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『馴化』とは、端的に言うと「慣れ」です。具体的に説明すると以下になります。
馴化とは ある刺激(ストレッサー)が繰り返されるうちに、不必要な(過敏な)反応が抑えられ、その環境にスムースに適応していく現象。
皆様それぞれに実体験が多くあると思います。
私の場合は『梅雨だる』が思い出されます。約12年間、神奈川県で生活していました。道民の私にとって梅雨の気候は体に合わず、当初の頃は疲労感や倦怠感が激しく辛い時期でした。ドロドロと溶けてるような感覚で、シャキッとできませんでした(笑)。慣れるのに5~6年も掛かってしまいました。
これを馴化のプロセスに当てはめると、以下の様になります。

馴化は、筋肥大トレーニングにおいても生じる現象です。
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筋肥大とは何なのか
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「そもそも筋肥大とは何なのか」というところから説明します。
筋肥大とは、トレーニング刺激(ストレッサー)に対する体の防衛反応といえます(厳密性には欠ける表現ですが)。この体の防衛反応のトリガーになるトレーニング刺激(ストレッサー)が『機械的張力』『代謝ストレス』『筋損傷』だと言われています(Schoenfeld氏のレビュー)。
それらの中で最も有力なトリガーは『機械的張力』の様です(Every氏他4名のレビュー)。分子レベルでみてみると、Schiaffino氏他3名のレビューが示すとおり、筋肉は機械的張力(ストレッサー)を感知し、それに応じたタンパク質合成を促進する仕組みを持っています。

出典:Schiaffinoら著 Molecular Mechanisms of Skeletal Muscle Hypertrophy Fig.2.
体がこういう仕組みを持っていること自体が、『筋肥大=体の防衛反応』といえる根拠の1つになり得るかと思います。
筋肥大トレーニングの馴化について
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冒頭で示した『馴化』の定義を振り返ります。↓
ある刺激(ストレッサー)が繰り返されるうちに、不必要な(過敏な)反応が抑えられ、その環境にスムースに適応していく現象。
これに筋肥大トレーニングを当てはめると、次のようになります。
筋肥大トレーニングの馴化 あるトレーニング刺激(ストレッサー)に対する体の筋肥大(防衛反応)が繰り返されるうちに、過敏な筋肥大が抑えられ、そのトレーニング刺激に体が馴染む(適応する)こと。
この説明に用いられる有名な理論が、Hans Selye博士のGAS理論(汎適応症候群理論)です(参考レビュー)。この理論は、体が外部からのストレスを受けると3段階の反応(警告反応期、抵抗期、疲弊期)を示すというものです。これに筋肥大トレーニングを当てはめた概略図がこれです。↓

🔴警告反応期
あるトレーニング刺激(ストレッサー)に直面した初期段階。『ショック相(ひどい筋肉痛による一時的な機能低下)』と『抗ショック相(防衛反応である筋肥大の開始)』とに分けられる。上図のとおり、抗ショック相では敏感な防衛反応(筋肥大)が得られる。
🔴抵抗期
そのトレーニング刺激(ストレッサー)に適応してきている状態で、敏感な防衛反応(筋肥大)が減退する。やがて適応が完了し、そのトレーニング刺激(ストレッサー)では筋肥大がそれ以上得られない状態となる。これが筋肥大トレーニングの馴化であり、'' 停滞(プラトー) '' を引き起こす。
🔴疲弊期
トレーニングをやり過ぎてオーバーワークな状態。筋量が落ちてきたり、体調不良や免疫低下で疾病が発生したりする。
上記の様な、筋肥大トレーニングの馴化が起こり得る根拠は複数あります。
1つは研究結果です。継続して筋肥大トレーニングを行うと、トレーニング刺激に対する筋肥大反応が鈍感になることを示唆する研究が複数あります(肥大に関わる遺伝子発現の抑制や、同化シグナル系の鈍化など)。
第2に、ホメオスタシス(恒常性)による現状維持が挙げられます。筋肉の維持や肥大にはカロリーが必要なので、筋肉がその負荷に耐えうる強さを得ると、体は「これ以上コストをかけて筋量を増やす必要はない」と判断し、現状維持モードに移行すると考えられます。
最後は経験値です。同じトレーニング刺激の継続で、筋肥大の程度が鈍化する経験を皆様もしていると思います。
馴化期間(停滞に至るまでの期間)
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上記のとおり、同じトレーニング刺激を継続すると、馴化により筋肥大は停滞する可能性が高いです。次に気になるのは『馴化期間(停滞に至るまでの期間)』です。結論から言いますと、8~12週で停滞に至ると思われます。

馴化期間を探るため、まず把握すべき事は『実感できる程の筋肥大が得られる期間』です。それには筋肥大研究の実験期間が参考になります。多くは8~12週間で、その主因は、不慣れなトレ刺激による炎症の影響を排除し(腫脹が肥大と誤認される)、確かな筋組織の増加と判断できる期間だからです。
そして、この期間(8~12週間)が馴化期間として妥当であるか判断するには、筋肥大を時系列で追いかけた研究が参考になります。以下の動画が、それについて触れています。↓
出典:House of Hypertrophyチャンネル Muscle Growth SLOWS DOWN Fast? (16 Studies)
この動画の説明を逆説的に言えば、漸進性過負荷を行っていても、トレ内容(種目選択、ボリュームなど)や食事内容が変わらなければ、3ヶ月以内に停滞の兆候を示す可能性があると解釈できます。
以上のことから、馴化期間8~12週間(停滞に至るまでの期間)には妥当性があると言えます。
絶対的なトレーニング手法は無い
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『〇〇法が最強』『最適なレップレンジは~』『ボリューム VS 強度』などなど、優劣を競う内容がwebサイトやSNSでよく見受けられます。私も「どちらが良いのか?どれが良いのか?」といったご質問を受ける機会がよくあります。
私の回答は『わかりません』です。筋肥大トレーニングにおいて、その手法やプログラムに優劣をつけることに意味を見出せないので、殆ど調査したことがありません。これまで説明してきた通り、馴化により停滞が起きるからです。
短期間限定の場合は、確かに優劣付けできるかもしれません。ですが、我々が目指す体は、そんな短期間でなし遂げられるものではないはずです。このブログ読者でしたら尚更でしょう。また、『優』となった内容が機能するかは、それまでのトレstyleにもよるので一概に言えません(似た刺激のまま)。
どんなに優れたボディビルダーやトレーナー、研究者が提唱するトレーニング法であっても2~3ヶ月程度続ければ、筋肥大は停滞の兆候を示す可能性が高いです。漸進性過負荷の原則に従って使用重量を更新していっても、それは変わらない様です(過去の私も知りませんでした)。
『最強!』『ベスト!』といった絶対的な筋肥大トレはありません。どれが最良なのかを探すこと自体、あまり意味がないです。見つけた、知った、作った手法・プログラムをストックしておいて下さい。そして、それらを馴化対策の手段として活用し、継続的に筋肥大を得て行くことが肝要です。
筋肥大トレーニングの極意 最強トレ手法なんてものは無い。様々なトレ手法をストックし、それらを馴化対策の手段として活用して継続的な筋肥大反応を得て行く。
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