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タイトルや上文にある短縮性筋活動とは『挙げる』『引く』といった動作時の筋活動で、筋肉が縮みながら力を発揮している状態です(これを短縮性筋収縮といいます)。
例えばダンベルベンチプレスで言えば、ダンベルを押し上げる動作で起こっている筋活動で、プルアップで言えば、体を引き上げる動作で起こっている筋活動になります。
この短縮性筋活動の活性化に重きをおいた反復スタイルを紹介したことがあります。活性化の手段として伸張反射を利用したものです。
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【筋トレ】伸張反射を取り入れた反復スタイル『イントラレップ・ストレッチリフレックス法』
本日は、別パターンである『ECAトレーニング法』を紹介します。神経系活性化のアクチベーション種目と、反射ではなく随意的に挙上時の筋繊維動員を高めようとするデッドストップ反復種目で構成しています。
ちなみに、『ECA』はEmphasized Concentric Action(強調短縮性筋活動)の略です。
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ECAトレーニング法
ECAトレーニングは短縮性筋活動の活性化に着目し、強い短縮刺激によって筋肥大を狙うものです。
短縮性筋活動及び短縮刺激を手っ取り早く高めたければ、高重量を用いてリフティングすれば良いです。ですが、加齢や、もともとの体の強さが一般レベル又はそれ未満の場合では、怪我のリスクが高まるので高重量に頼り切ることは得策ではありません。
ECAトレーニングでは使用重量を比較的抑えることができますし、ボディメイクやボディビルディングのトレ手法としては珍しいので、新鮮な刺激になり得ると思います。
このトレーニングでは短縮性筋活動を活性化するために、神経系活性化を目的としてた『アクチベーション種目』を2種目、随意的に短縮性筋活動の初動から筋繊維動員を高める『デッドストップ反復種目』で構成しています。実施順は以下になります。

これを1セットと定義します。セット間休息は3分以上とし、4セット以上実施します。
『アクチベーション種目①』『アクチベーション種目②』『デッドストップ反復種目』について説明します。
アクチベーション種目①:摂動系種目について
『不安定なサーフェス』や『不安定にして保持困難にした負荷』を用いて、バランスをとりながら反復します。
『不安定なサーフェス』はバランスボールやバランスボードなどの不安定面を持つツールのことで、この面上でエクササイズを行ないます。
例:バランスボール

出典:Sunwarriorチャンネル Exercise Ball Push-Ups | Tim McComsey
例:バランスボード

出典:Perform For Lifeチャンネル Wobble Board Squat
『不安定にして保持困難にした負荷』はチューブで吊るしたプレートなどで、ダンベルやバーベルのかわりに使用します。

出典:Body Shape Fitness Vietnamチャンネル EARTHQUAKE TRAINING - UNSTABLE OVERHEAD LIFTS FOR QUICK GAINS
目的
中枢神経系の活性化です。神経系を目覚めさせる準備運動と言う方が正しいかもしれません。後で実施するデッドストップ反復種目で、より多くの筋繊維が動員されることを期待して行うのであって、直接的に筋肥大を狙った刺激種目として行うものではありません。
使用重量
不安定サーフェス使用の場合
自体重。
保持困難にした負荷使用の場合
30~40%1RM重量(Max重量の30~40%の重量)。1RM重量は保持困難にする前の負荷(ダンベルやバーベル)によるもので、保持困難にした負荷(プレート+チューブなど)で実施した場合の1RM重量ではありません。
反復テンポ
下ろし動作:等速2秒
ボトム位:4秒保持
挙げ動作:等速2秒
トップ位:4秒保持
例:バランスボールpush up




出典:Sunwarriorチャンネル Exercise Ball Push-Ups | Tim McComsey
反復回数
上記の反復テンポで3回。
アクチベーション種目②:プライオメトリクス種目について
素早い切り返し動作で伸張反射を発動させて、力強く跳ね上げる様に反復します。
例:ベンチ・パワーpush up
出典:James Keayチャンネル Bench Power Push ups
例:DBプッシュプレス
0:40~0:52
出典:Miguel Aragoncilloチャンネル French Contrast Method - Upper Body Example
目的
中枢神経系の高閾値運動単位の動員能力を向上させることです。言い換えますと、速筋繊維の動員能力を向上させるということです。後で実施するデッドストップ反復種目で、より多くの筋繊維が動員されることを期待して行うのであって、直接的に筋肥大を狙った刺激種目として行うものではありません。
使用重量
自体重種目とフリーウェイト種目を使い分ける。
フリーウェイト種目の重量は、20~30%1RM重量(Max重量の20~30%の重量)にする。1RM重量は通常の反復法によるもので、プライオメトリクス動作で実施した場合の1RM重量ではありません。
反復テンポ
素早く切り返して最大努力で跳ね上げる動作を繰り返す。
例:ベンチ・パワーpush up
出典:James Keayチャンネル Bench Power Push ups
例:DBプッシュプレス
0:40~0:52
出典:Miguel Aragoncilloチャンネル French Contrast Method - Upper Body Example
反復回数
上記の反復テンポで6~8回。
デッドストップ反復種目について
一般的なデッドストップ反復法は、ボトム位で一旦脱力して、静止した負荷を力強く瞬発的に挙上するものです。これにトップ位でのISOテンションを追加して、ECAトレーニングのデッドストップ反復法として採用しています。
例:バーベルベンチプレス
出典:zeev shifチャンネル Dead stop bench press
例:バーベルショルダープレス
出典:Testosterone Nationチャンネル Dead-Stop Overhead Press
デッドストップ反復法はボトム位で脱力するので、伸張反射や腱に蓄えられる弾性エネルギーが挙上に活かせません。この状況で静止した負荷に加速度を与えて挙上するには(瞬発的な挙上)、かなりの筋力が必要となります。ですので、挙上の開始から(短縮性筋活動の初動から)、多くの筋繊維が随意的に動員されます。
また、ECAトレーニングのデッドストップ反復法では、トップ位で最大努力のアイソメトリクス(ISOテンション)を追加しています。これも多くの筋繊維動員に寄与します。
目的
主目的は、使用重量を抑えながら筋肥大しうる強い短縮刺激を対象筋に与えることで(短縮刺激がメイン、伸張刺激はサブ)、副目的は筋力の向上です。
使用重量
65%1RM重量(Max重量の65%の重量)から始めてみる。1RM重量は通常の反復法によるもので、デッドストップ反復法で実施した場合の1RM重量ではありません。
反復テンポ
下ろし動作:等速3秒
ボトム位:脱力1~2秒
挙げ動作:最大努力で一気に
トップ位:ISOテンション2秒




