1.心臓血管系の解剖生理学
(1)心臓
重さは250g~300g。
大きさはこぶし程度。
心房と心室から成る。
心房 :血液を取り込む
心室 :血液を送り出す
出典:webサイト不整脈ドットコム 心臓のこと、不整脈のこと 心臓の働き
①血液の流れ
全身
⇓
大静脈
⇓
右心房
⇓
右心室
⇓
肺動脈 (酸素量少)
⇓
肺
(吸入:酸素,排出:二酸化炭素)
⇓
肺静脈(酸素量多)
⇓
左心房
⇓
左心室
⇓
大動脈
⇓
全身
※心臓『入』⇒ 静脈、心臓『出』⇒ 動脈で覚えるよい。
②心拍数
【心臓でみる言い方】→心拍数
1分当たりの心拍の数。
ハート・レイト(HR)という。
【血管でみる言い方】→脈拍
心臓が収縮して血液を動脈に送り出す際に、動脈壁を介し触知できる拍動。
通常、心拍数と一致する。
(2)脈拍の確認と心拍数の測定方法
①確認箇所
橈骨(とうこつ)動脈又は頚(けい)動脈で確認する。
橈骨動脈
- 腕を下げて肘を曲げ、手の平を上に向ける。(手の位置は心臓の高さ)
- 人差し指と中指で軽く触れる。親指は大きい血管があるので、親指で触れると親指血管の脈拍と間違える可能性がある。なので親指でカウントしない事。
出典:webサイト時事メディカル 家庭の医学 運動のしかた
頚動脈
- 気管と胸鎖乳突筋の間を人差し指と中指で軽く触れる。
出典:webサイト時事メディカル 家庭の医学 運動のしかた
②心拍数の測定
- 10秒数え、それを6倍して1分間の心拍数を求める。(アスリートは直ぐに心拍数を安定させるので、10秒という短時間の計測を行う。)
通常60~100拍/分。
60拍/分 未満は徐脈, 100拍/分 以上は頻脈 という。
③1回拍出量(SV)
左心室が1回の拍動で送り出す血液の量[ml]。心臓の能力を表すもの。
例)一般人の場合
通常時 : 60~80ml
運動時 : 100~120ml
影響を与える因子
〇心筋の収縮力
トレーニングで向上可能。
〇拡張終末期容量
左心室が最も拡張した時の容量。増加すると1回拍出量も増加する。トレーニングで向上可能。静脈還流(心臓にも戻ってくる血液)が増えると拡張期心容量が増える。
〇カテコールアミン
副腎皮質から分泌されるホルモン。エピネフリン(アドレナリン),ノルエピネフリン(ノルアドレナリン),ドーパミン が代表的。 分泌量が増加すると心室がより強く収縮し、1回拍出量が増加する。
例)格闘家
試合前に戦闘モードになると、カテコールアミンが出て心臓がドキドキする。
④心拍出量(Q)
左心室が1分間で送り出す血液の量[ml]
心拍出量Q[ml/分]
= 1回拍出量SV × 心拍数HR
【補足】
①カテコールアミンの機能
交感神経の活性化
心拍数,血圧の上昇(血液が増えるので)。
グリコーゲンの分解
血糖値の上昇。(グリコーゲンは糖質(エネルギー源)であり、分解されるとグルコースになり、血中に取り込まれる)
脂肪(※1)を分解
遊離脂肪酸(※2)が増加。
※1:脂肪
中性脂肪(トリグリセリド)の事で、皮下に蓄えられている。
※2:遊離脂肪酸
脂肪が分解されエネルギーとして使える状態。使われなかったら脂肪に戻る。FFA=Free Fat Acidともいわれる。
中性脂肪の減少を謳うお茶類があるが(黒ウーロン茶など)、確かに中性脂肪を遊離脂肪酸に分解する作用が活性化されるが、遊離脂肪酸を使わないと結局、中性脂肪に戻る。
なので、こういったお茶類は運動前に飲むと良い。
②安静時心拍数
心臓が1回の拍動で供給できる血液量(酸素量)や体の組織の酸素取り込み能力が低ければ、拍動数を増やして血液(酸素)を供給する必要があるので安静時心拍数は高くなる。
逆に、これら能力が高ければ安静時心拍数は低くなる。
↓
安静時心拍数が低い方が体力評価は高い。
