【19章】栄養と代謝に問題を抱えるクライアント

札幌パーソナルトレーニング

 

1.体重過多と肥満

(1)体重過多と肥満の定義と違い

体重過多:BMI 25~30未満

肥満:BMI 30以上

※肥満の人は長い期間、正のエネルギーバランスになっている。

 

正のエネルギーバランス

消費カロリー<摂取カロリー

=エネルギー収支が黒字

=体重増加

 

負のエネルギーバランス

消費カロリー>摂取カロリー

=エネルギー収取が赤字

=体重減少

 

(2)脂肪分布

女性型肥満(洋ナシ型)

大量の脂肪がお尻や腿に蓄積。

 

男性型肥満(リンゴ型)

胴回りと腹に大量の脂肪が蓄積。

生活習慣病の危険性が高い。

 

腹部脂肪の測定

肥満の人の皮脂厚測定は大変に難しい。

BMIとウエストの周径囲による評価が推奨される。

 

(3)肥満のための生活習慣の変容プログラム

減量プログラムの最初の目標は6か月で体重の10%の減量。

 

(4)体重過多又は肥満のクライアントのためのエクササイズ

  • 高温多湿の条件下で体温を調整する事が困難。
  • 過剰な脂肪による動作制限や可動制限により、エクササイズに修正が必要な場合もある。
  • 下肢の関節への荷重負荷は重要な問題である。
  • 腰痛である場合も多い。

 

〇体重過多又は肥満者の腰痛

  • 腹の重さとバランスをとるために、常に背中を反っているため生じやすい。
  • 腰椎が過度に前弯している場合が多い。
  • 腹筋が弱く、脊柱起立筋が硬い場合が多い。(常に力が入っているので疲労物質が溜まっている)
  • 筋筋膜性疼痛症候群になりやすい。

 

参考筋筋膜性疼痛症候群

筋肉、筋膜及び周囲の軟部組織にうずく様な痛みやコリを主症状にする疼痛症候群のこと。筋肉に過度の負担がかかり、筋の緊張をきたし、血流が障害されて痛みが発生すると考えられている。

この筋痛の特徴は、筋肉内にしこり(硬結)があり、トリガーポイントと言われる。ここに触れると敏感に痛みが生じる。

 

(例)

・筋緊張性頭痛

・肩甲肋骨症候群

・筋筋膜性腰痛など

 

(5)体重過多と肥満の人のためのエクササイズ設定とプログラムデザイン

有酸素性コンディショニング

週5日実施。

初期は1日2回20~30分実施。

最終目標は1日40~60分の実施。

強度は最大酸素摂取量の40~70%。

 

レジスタンストレーニング

連続させず、週2~3日で実施。

種目数は8~10種目程度。

各種目10~15レップスで1~3セット実施。

立位からではなく、シーテッドのエクササイズから入る。

 

柔軟性トレーニング

毎日又は週5日で実施。

 

 

2.摂食障害

(1)神経性食欲不振症(拒食症)

  • 極端な減量、体重維持の拒絶、体重増に対する恐怖心、歪んだ身体イメージ、無月経などが特徴。
  • 新体操やモデルの人がなりやすい。

 

参考ソマトタイプ(体験分類)

内胚葉型:身体全体が丸い

中胚葉型:筋・骨格が発達

外胚葉型:筋・骨格・脂肪とも貧弱

 

(2)神経性過食症(過食症)

  • 過食に続き、嘔吐を繰り返す。自己誘発性嘔吐。
  • 過食と絶食の繰り返しにより、体重の変動が頻繁に起こる。

 

(3)女性アスリートの3つの障害

  • 食生活の乱れ
  • 無月経
  • 骨粗鬆症

 

(4)摂食障害から回復したクライアントのためのエクササイズ設定とプログラムデザイン

  • エクササイズプログラムを再開する前に医師の許可を得るべき。
  • 骨粗鬆症の恐れがあるので、衝撃のない種目を選択する。
  • 心拍数と血圧を監視する事が重要。
  • 低エネルギーで実施するエクササイズを中心とする。レジスタンストレーニングは実施すべき。

 

 

3.高脂血症

  • 血中のコレステロール、中性脂肪が多い。
  • 低密度リポタンパク質、超低密度リポタンパク質が多い。
  • 高密度リポタンパク質が少ない。

 

〇対策

減量、運動、禁煙、TLC食の導入など。

TLC食:低脂肪、低飽和脂肪、低コレステロール。

 

 

4.糖尿病

糖の代謝異常。

 

(1)糖尿病のタイプ

Ⅰ型糖尿病

インスリン欠乏。

ほとんどの場合が先天性。

糖尿病患者の約10%。

 

Ⅱ型糖尿病

後天的。

インスリン抵抗性が強い。(インスリンが効きにくい)

糖尿病患者の約90%。

 

妊娠性糖尿病

糖尿病ではない人が妊娠中に糖尿病の症状が出現する状態。

インスリン抵抗性による。(インスリンが効きにくい)

 

(2)糖尿病のクライアントのためのエクササイズ設定とプログラムデザイン

  • 運動はインスリン感受性とグルコースの利用を高める。⇒血糖値を低下させる。
  • 末梢神経疾患を持つ人は、衝撃性の低いエクササイズが望ましい。

 

血糖調整

低血糖に注意が必要。

①低血糖を引き起こし易い因子

  • 運動強度の上昇
  • 運動時間の延長
  • 運動前の不十分なカロリー摂取
  • 過剰なインスリン投与
  • 運動している筋へのインスリン投与
  • 寒い環境

 

②低血糖の兆候

  • 集中力の欠如
  • 震え
  • 悪寒
  • 発汗
  • 頻脈
  • 意識消失

 

有酸素性コンディショニング

週4~6日実施。

1日20~60分の実施。

強度は最大酸素摂取量の40~70%。

 

レジスタンストレーニング

連続させず、週2~3日で実施。

主要な筋群を8~10種目程度。

各種目10~15レップスで1~3セット実施。

 

練習問題に挑戦!

 

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