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最近、M3セット法の関連記事ばかりで恐縮ですが、本記事の内容はM3セット法で採用している反復スタイルについてです。採用種目の記事も作成したい気持ちがありますが、書いている本人もM3セット法の記事に飽きてきているので(笑)、本記事で最後にします。
M3セット法とは、3つの筋肥大要因「機械的張力(Mechanical tension)」「代謝ストレス(Metabolic stress)」「筋損傷(Muscle damage)」を組み込んだセット法です。
ここ最近の記事では、M3セット法の組み方(実施バリエーション)について纏めてきました。以下の5つに分けられます。
①1セット内に3要因を割り当てる
②セット毎に3要因を割り当てる
③種目毎に3要因を割り当てる
④Split routine毎に3要因を割り当てる
⑤部位分割毎に3要因を割り当てる
①②について
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【筋トレ】M3セット法のバリエーションについて(1/3)
③④について
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【筋トレ】M3セット法のバリエーションについて(2/3)
⑤について
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【筋トレ】M3セット法のバリエーションについて(3/3)
これら記事内では反復について、「機械的張力」として『高重量の反復』、「代謝ストレス」として『パンプ促進の反復』、「筋損傷」として『伸張性筋収縮を強調した反復』を割り当てると抽象的に表記しています。
ですので、『高重量の反復』『パンプ促進の反復』『伸張性筋収縮を強調した反復』が具体的にどういった反復スタイルなのかわからないと思います。
そこで本記事では、これら反復スタイルについて具体的に纏めます。但し、ここに纏める内容は、上記実施バリエーション②~⑤に当てはまるものだと思って下さい。
実施バリエーション①はショック療法的な組み方なので、本記事内容は当てはまりません。①の具体的な反復スタイルについては、以下の記事に纏めてあります。興味ある方はご参照下さい。
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【筋トレ】筋肥大要因を与えるトレーニング手法『M3セット法』:説明編
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【筋トレ】筋肥大要因を与えるトレーニング手法『M3セット法』:具体例編①
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【筋トレ】筋肥大要因を与えるトレーニング手法『M3セット法』:具体例編②
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1.機械的張力としての『高重量の反復』スタイル
高重量を用いることで多くの筋繊維に張力を発生させます。『反復テンポ』『使用重量』『反復回数』の目安を記します。
反復テンポ
下ろし(戻し)動作:等速2秒
挙げ(引く)動作:力強く一気に
※反復中の意識について
- 下ろし(戻し)動作は内的集中で行なう。対象筋でブレーキを掛けている感覚や、対象筋の伸張感(突っ張る感覚)を感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
- 挙げ(引く)動作は外的集中で行なう。負荷を最大努力で押す・引くといった動作に意識を集中する。
使用重量
上記の反復テンポで反復限界5回の重量。
反復回数
反復限界の5回又は反復限界1回手前(RIR1)の4回。
漸進性の原則に従って、少しずつで良いので使用重量を増やしていきます。
参考までに、上記の高重量反復スタイルで採用している2種類の反復システムを紹介します。
1.1 クラスタセット法
反復限界5回の重量で『2回反復したら20秒休息』を5度繰り返す。これを1セットと定義します。こんな感じです。↓
2回反復
⇓20秒休息
2回反復
⇓20秒休息
2回反復
⇓20秒休息
2回反復
⇓20秒休息
2回反復
途中で2回反復こなせなくなったら、休息時間を延長して構いません(例:20秒→35秒)。
1.2 レストポーズ法
反復限界5回の重量で『限界まで反復したら40~50秒休息』を5度繰り返す。これを1セットと定義します。こんな感じです。↓
5回反復
⇓40-50秒休息
限界まで反復
⇓40-50秒休息
限界まで反復
⇓40-50秒休息
限界まで反復
⇓40-50秒休息
限界まで反復
2.代謝ストレスとしての『パンプ促進の反復』スタイル
代謝産物の蓄積や筋内低酸素化を促進させます。『反復テンポ』『使用重量』『反復回数』の目安を記します。