※拍動1回の血液供給能力(心臓の能力)
→1回拍出量
※組織の酸素取り込み能力
→動静脈酸素較差(後で説明します)
(3)血管と循環
中枢循環
心臓と肺における血液の循環(心臓と肺のやりとり)。
抹消循環
心臓と身体における循環。
動脈
心臓から血液を送り出す血管。
静脈
心臓へ血液を戻す血管。
静脈還流
抹消循環で心臓に戻ってきた血液。筋のポンプ作用で増加する。
①動脈
- 心臓から送り出された血液を運搬
- 血液はかなり高圧で送り出される為、壁は強い筋からなる。
- 動脈から枝分かれしたものが細動脈。さらに毛細血管へとつながる。
- 細動脈は完全に閉じたり、数倍にも拡張する事が可能で、血液量を変化させる。(必要なところへ血液を流す)
②毛細血管
- 機能は血液と全身の組織間における酵素、液体、栄養素、電解質、ホルモン等の交換。
③静脈
- 血液は毛細血管から細静脈に集まり、静脈へ移行し、心臓に戻る。
- 逆流を防ぐ為の弁がある。直立時に重要。(例:ふくらばぎ)
(4)循環の調節
①全抹消抵抗
- 動脈における抵抗の事。
- 血管が収縮すると抵抗増、血管が拡張すると抵抗減。
- 抵抗増だと血液は減少し、抵抗減だと血液は増加する。
②血管を拡張させる要因
交感神経が刺激される。
有酸素運動中。
有酸素運動中は拡張期血圧は上昇しない。収縮期血圧は上昇する。
※レジスタンストレーニング時は血管が圧迫されるので拡張しない。心臓収縮期/拡張期 の両方において、安静時より血圧大となる。
温度の上昇。
暑いと心拍数は上昇する。
気温が高い
↓
体温調節のため、体内部の高温の血液が低温である表面(表皮)に流れる。
(抹消に向かうという事)
↓
末梢に向かうので静脈還流が減る。
↓
これを心拍数を上げてカバーしている。
二酸化炭素濃度の上昇。
運動すると、エネルギーを作る過程で発生する炭酸ガスが組織に蓄えられる。
酸素を含んだ血液を供給しようと、微量のNO(一酸化炭素。別名:体内ニトロ)を分泌し、血管を拡張する。
アシドーシスの上昇。
血液が酸性の状態(=アシドーシス)。
→ 乳酸やCO2が筋中に発生し、血液に流入する。
〇酸塩基平衡
体内での酸と塩基のバランスを指し、主に肺と腎臓で調節される。
酸性 pH(7.4) アルカリ性
←――――――●――――――→
pH:水素イオン濃度指数
⇒水素イオン濃度の逆数の対数
水素イオン濃度増 → pH小
水素イオン濃度減 → pH大
③血管を収縮させる要因
- その器官があまり重要な働きを必要とされていない場合
- 高負荷でのレジスタンストレーニング。(血流の抵抗が増加し、血圧が上昇する要因となる)
④血圧の定義
収縮期血圧(SBp)
心室の収縮時に、血液が動脈壁に加える圧力(“血圧測定値の上の値”)。
拡張期血圧(DBp)
心室の拡張時に、血圧が動脈壁に加える圧力(“血圧測定値の下の値”)。拡張期血圧は、抹消抵抗や血圧弾性の指標となる。また、血管が拡張すると低下し、収縮すると上昇する傾向にある。
※血圧の単位
[mmHg]
※末梢血管抵抗
高い→血圧大
低い→血圧小
※体内水分と血液粘性
水分十分→粘性低い(さらさら)→血圧小
水分不十分→粘性高い(ドロドロ)→血圧大
※血管弾性
高い(柔らかい)→血圧小
低い(硬い)→血圧大
圧・心拍数積(二重積)
心臓の仕事量の推定値とされている。
圧・心拍数積(二重積)
=収縮期血圧 × 心拍数
④全身の血圧分布
動脈では高く、静脈では低い。
高血圧症【重要】
収縮期血圧が140mmHg以上 or(又は)拡張期血圧が90mmHg以上
正常血圧【重要】
収縮期血圧が130mmHg未満 and(かつ) 拡張期血圧が85mmHg未満
運動時の血圧分布
○有酸素運動時
