【25章】パーソナルトレーニングの法的側面

 

1.訴訟の危険性

被害を被ったクライアントは、トレーナー個人に法的訴訟を起こす可能性があります。

フィットネス施設から派遣されたり、雇用関係であるなら施設に追訴する可能性があります。

 

 

2.過失

(1)定義

過失とは

一般的に承認されている標準に従って行為する事を怠る事。

 

本質的損害とは

防ぐ事が出来ない、予見不可能な、誰の過失でもない事故が原因で生じた損害。

 

極端なかたちの過失とは

重過失、故意の安全無視的行為、未必の故意などによる損害。

 

重過失

あきらかな故意。わざと。結果の発生を認識していながら、それを容認して行為する事。

故意の安全無視的行為

故意とは言えないが重大な過失があったケース。

未必の故意

結果の発生を意図していないが、自分の故意により『起きても仕方がない』と思い行動に至ったケース。故意とみなされる。

 

(2)トレーナーの責任レベル

重過失、未必の故意>故意の安全無視的行為>過失>本質的損害

 

(3)義務とパーソナルトレーナー

  • 実践の基準に精通し、基準を実行する事が必要。
  • クライアントとトレーナーとの間には、信認関係が成立し、法的責任の内容を規定する。
  • 適切な資格を取得しておく事が賢明。また、その資格に沿った活動の範囲を厳守する事。
  • クライアントに対する適切な監督と指導を行う。

 

(4)緊急時計画(EMS)

緊急時計画(EMS)とは

予告なしに発生する、予見可能な緊急事態に対応する戦略の事。

この計画には、とるべき主な行動が順を追って示され、主要な緊急機関と連絡先、スタッフの役割分担などが明確に示されている必要がある。

 

AEDの使用を含めた応急処置及び心肺蘇生法の両方の資格を所持しておくべき。

 

 

3.過失に関連する法的責任を最小限にするための戦略

法的防御書類について

  • 本質的損害によって生じた損害から訴訟が発生した場合、インフォームドコンセントまたは参加同意書が最も優れた法的防御を提供する。
  • ウェイバーに署名していれば、それも有効に働く可能性がある。

 

インフォームドコンセント

事前に説明しておき納得ずくで(同意を得て)サービスを受けてもらう事。

ウェイバー

債権者による自発的な債権放棄の事。

クライアントに何らかの不利益が生じた際に、その責任をトレーナー側に求める事を放棄すること。

 

 

4.フィットネス施設と独立契約者

  • 独立契約者であるパーソナルトレーナーは、責任保険を自ら購入しなければならず、それがおそらくは契約上の要件になると思われる。
  • 使用者責任によって、パーソナルトレーナーを被用者として使用する使用者には、法的義務も発生する。

 

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