反復テンポ
下ろし(戻し)動作:1秒
挙げ(引く)動作:1秒
※反復中の意識について
- 下ろし(戻し)動作・挙げ(引く)動作共に内的集中で行なう。反復テンポが速いが、対象筋の伸び縮みやパンプ感を逃さず感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
使用重量
上記の反復テンポで反復限界15~20回の重量。
反復回数
反復限界の15~20回。
漸進性の原則に従って、少しずつで良いので使用重量を増やしていきます。
参考までに、上記のパンプ促進反復スタイルで採用している2種類の反復システムを紹介します。
2.1 レストポーズ法
反復限界15回の重量で『限界まで反復したら5秒休息』を4度繰り返す。これを1セットと定義します。こんな感じです。↓
15回反復
⇓5秒休息
限界まで反復
⇓5秒休息
限界まで反復
⇓5秒休息
限界まで反復
2.2 総レップ法
予め決めた総反復回数に到達するまで、反復限界15回の重量で『限界まで反復したら10秒休息』を繰り返す。これを1セットと定義します。こんな感じです。↓
15回反復
⇓10秒休息
限界まで反復
⇓10秒休息
限界まで反復
⇓10秒休息
限界まで反復
⇓10秒休息
:
:
総反復回数(例:60回)に到達し、終了
3.筋損傷としての『伸張性筋収縮を強調した反復』スタイル
伸張性トレーニングを用いることで筋繊維に微細な損傷を発生させます。それだけでは無く、以下を期待して伸張性トレーニングを取り入れています。
- 筋タンパク質合成の上昇(Moore氏他4名の研究)
- IGF-1メッセンジャーRNA発現の増加(Shepstone氏他5名達の研究)
- p70S6K(リン酸化酵素)とRS6(リボソームタンパクS6)のリン酸化増加(Eliasson氏他5名の研究)
- 速筋繊維の優先的な動員(Nardone氏他2名の研究)
- 筋衛星細胞や筋核の増加(Wackerhage氏他4名のレビュー)。。。等々
Handford氏他5名のレビュー論文によると、筋肥大効果が期待できる伸張性トレーニングは複数ありますが、特別な用具を必要とせずにジムで簡易にできるものは『伸張性テンポトレーニング』『2-1法』『ネガティブズ』になります。ですので、これら3パターンを『伸張性筋収縮を強調した反復』スタイルとして採用しています。
3.1 伸張性テンポトレーニング
伸張性筋収縮(下ろす、戻す動作)をゆっくりとした等速で行なう反復スタイルです。『反復テンポ』『使用重量』『反復回数』の目安を記します。
反復テンポ
下ろし(戻し)動作:等速3秒
ボトム位保持:2秒
挙げ(引く)動作:力強く一気に
※反復中の意識について
- 下ろし(戻し)動作は内的集中で行なう。対象筋でブレーキを掛けている感覚や、対象筋の伸張感(突っ張る感覚)を感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
- ボトム位保持も内的集中で行なう。対象筋の伸張感(突っ張る感覚)を感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
- 挙げ(引く)動作は外的集中で行なう。負荷を最大努力で押す・引くといった動作に意識を集中する。
使用重量
上記の反復テンポで反復限界10回の重量。
反復回数
反復限界の10回。
漸進性の原則に従って、少しずつで良いので使用重量を増やしていきます。
3.2 2-1法
挙げ(引く)動作は両側で行ない、下ろし(戻し)動作は片側で行なう(短縮性筋収縮は両側、伸張性筋収縮は片側で行なう)。『反復テンポ』『使用重量』『反復回数』の目安を記します(Mike氏他2名の論文を参考にしています)。
反復テンポ
下ろし(戻し)動作:片側で等速5秒
挙げ(引く)動作:両側で力強く一気に
※反復中の意識について
- 片側での下ろし(戻し)動作は内的集中で行なう。対象筋でブレーキを掛けている感覚や、対象筋の伸張感(突っ張る感覚)を感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
- 両側での挙げ(引く)動作は外的集中で行なう。負荷を最大努力で押す・引くといった動作に意識を集中する。
使用重量
両側での70~80%1RMの重量(両側でのMax重量の70~80%重量)。
反復回数
両側で10回(片側1回ずつ交互に実施)。
両側で挙げ
⇓
下ろし1回目:左のみ下ろし1回目
⇓
両側で挙げ
⇓
下ろし2回目:右のみ下ろし1回目
⇓
両側で挙げ
⇓
下ろし3回目:左のみ下ろし2回目
⇓
両側で挙げ
⇓
下ろし4回目:右のみ下ろし2回目
:
:
下ろし10回目:右の下ろし5回目で終了
漸進性の原則に従って、少しずつで良いので使用重量を増やしていきます。
実施例をいくつか紹介します。
例1:レッグエクステンション
両脚であげて、片脚で下ろす(左右交互に実施)。