- 収縮期血圧は上昇する。220~260mmHg位。
- 拡張期血圧は安静時と同じか、あるいはわずかに低下。
○高強度のレジスタンストレーニング時
- 著しく上昇する。
- 収縮期血圧300mmHg以上。
- 拡張期血圧180mmHg以上。
- 高強度のアイソメトリクス(等尺性筋収縮)が最も血圧上昇する。
※高強度レジスタンストレーニングでは血管も強化されるが、毛細血管破裂もありえる。
平均動脈圧
心周期を通しての平均血圧。
心周期とは、拡張(吸い込み) → 収縮‹(吐き出し) → 拡張‹(吸い込み) 。
(5)酸素と二酸化炭素の運搬と交換
①心臓血管系の主な機能
- 細胞の代謝に必要な酸素を、肺から組織へ運搬する事。
- 代謝副産物である二酸化炭素を、組織から肺に運搬する事。
※代謝(メタボリック・メタボリズム)
生体内における同化作用と異化作用とをいう。
※メタボリックシンドローム
内臓脂肪の蓄積があり、高血圧/高血糖/糖代謝異常/脂質代謝異常の中の2つ以上に該当する病態の事。
②酸素
血液中のヘモグロビンによって身体に運ばれる。
ヘモグロビン
鉄とタンパク質の複合体。ヘモグロビン1分子は酸素4分子と結合できる。
- 血液の赤血球にある。(血液:赤血球,白血球,血しょう,血しょう板)
- 男性の方が多いと言われている。
- 低いと貧血の原因と考える。
- 鉄だけでなくタンパク質もとらないと、貧血の改善にならない。(ヘモグロビン量が増えない)
- 鉄の含有量が多い食品は、レバーやほうれんそう。
- 一酸化炭素と結合しやすいので、一酸化中毒になる。(酸素よりはるかに結合しやすい)
【補足】
①親和度
結合のしやすさの事。
親和度高い→結合しやすい。
②ミオグロビン
筋中の酸素運搬物質。
赤血球中のヘモグロビンにより運ばれてきた酸素を筋組織で受けとり,これを筋組織中で運搬・貯蔵し,エネルギー産生系に供給する。
濃度勾配
ガス濃度の高低差。
高濃度から低濃度へ移動する。
※『ガス』とは酸素や二酸化炭素の事。
末端血液(酸素を組織に供給した血液)は、二酸化炭素濃度が低いので、末端二酸化炭素が血液に取り込まれ、静脈に乗って肺で体外に出される。
酸素が血液に取り込まれるのも同原理。(心臓から全身に酸素が供給される)
酸素とヘモグロビンの解離
『解離』とは酸素がヘモグロビンから離れること。
運動中は、酸性度の上昇、温度の上昇、CO2濃度の上昇が起こり、ヘモグロビンが酸素と結合する親和度を低下させる。
⇒ 活動細胞への酸素の供給が増加する。(活動細胞の酸素取り込みが増加する)
=酸素ヘモグロビン解離曲線が右下にずれる。
○酸素ヘモグロビン解離曲線
酸素分圧と酸素飽和度の関係。酸素解離曲線ともいわれる。
血液の酸素濃度に対して酸素と結合したヘモグロビンの割合がどう変化するかを表わしている。
酸素分圧:
血液の酸素濃度。
酸素飽和度:
血液のヘモグロビン総量のうち、酸素と結合したヘモグロビンの占める割合。
⇓見方を変える
体の組織(例:肺や筋肉など)は、血中の酸素濃度が各々異なるので、酸素ヘモグロビン解離曲線は以下の見方ができる。
酸素分圧:
各体組織。
酸素飽和度:
各体組織のヘモグロビン総量のうち、酸素と結合したヘモグロビンの占める割合。
従って、酸素ヘモグロビン解離曲線は、体組織の違いで酸素と結合したへもグロビンの割合がどう変化するかを表わしたものとみる事ができる。
○トレーニングと酸素ヘモグロビン解離曲線
トレーニングにより組織への酸素供給能力(酸素を放出する能力。組織が酸素を取り込む。)が高まるので、酸素飽和度は低くなる。
○運動時の酸素ヘモグロビン解離曲線
- 運動時は代謝の増加で組織への酸素供給(組織が酸素を取り込む)が活発になる。
