胸の人気種目にマシン・ペックフライがあります。
マシンタイプは複数ありますが、一般的によく目にするタイプは、ペックフライとリアデルトフライのハンドルを持つタイプだと思います。これですね。↓
出典:lifefitness.com HAMMER STRENGTH SELECT ペクトラル・フライ/リア・デルトイド
<動画>
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出典:Hammer Strengthチャンネル Hammer Strength Select Pectoral Fly
人気の理由は、ベンチプレスやマシンプレスといったプレス種目よりも大胸筋に効く感覚がつかみやすいからだと思います。
私にとってもマシン・ペックフライは、プレス種目より大胸筋の筋収縮が意識しやすい種目ですが、消化不良な感じでそのセットを終える場合が多いです(あくまでも私の場合)。
消化不良感とは、そのセットで満足が得られるレベルまで大胸筋を使い込めずに終わってしまう感じです。
そうなる理由は、そのセットの後半で発生する肩の不快感のせいで、肩関節負担や三角筋前部の緊張による肩前部の酸欠が原因だと思っています。
これら肩の不快感を低減させたマシン・ペックフライのバリエーションがあります。胸の筋収縮(短縮、伸張共に)がよくわかりますし、大胸筋を使い込むことができます。
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マシン・エルボーペックフライ
最初に言っておきますが、この種目は、体格によってできない場合もあります。
肘を作用点にして行うマシン・ペックフライです。バランスボールを背もたれにして立位で行ないます。こんな感じです。↓
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詳細です。↓
事前準備
(1)マシンのセッティング
①アーム位置設定
最前に設定する。
②パッド類の装着
肘内側保護目的でアームにスクワットパッドを、腕乗せ目的でリアデルトフライ用ハンドルにFATGRIPZを両側に装着。
FATGRIPZ未装着でもリアデルトフライ用ハンドル上に腕乗せは可能なので、無くても問題有りません。私の場合は、乗せ心地や安定性が良いのでFATGRIPZを装着しています。
参考使用しているパッド類
スクワットパッド
FATGRIPZ
③背もたれの設定
最上に設定したシート上に直径65cmバランスボールを乗せる。体がかなり大きい方(かなり厚みのある方)は直径55cmバランスボールを乗せる。
直径選択の最終判断は、実際に行なってみて大胸筋の効きが良い方を選択する。私の場合は直径65cmを選択しています。
次項に示す開始姿勢をとる際やセットを終えてアームを戻す際、不意に体でバランスボールを押しのけてしまい、シートからバランスボールが落下する場合があります。
上記を気にかけながら開始姿勢どりやアーム戻しを行えば問題ありませんが、気にかけることがストレスになる場合はヨガベルトなどで軽く固定すると良いです。ヨガベルトの長さは240cmあれば十分です。
上写真は200cmのヨガベルトで直径55cmバランスボールを固定した状態。直径65cmバランスボールを固定する場合は240cmのヨガベルトで行ないます。
(2)開始姿勢のとり方
①アームの捕捉
- 一方のリバースフライ用ハンドルに手の平下にした片腕を乗せ、肘内側でアームを捕捉する。(肩関節内旋位にして肘内側でアームを捕捉する)
- 体重を前方にかけながら出来るだけ外回りで反対側へ移動する。
- もう一方のリバースフライ用ハンドルに手の平下にしたもう片方の腕を乗せ、肘内側でアームを捕捉する。(肩関節内旋位にして肘内側でアームを捕捉する)
- 両アームを両肘内側で捕捉したまま、体重を前方にかけながら出来るだけ外回りで中央へ移動し、バランスボールに背をあてる。
②高さの調整
膝の曲げ具合で高さを調整する。高さの善し悪しは、実際に行なってみた際の大胸筋の効き具合で判断する(私の場合は、大胸筋の大部分に負荷が乗る感覚が得られる高さ)。
フライ動作
はたから見るとただのフライ動作に見えますが、二段階動作の意識で行なっています。
以下は二段階動作の意識を理解して頂くために分けて説明していますが、実動作は一連の流れで力強く実施しています(慣れるとこれができます)。
ボトム位~中間域
ボトム位から中間域(両腕が体の真横又はそこを少し過ぎるまで)までは、フライ動作(弧を描く軌道)の意識で行なう。
中間域~トップ位
中間域(両腕が体の真横又はそこを少し過ぎた位置)からトップ位までは、両肘内寄せを意識したプレス動作で行なう。
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⇓
注意
大胸筋の絞り込みが中途半端にならない様に注意して下さい。ペックフライ用ハンドル同士の接触を避けて、大胸筋をしっかり絞り込みます。