出典:Dr. Joel Seedmanチャンネル Eccentric Overload Training Methods!! BANA 2:1 Leg Extensions with NFL pro Younghoe Koo
例2:ライイングLegカール
両脚でカールして、片脚で下ろす(左右交互に実施)。
出典:strengthconditioning8953チャンネル Leg Curl - 2 up 1 down
例3:レッグプレス
両脚でプレスして、片脚で下ろす(左右交互に実施)。
出典:Bisons Strength and Conditioningチャンネル Leg Press (2-1 Eccentric; Full Depth)
例4:ヒップスラスト
両臀部であげて、片臀部で下ろす(左右交互に実施)。
出典:Tyler.Ecklesチャンネル Hip Thrusts 2 Up, 1 Down
例5:マシンchestプレス
両胸でプレスして、片胸で下ろす(左右交互に実施)。スミスマシンでもできます。
出典:Dr. Joel Seedmanチャンネル Monster CHEST Growth with Eccentric Overload Machine Chest Press BANA 2:1 NFL Pro Younghoe Koo
例6:ラットプル
両側で引いて、片側で戻す(左右交互に実施)。
出典:チャンネル Assisted Negative REP’s for Big Lats!
例7:シーテッドロウ
両側で引いて、片側で戻す(左右交互に実施)。
出典:Testosterone Nationチャンネル Seated Row, 2/1 Technique
胸あてパッドが付いたマシンロウで行なうと、僧帽筋にも伸張刺激が入れやすくなります。
例8:マシンshoulderプレス
両肩でプレスして、片肩で下ろす(左右交互に実施)。スミスマシンでもできます。
出典:Dr. Joel Seedmanチャンネル Build MONSTER Shoulders & Deltoids with BANA 2:1 Eccentric Overload Machine Shoulder Press
例9:マシン・カール
両腕でカールして、片腕で下ろす(左右交互に実施)。以下の様なマシンで行なえます(動画はマシンの紹介のみ)。
出典:FitnessPledgeチャンネル Preacher Curl Machine
例10:マシンtricepsエクステンション
両腕でエクステンションして、片腕で戻す(左右交互に実施)。以下の様なマシンで行なえます(動画はマシンの紹介のみ)。
出典:Renaissance Periodizationチャンネル Machine Triceps Extension
出典:Hammer Strengthチャンネル Hammer Strength Select Triceps Extension
3.3 ネガティブズ
伸張性筋収縮(下ろす、戻す動作)のみ高重量で行なう。『反復テンポ』『使用重量』『反復回数』の目安を記します(Mike氏他2名の論文を参考にしています)。
反復テンポ
下ろし(戻し)動作:等速3~4秒
※反復中の意識について
- 内的集中で下ろし(戻し)動作を行う。対象筋でブレーキを掛けている感覚や、対象筋の伸張感(突っ張る感覚)を感じ取ろうと、筋肉に意識を集中する。
使用重量
1RM重量の120%(Max重量の1.2倍)。
反復回数
クラスタセット法で8回。『1回下ろしたら(戻したら)6~8秒休息』を8度繰り返す。これを1セットと定義します。こんな感じです。↓
1回目下ろし(戻し)
⇓6~8秒休息
2回目下ろし(戻し)
⇓6~8秒休息
3回目下ろし(戻し)
⇓6~6秒休息
:
:
8回目下ろし(戻し)
途中で下ろし(戻し)動作が等速3~4秒でできなくなったら、休息時間を延長して構いません(例:6~8秒→15秒)。
漸進性の原則に従って、少しずつで良いので使用重量を増やしていきます。
通常、上記の様な高重量のNegativeレップは補助者を必要とします。ですが、お一人でトレーニングしている方が殆どだと思いますので、セルフ高重量Negativeレップの実施パターンをいくつか紹介します。
パターン①:ジム備品を活用する
ステップ台や、パワーラックのセイフティバー等を利用して、Negativeレップ開始位置まで持って行く。
例1:プルアップ
出典:Bulldog Gearチャンネル Negative Pull-Up
例2:ディップス
フォームによって、大胸筋と上腕三頭筋を鍛え分けることができます。
出典:Nour Kaakiチャンネル Dips negative only
パターン②:他筋群を補助に活用する
対象筋以外の筋群を補助として活用して、Negativeレップ開始位置まで持って行く。いくつか例示します。
例1:リバースノルディックカール
ニーリングスクワットで開始位置まで持って行く。