- 加えて、運動中は酸性度の上昇(pHの低下)、体温上昇、CO2濃度上昇が起こり、これら1つ1つがヘモグロビンからの酸素解離を促す。(ヘモグロビンが酸素と結合する親和度を低下させる)
⇒ 各体組織の酸素飽和度が低下する。
=酸素ヘモグロビン解離曲線が右下にずれる。
③二酸化炭素
体の組織から除去される過程が複数ある。
血漿(けっしょう)から肺へ運搬
ヘモグロビンと結合して運搬
約70%は赤血球の水と結合し、重炭酸塩(HCO3-)の形で肺へ運搬
(6)酸素摂取量
体内の組織に取り入れられる酸素量。
①影響を与える要因
- 心臓の能力、血液及び酸素を運搬する循環器系の能力(=酸素運搬能力)。⇒1回拍出量や最大心拍数など
- 体内の組織が酸素を取り込み消費する能力(=酸化能力又は酸素消費能力という)。⇒毛細血管の発達度合い、ミオグロビンの数、ミトコンドリアの数や活性度合いなど
※酸素摂取量と心拍数
- 同じ酸素摂取量の運動であれば、全身持久力が高い人の方が心拍数は低い。
- 運動中の心拍数が同じならば、全身持久力の高い人の方が酸素摂取量は多い。
※トレーニング種類と酸素摂取量の向上
〇LSDトレーニング(16章参照)
ゆっくり長時間走るトレーニング。
ミトコンドリアや毛細血管の密度が向上するので、酸化能力(酸素消費能力)の向上に適している。
〇サーキットトレーニング、インターバルトレーニング(16章参照)
1回拍出量や最大心拍数が向上するので、酸素の運搬能力の向上に適している。
動静脈酸素較差(酸化能力の指標になる)
動脈血と静脈血に含まれる酸素量の差。
⇒血液から組織に取り込まれた酸素量(酸素摂取量)を表わす。(血液100ml当たりの酸素量[ml]で表される。)
○動静脈酸素較差が大の場合
組織が酸素を多量に摂取できるということ。
→体内で酸素が上手く使えている。
○動静脈酸素較差が小の場合
組織が酸素を多量に摂取できないということ。
→体内で酸素が上手く使えていない。
動静脈酸素較差は専門施設で計測する。
動静脈酸素較差はトレーニングで向上可能。
②酸素摂取量を求める(フィックの式)
酸素摂取量と心拍出量、動静脈酸素較差の関係を表したものがフィックの式。
この式から、体内の組織に取り入れられる1分当たりの酸素量がわかる(酸素摂取量)。
⇓
酸素摂取量は体が大きいだけでも値が大きくなる傾向があるので、フィックの式で得られた酸素摂取量をその人の体重[kg]で割って、体重1kg当たりの酸素摂取量で表すのが一般的。
⇒酸素摂取量の一般的な単位は[ml/kg/分]となる。
⇓
③最大酸素摂取量
最大酸素摂取量はトレーニングで向上可能。
※運動強度(体力消費)
運動強度[%]
=(酸素摂取量/最大酸素摂取量) × 100
④最高酸素摂取量
※運動耐容能
どれくらいまでの運動に耐えられるかの限界能力のこと
最高酸素摂取量はトレーニングで向上可能。
⑤最大酸素摂取量と最高酸素摂取量
最大酸素摂取量は理論的な潜在能力であり(全ての条件が最大レベルの状態である場合の値)、計算値。
最高酸素摂取量は、体力レベル、健康状態、モチベーションといった様々な要素に影響を受ける実測値。
⑥一般人における体力評価(最大酸素摂取量)
⑦代謝当量(METs:メッツ)
運動強度を表すものの1つ。安静に座っている状態を1METとして、様々な活動・運動がその何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度の指標。(安静状態よりもどのくらい激しい運動なのかを示す。)
人は安静時におおむね3.5ml/kg/分の酸素を消費しているので、
1 MET = 酸素摂取量3.5ml/kg/分
と定義されている。
メッツ表
様々な身体活動・運動のMETs値をまとめた表。その一部を例として示す。↓
