前回の記事で、筋量・筋力向上に効果大の6つのサプリのうち、
ロイシン、HMB、クレアチンについて説明しました。
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【サプリメント】筋量・筋力UPに効果大の6つのサプリ(1)
本日は、残りの
ビタミンD、ウルソル酸、ホスファチジン酸について説明します。
伝えたい要点
- ビタミンD、ウルソル酸、ホスファチジン酸は筋量・筋力向上に有効。
- ビタミンDは、毎日1000~2200IU(25~55μg)摂取。(各食事と一緒に、分けて摂取)
- ウルソル酸は、毎日450mg摂取。(各食事で150mg摂取)
- ホスファチジン酸は、下記の様に摂取。
- ・トレ日は、トレ30分前に450mg、トレ直後に300mgを摂取。
- ・トレしない日は、朝食と一緒に450mg、夕食と一緒に300mgを摂取。
- 食事やダイエタリーサプリ(プロテイン、カーボパウダー、ビタミン&ミネラル)の方が大切。これらによる基本栄養を確保した上で利用下さい。
ビタミンDの効果・効能
筋肉づくりに密接に関わるビタミン。それはビタミンDです!
Shantavasinkulさん達の研究で、血中のビタミンDの濃度と筋肉量との間には
統計的に相関があると示されています。
血中のビタミンD濃度が十分な人の方が、筋肉量が多い傾向にあります。
ビタミンDは筋肉の構築に役立っているのです。
どう役立つかというと、Garciaさん達の研究から下記のようです。
筋発達を抑制するミオスタチンの産生を減らす。
筋細胞の分化を制御するMyoDとMyogenin、分化を促進するIGF-2の産生を増やす(筋肉の回復を促進するという事)。
※分化:細胞が特定の機能を獲得すること。
また、Bhatさん達の研究で、ビタミンDが欠乏すると、
体がもつ筋分解の仕組み(経路)の1つユビキチン・プロテアソーム系を介して、
筋分解が進むことがわかっています。
なので、ビタミンDをしっかり摂取することは、
不必要な筋分解の防止にも役立ちます。
ビタミンDと筋肉に関する最近のレビュー論文においても、
ビタミンDは筋肉の発達と修復(回復)に効果的で、
筋細胞の増殖と分化を調節すると示されています。
過去のレビュー論文においても、
アスリートの運動パフォーマンスと血中のビタミンD濃度に相関があり、
濃度のピーク時にパフォーマンスもピークに至り、
濃度が減少するにつれてパフォーマンスも低下するようです。
また、ビタミンDは速筋線維のサイズを増加させるとも記されています。
さらにビタミンDは、前回の記事で書いた、
ロイシンとHMBの作用を促進するようです。
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【サプリメント】筋量・筋力UPに効果大の6つのサプリ(1)
ロイシンによるmTORシグナル伝達系(体がもつ筋肉をつくる主要な仕組み)の
活性がビタミンDによって増強され、
結果、筋タンパク質合成速度が増すことが示されています。
Fullerさん達の研究で、被験者が高齢者ではありますが、
HMBとアルギニンとリジンの組み合わせで、
筋量の向上はあったものの、筋力の向上は確認されませんでしたが、
血中のビタミンD濃度が高いグループのみ、筋力が向上したことが示されています。
説明してきた研究によると、
上記のビタミンDの効果・効能を得るに必要な
血中ビタミンD濃度は30ng/ml以上のようです。
また、日本内分泌学会が示すビタミンD濃度の基準は、
30ng/ml以上:十分
20ng/ml以上30ng/ml未満:不足
20ng/ml未満:欠乏
となっています。
日本人はビタミンD足りているのでしょうか?
日本人はビタミンDが不足傾向にあるようです。
摂取すべきビタミンDの量は、
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)概要に示される
摂取上限量を加味して、
Cangussuさん達の研究やBackxさん達の研究の結果から
毎日1000~2200IU(25~55μg)のビタミンD3を摂るとよいようです。
ビタミンDの摂取方法
トレーニングする、しないに関わらず毎日1000~2200IU(25~55μg)摂取。
上記摂取量を数回にわけて摂る。(各食事と一緒に摂ると良いです。)
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ビタミンD3のサプリメント(これっ!というのはありませんがD3が良いです)
ウルソル酸の効果・効能
リンゴの皮などに多く含まれるウルソル酸。
筋量・筋力増加の促進だけでなく、脂肪燃焼を促進するように体内で作用します。
少なくとも3年間トレーニングを行っていた16人の被験者を対象に
8週間のトレーニングに与えるウルソル酸の効果を確認しました。
16名の被験者のうち
7名に毎日総量450mgのプラセボ(偽薬)を、3回の食事の後に150mg摂取。
9名に毎日総量450mgのウルソル酸を、3回の食事の後に150mg摂取。
で実験が行われました。結果は以下の通りです。
【筋量・体脂肪】
出典:Hyun Seok Bangら著 Ursolic Acid-Induced Elevation of Serum Irisin Augments Muscle Strength During Resistance Training in Men
筋量はわずかに増加しましたが、統計的に有意ではありませんでした。
一方、体脂肪は統計的に有意に減少しています。
【最大筋力】
<右脚>
出典:Hyun Seok Bangら著 Ursolic Acid-Induced Elevation of Serum Irisin Augments Muscle Strength During Resistance Training in Men
<左脚>
