まりはありません。
その人にとって反復の質が保てる区切り回数や小休息時間を設定すれば良いです。
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