出典:国立健康・栄養研究所 2012年4月11日改訂 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』36ページ
例:ラクロスのMETs
上記メッツ表でいうとラクロスの代謝当量は8METsで、ラクロスは安静時の8倍の運動という事になる。(ラクロスは安静時の酸素摂取量の8倍の酸素摂取量を必要とする。)
※METsを使った運動強度設定
正確に設定するには、最大漸増負荷テストを行って最大酸素摂取量を導出し、
最大METレベル
= 最大酸素摂取量 ÷ 3.5
を把握しなくてはならない。
METsによる消費カロリーの算出
※1.05は成人の体重1kg、1時間あたりの安静時のエネルギー消費量[kcal]。
2.呼吸器系の解剖生理学
(1)肺
肺胞の集まりが肺。
空気は口・鼻(鼻腔)→気管→気管支→細気管支→ 肺胞(肺) へと達する。
肺胞ではガス交換(酸素と二酸化炭素)が行われる。
※鼻腔は加温、加湿、浄化を行う。
①1回換気量
安静時に1回の呼吸で出入りする空気の量。単位は[ml]。
(安静時に呼吸している時の1回の呼気量あるいは吸気量。)
②分時換気量
1分間当たりに呼吸される空気の量。単位は[ml/分]。
(1分間あたりの呼気量あるいは吸気量。)
③予備吸気量
安静時の吸気量から、さらに吸入できる最大量。単位[m/l]。
④予備呼気量
安静時の呼気量から、さらに吐き出す事のできる最大量。単位[m/l]。
※③と④は深呼吸といえる。
⑤努力性肺活量
最大の吸気位から最大の呼気位までで呼出できる空気量。単位は[ml]。
⑥肺残気量
最大限に吐き出しても肺に残る空気量。単位は[ml]。
⑦全肺気量
最大吸気位で、肺の中に存在するすべての空気量。
⑧解剖学的死腔
鼻腔、口腔、気管など空気の通り道であってガス交換を行わない部分。(肺胞手前まで)
出典:ブログ医療関係資格試験マニア 死腔の増加、減少の起こる原因
解剖学的死腔でとどまり肺胞まで届かず、ガス交換に利用できない空気量がある。
→呼吸数を増やすよりも1回換気量を増加させる(より深い呼吸)方が、より効率的な呼吸となる。
⑨生理学的死腔
呼吸器においてガス交換を行わない部分。
正常な状態では肺胞死腔はほとんど存在しないので、生理学的死腔=解剖学的死腔となる。
しかし、喫煙や肺疾患などで肺胞死腔ができた場合、解剖学的死腔以外でガス交換に利用できない空気量が存在してくる。
(2)換気
①腹式呼吸
横隔膜(吸息筋)の上下運動による胸郭(きょうかく)の伸縮。
吸気
横隔膜が収縮(下に下がる)。
呼気
横隔膜が弛緩。肺、胸壁、腹部の弾性収縮。
※胸壁(肺を取り囲む骨格)
=胸骨+肋骨+脊柱
※胸郭
=胸壁+横隔膜
出典:webサイト WACOAL BODY BOOK 呼吸活動の7割を担う筋肉の正体は?
出典:webサイト鹿児島県国民健康保険団体連合会 オンラインでヨガに挑戦! -教えて健康法(運動編第2回)-
- 安静時にメインとなる呼吸。
- 副交感神経が優位になる呼吸。
②胸式呼吸
肋骨の上下運動による胸郭の前後への変化。
吸気
外肋間筋(がいろっかんきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、前鋸筋(ぜんきょきん)、斜角筋(しゃかくきん)が肋骨を拳上する。
呼気
腹筋群(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)、内肋間筋(ないろっかんきん)が胸骨を下げる。
出典:webサイト鹿児島県国民健康保険団体連合会 オンラインでヨガに挑戦! -教えて健康法(運動編第2回)-
- 運動時等の激しい呼吸。
- 妊婦の呼吸。