戻し動作
戻し動作は通常のフライ戻し動作(弧を描く軌道)で行ないます。等速3秒かけてボトム位まで戻し、そこで2秒保持します。
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この種目は、大胸筋の筋収縮がしっかり感じ取れます。フライ動作時の短縮感、戻し動作時の伸張感を感じ取りながら行います。
また、使用重量ですが、通常のマシン・ペックフライより高重量が扱えるのでフルスタック重量でも足りない場合があります。その場合は、ウェイトスタック用加重ピンでプレートを追加すると良いです。
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【筋トレ】マシンの重量が足りなくなったら
この種目の良いところ
この種目は、通常のマシン・ペックフライ(ハンドル握る又は手を当てる)よりも肩の不快感(肩関節負担や三角筋の必要以上な緊張)が減り、大胸筋がダイレクトに刺激できます。
こうなる理由は以下だと推測しています。
(1)肩関節の安定化
作用点が手から肘に変わることで上腕骨の前方移動が抑制され、肩関節の安定性が向上する。これにより、肩関節負担が減ると共に、大胸筋への負荷乗せや筋活動がしやすくなる。
(2)手関節と肘関節が非関与
作用点が手から肘に変わることで手関節・肘関節が非関与になり、マシン・ペックフライが純粋な肩関節種目になる。これにより、大胸筋の負荷乗りや力伝達のロスが減る。
(3)ハンドルによる腕の支持
通常のマシン・ペックフライの様にハンドルを握ったり手を当てたりするフライでは、腕をハンドルの高さで保持するために三角筋も収縮しているので、その分余計に肩負担がかかるし、肩前部の酸欠も起きやすいと思われる。
<ハンドル握り>
出典:Hunter Labradaチャンネル How to Perform a Peck Deck Fly | Hunter Labrada
<ハンドルに手を当てる>
出典:IRONMAN JAPANチャンネル 徹底解説シリーズ03 鈴木雅が「マシンフライ」を伝授
一方、今回紹介している『マシン・エルボーペックフライ』では、ハンドル上に腕が乗って支えられているので、腕をハンドルの高さで保持する三角筋の収縮が殆どなく、肩負担がその分減って肩前部の酸欠も起きにくい。
<ハンドル上に腕を乗せる>
(4)大胸筋牽引方向への負荷分散
通常のマシン・ペックフライでは、ボトム位の負荷が真後ろにかかり、肩関節や三角筋の負担が大きくなる。
出典:VIVA FITNESSチャンネル VIVA Fitness - TP-04 Pec Fly / Rear Delt
一方、今回紹介している『マシン・エルボーペックフライ』では、ボトム位の負荷が大胸筋牽引方向へ分散されるので、真後ろ方向の負荷による肩負担(肩関節や三角筋の負担)を減らしながら、大胸筋にボトム位の負荷を掛けることができる。
(5)肩関節内旋位の動作
通常のマシン・ペックフライの様に手の平が向かい合ったフライ(肩関節外旋位のフライ)では、大胸筋起始部が上向きになるので負荷方向と大胸筋筋繊維方向が合わず、大胸筋の負荷乗りが良いと言い難い。
<肩関節外旋位のフライ>
出典:Muscle and Motionチャンネル The Pectoralis Major Muscle: Origin, Insertion, and Actions
一方、今回紹介している『マシン・エルボーペックフライ』では、手の平が下向くフライ(肩関節内旋位のフライ)なので大胸筋起始部が正面を向き、負荷方向と大胸筋筋繊維方向が合って負荷乗りが良くなる。
<肩関節内旋位のフライ>
出典:Muscle and Motionチャンネル The Pectoralis Major Muscle: Origin, Insertion, and Actions
ですが、フライのボトム位で肩関節を内旋させると肩の怪我が発生しやすくなるので、この行い方は肩関節負担の面でいうと、あまりお勧めできないと言うのが正直なところです。
このリスクを減らすために、肩関節を内旋させたフライを行なう際は肩甲骨を寄せて背中のアーチをつくって下さい。『マシン・エルボーペックフライ』では、上記(1)(4)もこのリスク低減に役立っています。
プレスが駄目ならフライをやり込む
ベンチプレスやマシンプレスをやり込んでも大胸筋の反応がイマイチな方や、これら種目で大胸筋の収縮感が乏しい方は、胸にはプレスといった固定概念に囚われず、フライ種目をやり込んでみて下さい。
ボディメイク、ボディビルディングにおいて、種目やトレ手法は所詮筋肥大を得るための手段なので、効き感や筋肥大結果が良くなければ固執することなく柔軟にそれらを変えて取り組めばよいです。
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