例2:Stiff leg デッドリフト
スクワットで開始位置まで持って行く。
出典:Feesfitnessチャンネル Stiff-legged Negative Deadlift
例3:シングルStiff leg デッドリフト
ルーマニアンデッドリフトで開始位置まで持って行く。
出典:nEqualsOneチャンネル 100kg single leg deadlift negative reps #deadlift
例4:ケーブルtricepsエクステンション
股関節屈筋群を補助として活用しながら、体重掛けてしゃがんで開始位置まで持って行く。

例5:ワンアームcable triceps extension
空き腕の肩関節伸展動作を補助として活用しながら、開始位置まで持って行く。
出典:JOHNDEYOUNGFITNESSLAチャンネル Assisted Negative Tricep Training for Mass!!
例6:ケーブルカール
下半身の筋群で立ち上がって開始位置まで持って行く。

パワーラックのセイフティバーを活用すれば、同要領でバーベルカールでも実施できます。

例7:DBカール
股関節屈曲筋群を補助として活用しながら開始位置まで持って行く(下図は『持って行き方』のみ)。

出典:IRONMAN誌 2016年11月号
例8:バーベル・リバースカール
ハングクリーンで開始位置まで持って行く。
出典:SmithCoachingチャンネル Barbell hang clean to reverse curl
例9:バーベルpullover
ベンチプレスで開始位置まで持って行く。
出典:Dr. Joel Seedmanチャンネル Negative Pullover To Bench Press Combo - 2 Variations
例10:サイドライイングDB pullover
横寝のDBクリーン&プレスで開始位置まで持って行く。
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【筋トレ】DBプルオーバーの実施バリエーション『サイドライイング・DBプルオーバー』
※セルフNegativeの行い方は3項に記載
例11:ショルダーベンチプレス
リバースベンチプレスで開始位置まで持って行く。
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【筋トレ】肩前部に特化したプレスバリエーション2種
※セルフNegativeの行い方は1項の『追い込み例2』に記載
例12:smithワンハンドショルダープレス
スクワットで開始位置まで持って行く。
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【筋トレ】肩のキャパを大きくしよう!:スミスマシン・ワンハンドショルダープレス+セルフネガティブ
※セルフNegativeの行い方は3項に記載
例13:ワンハンドcableサイドレイズ
空き腕の肩関節内転動作を補助として活用しながら、開始位置まで持って行く。

例14:ライイングDBリアレイズ
横寝のDBクリーン&プレスで開始位置まで持って行く。
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【筋トレ】肩後部づくりに役立ててほしい!肩後部版クリーン&プレスwithスローネガティブ
※セルフNegativeの行い方は1項に記載
パターン③:2-1法を活用する
3.2項の『2-1法』もNegativeレップ開始位置まで持って行く手段として使えます。片側1RM重量の120%重量(片側Max重量の1.2倍)を両側で挙げて(引いて)、等速3~4秒かけて片側のみで下ろします(戻します)。いくつか例示します。
例1:ワンハンド・ケーブルカール
両腕でカールし、片腕で下ろします。
出典:
例2:ワンハンド・ケーブルextension
両腕でエクステンションし、片腕で戻します。

3.2項『2-1法』で例示したものも使えます。
以上です。
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