出典:C-Roy Strengthチャンネル Deadstop Bench Press
デッドストップ反復法は、ボトム位で脱力するためにセイフティバー等へ負荷を着地させますが、接触音が大きくなりがちです。ジムマナーを守るためにも下ろし動作は最後まで気を抜かず、静かに着地させる様に心掛けて下さい。これは、より厳密な伸張性筋活動の実施にもつながります。
反復回数
上記の反復テンポで限界まで反復(※)、又は爆発的な挙上が出来なくなったと判断されるまで。
重量増加タイミング
- 8回できたセットは、次回トレの同セットで2kg程度増加する。
- 8回できていないセットは、次回トレの同セットで同重量のまま8回を目指す。
※瞬発的トレの反復限界の要否
上記で『限界まで反復』と書きましたが、筋肥大トレーニングとして瞬発的・爆発的なリフティングを取り入れる場合、それは必ずしも必要ありません。
負荷の挙上速度を基準として使用重量・反復回数・休息時間などを設定し調整するトレーニング法があります。Velocity Based Training(VBT)と言います。
70~85%1RM重量(Max重量の70~85%の重量)に相当する挙上速度を用いたVBTによると、挙上の速度低下率が20~40%になった時点で反復を終了しても、十分に筋肥大することが実証されています。怪我リスクの高まりや、いたずらに疲労を蓄積させることも防げますね。挙上速度低下率40%がどの程度のものか、この動画が参考になります。↓
出典:bestconditiongymチャンネル VBTの機能の1つVLC(Velocity loss cut)についての説明(アスリートの筋肥大的な活用方法)
VBTにご興味がある方は、こちらの書籍をおすすめ致します。
ECAトレーニングで期待できること
ECAトレーニングは、ボディメイクやボディビルディングにとって珍しいトレーニング手法で、以下のことが期待できます。
1.不十分な筋形態の変化が引き出せる
ECAトレーニングでは、挙上初動で瞬時に多くの筋繊維を動員することが課され、かつトップ位でISOテンション(最大努力のアイソメトリクス)も行なうリフティングが主軸になっています。さらに、神経系の事前活性を目的とした種目も含んでいます。ですので、比較的軽めの重量でも強い短縮性筋収縮が挙上動作全体を通して実現できます。
短縮性筋活動は筋の羽状角を増加させる可能性があり(Franchi氏他8名の研究など)、羽状角の増加は筋肥大の一因だと考えられます(Kawakami氏他2名の研究など)。また、筋の中間部の肥大が期待できます(Franchi氏他8名の研究)。
2.アンドロゲン受容体の増加
短縮性筋活動は、筋細胞内のアンドロゲン受容体を増加させる可能性があります(Bamman氏他7名の研究)。これは利用できるテストステロンが増加するということなので、筋肥大につながります。
3.随意的に筋繊維動員を高める能力が向上する
ECAトレーニングのリフティング様式を考えると、随意的に筋繊維動員を高める能力が向上する可能性があります。これにより、筋力の向上や、普段の筋肥大トレーニングでより多くの筋繊維を動員させることが期待できます。
4.敏感な筋肥大反応が得られる
ECAトレーニングは、ボディメイクやボディビルディングであまり行われないタイプのトレーニング手法なので、不慣れな刺激が入ります。不慣れな刺激に対する体の感受性は高く、適応反応が敏感になる可能性があります。
ですので、ECAトレーニングによって筋力発揮に適した神経駆動や筋形態の適応反応が活発になり、筋肥大の促進につながる可能性があります。
個人メモ
普段のトレーニングに慣れてしまい筋肥大反応が鈍化する一因として、シグナル伝達系の非活性があります。これはトレーニングを休止することで回復するようです(Ogasawara氏他7名の研究)。
この非活性の回復は、トレーニングの休止では無く、トレーニング手法の変更(不慣れ度の程度など)でも生じるのか興味があるところなのですが、私の中ではっきりしていません(裏付けになりそう研究論文がいくつかあるのですが)。
トレーニング手法の変更によってもシグナル伝達系活性化の回復が生じるのなら、4項の理由の1つになり得ますね。
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