出典:Hyun Seok Bangら著 Ursolic Acid-Induced Elevation of Serum Irisin Augments Muscle Strength During Resistance Training in Men
筋力は左右脚ともに、統計的に有意に増加しました。
その理由として、ウルソル酸摂取で有意に増加した、
アナボリック(同化)ホルモン「IGF-1」と
筋肉のエネルギー発生に関わるホルモン「イリシン」が
筋力向上に関与している可能性があると述べています。
また、アナボリック(同化)ホルモン「IGF-1」は、
筋肥大を担う筋衛星細胞を活性化させたり、
mTORシグナル伝達系(体が持つ筋発達の主要な仕組み)の上流にある
Akt(タンパク質リン酸化酵素)を活性化させることで
筋タンパク質合成(筋発達)を促進します。
この研究の結果では、
筋量増加は少量で統計的に有意な結果とはなりませんでしたが、
筋肥大を担うIGF-1がウルソル酸摂取で増加する事実は非常に魅力的です。
人を対象とした、ウルソル酸摂取が筋トレの結果に与える影響を調べる研究は、
まだ数少ないので筋肥大効果が低とは言えず、
研究動向を見て行きたいと思います。
上の結果が示すとおり、ウルソル酸は脂肪燃焼効果が高いです。
上記したようにウルソル酸の摂取で、
筋肉のAkt(タンパク質リン酸化酵素)が活性化しますが、
このAkt活性がエネルギー消費を増加させます。(Izumiyaさん達の研究)
また、ウルソル酸は、エネルギーを消費して熱を生産する
褐色脂肪組織を増加させ、
エネルギーを蓄える白色脂肪組織を減らすようです。(Kunkelさん達の研究)
これらの作用が体脂肪燃焼を促進している可能性があります。
さらに、ウルソル酸は、筋肉の萎縮関連遺伝子の
MuRF-1やAtrogin-1の発現を抑制するようです。(Kunkelさん達の研究)
この作用は、減量時の筋萎縮を防止することに役立ちます。
ウルソル酸の摂取方法
トレーニングする、しないに関わらず毎日450mg摂取。
上記摂取量を3回にわけて摂る。(各食事と一緒に150mg摂ると良いです。)
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ホスファチジン酸の効果・効能
最後の6つ目、ホスファチジン酸を紹介します。
これは、体がもつ筋肉をつくる主要な仕組み(経路)の
mTORシグナル伝達系を活性化し、
筋トレのアナボリック(同化)作用を高めてくれます。
トレーニング経験をもつ(1年以上)、16名の男性を対象に、
8週間のトレーニングに与えるホスファチジン酸の効果を確認しました。
7名に750mg/日のホスファチジン酸を与え、
9名に750mg/日のプラセボ(偽薬)を与え、
週に4回のトレーニングを8週間行いました。
その結果、
有意に除脂肪体重(筋量)とスクワットのMax重量が向上しました。
【除脂肪体重(筋量)】
出典:Jay R Hoffmanら著 Efficacy of phosphatidic acid ingestion on lean body mass, muscle thickness and strength gains in resistance-trained men
【筋力(スクワットMax)】
出典:Jay R Hoffmanら著 Efficacy of phosphatidic acid ingestion on lean body mass, muscle thickness and strength gains in resistance-trained men
また、Joyさん達の研究でも、
筋肥大、筋力が有意に向上している事が示されています。
週3回8週間のトレーニング
14名男性:ホスファチジン酸750mg/日(毎日)
14名男性:プラセボ750mg/日(毎日)
【筋肥大】
筋横断面積、除脂肪体重ともに、プラセボ群より有意に向上。
<筋横断面積>
大腿直筋(もも前の筋肉)
出典:Jordan M Joyら著 Phosphatidic acid enhances mTOR signaling and resistance exercise induced hypertrophy
<除脂肪体重(筋量)>
ホスファチジン酸群は、プラセボ群より2倍増量。
出典:Jordan M Joyら著 Phosphatidic acid enhances mTOR signaling and resistance exercise induced hypertrophy
【筋力】
レッグプレスMax重量+ベンチプレスMax重量で比較。
出典:Jordan M Joyら著 Phosphatidic acid enhances mTOR signaling and resistance exercise induced hypertrophy
この研究では、
大豆由来のホスファチジン酸が有効で、
卵由来のホスファチジン酸は、ほとんど効果がない事が示されています。
ホスファチジン酸の摂取方法
<トレーニングする日>
下記のようにトレーニング前後で750mgを摂る。
トレーニング30分前に450mgを摂取。
トレーニング直後に300mgを摂取。
<トレーニングしない日>
下記のように750mgを分けて摂る。
朝食と一緒に450mgを摂取。
夕食と一緒に300mgを摂取。
【オススメ商品】
最後に一言、「所詮、サプリです。。。」
前回の記事にも書きましたが、上記のサプリは筋肉増強剤ではありません。
所詮、サプリメントです。栄養補助食品です。
その名のとおり補助的なものであり、
基本的な食事による基本栄養の摂取があって、
効果を発揮するものと思ってください。
また、同じサプリでも、
プロテインパウダー、カーボパウダー、ビタミン&ミネラル、
こういった、
ダイエタリーサプリメント(基本栄養の補助食品)の方が大切です。
食事とダイエタリーサプリで基本栄養をしっかり確保した上で、
紹介してきたサプリを摂ってみて下さい!
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