筋肥大要因とは筋肥大を誘発する刺激のことです。それは以下の3つだと言われています。
機械的張力(Mechanical tension)
筋肉に強い張力を発生させる
筋損傷(Muscle damage)
筋繊維のミクロレベルの損傷
代謝ストレス(Metabolic stress)
・筋肉に無酸素性代謝産物を蓄積する
・筋肉を低酸素状態、虚血状態にする
この3つの刺激を一度に与えるセット法『M3セット法』を紹介します。
【広告】
M3セット法とは
M3セット法は全ての筋肥大要因を一度に与えるセット法です。
『高重量の反復』段階、『パンプ促進の反復』段階、『伸張性筋収縮を強調した反復』段階で構成しています。
1種目に対して『高重量の反復』段階→『パンプ促進の反復』段階→『伸張性筋収縮を強調した反復』段階の順で反復し、これを1セットと定義します。
各段階について
『高重量の反復』段階
筋肥大要因「機械的張力」を得るための段階です。
「機械的張力」とは筋肉に強い張力を発生させることで、これを手っ取り早く実現させる手段が高重量での反復になります。
『パンプ促進の反復』
筋肥大要因「代謝ストレス」を得るための段階です。
「代謝ストレス」とは筋内環境を悪化(代謝産物の蓄積、低酸素化)させることで、この証が筋肉のパンプ(※)です。パンプを促進させる反復法として『アセンディングレップ法』や『スローレップ法』を採用しています。
※筋肉のパンプとは
代謝物の産生と排出制限により代謝産物が蓄積すると、浸透圧によって筋肉が水膨れする。この状態が筋肉のパンプ。
アセンディングレップ法
『所定の回数まで反復したら重量を増やす』を繰り返す反復法。
出典:BodyConquerチャンネル Justin Compton Machine Fly Ascending Set
M3セット法で採用するアセンディングレップ法は、その合計反復回数が高回数になる様に行います。例えば、以下の様な感じです。↓
合計反復回数が多いアセンディングレップ法は軽重量を用いて、筋疲労を遅らせながら筋繊維動員が高レベルになるまで反復するので、代謝産物を蓄積させるのに効果的です。
但し、重量設定が適切であることが前提で、不適切だと良いパンプは得られません。
スローレップ法
筋肉の緊張を維持しながら行う反復法。この結果として動作がゆっくり(スロー)になる。
出典:Jay Vincentチャンネル How to Perform Chest Fly for Max Gains
スローレップ法は筋緊張を維持しながら反復するので、血管が押しつぶされて筋肉への血流が制限されます。これにより『筋内が低酸素状態』『筋内代謝物の除去が滞る』が起こり、代謝産物の蓄積が促進されます。
また、筋内が低酸素状態なので、比較的軽重量でも酸素を必要としない速筋が使われやすくなるという特徴もあります。
『伸張性筋収縮を強調した反復』
筋肥大要因「筋損傷」を得るための段階です。
「筋損傷」とは筋繊維に微細(ミクロレベル)な損傷を与えることで、これを実現するための反復法として『ネガティブレップ法』や『クイックレップ法』を採用しています。
ネガティブレップ法
伸張性筋収縮のみ行う反復法(戻す動作のみ行う反復方法)。
出典:Ambitious Athleticsチャンネル Eccentric Negative Reps Bench Press
ネガティブレップ法は筋損傷(ミクロレベル)が得られやすい手法です。それ以外にも、以下により筋肥大の促進が期待できます。
- 筋タンパク質合成の上昇(Mooreさん達の研究)
- IGF-1メッセンジャーRNA発現の増加(Shepstoneさん達の研究)
- p70S6K(リン酸化酵素)とRS6(リボソームタンパクS6)のリン酸化増加(Eliassonさん達の研究)
- 速筋繊維の優先的な動員(Nardoneさん達の研究)
- 筋衛星細胞や筋核の増加(Wackerhageさん達のレビュー)。。。等々
クイックレップ法
素早い反復法。特に、素早い切り返しを重視する。
出典:Peebsチャンネル Matt Wenning Speed Bench
クイックレップ法は素早い切り返し動作の際に(勢いづいた負荷を逆方向に加速させる)、強い伸張刺激が入り筋損傷(ミクロレベル)が得られます。
また、この時に速筋繊維が使われやすくなります。
各段階の実施順について
先に書いた通り、1種目に対して『高重量の反復』段階→『パンプ促進の反復』段階→『伸張性筋収縮を強調した反復』段階の順で反復します。
『高重量の反復』段階を最初に実施する理由は単純で、フレッシュなうちに実施する方が高重量を扱えて、より強い筋張力の発生が期待できるからです。
『パンプ促進の反復』段階を2番目実施する理由は、『伸張性筋収縮を強調した反復』段階の使用重量を比較的軽いものに抑えて、関節や軟部組織の負担を減らしたいからです。
(『高重量の反復』『伸張性筋収縮を強調した反復』の2段階で高重量を扱うと、体の負担が大きくなってしまう。)
『伸張性筋収縮を強調した反復』段階を最後に実施する理由は、上記のとおり関節や軟部組織の負担を減らしつつ、伸張刺激の恩恵を受けたいからです。
個人的には、パンプして内圧が高い筋肉を伸張させることで、筋繊維にある『メカノレセプター』への刺激が高まり、筋肥大のシグナル伝達系が活性化することも期待しています。
M3セット法の実施パターン
M3セット法は2パターンで行なうことが多いです。↓
実施パターン1
実施パターン1は、『高重量の反復』『アセンディングレップ法』『ネガティブレップ法』の組み合わせで、1種目に対して以下の様に行います。
これを1セットと定義します。
セット数は3~4セット(不慣れな時期は2セット)で、セット間休息時間は3分以上とります。
実施パターン2
実施パターン2は、『高重量の反復』『スローレップ法』『クイックレップ法』の組み合わせで、1種目に対して以下の様に行います。
これを1セットと定義します。
セット数は3~4セット(不慣れな時期は2セット)で、セット間休息時間は3分以上とります。
実施パターン1と2の各段階の詳細は(使用重量や漸増タイミング、動作テンポなど)、以下の記事をご参照下さい。↓
<実施パターン1の詳細及び具体例>
続きを見る
【筋トレ】筋肥大要因を与えるトレーニング手法『M3セット法』:具体例編①
<実施パターン2の詳細及び具体例>
続きを見る
【筋トレ】筋肥大要因を与えるトレーニング手法『M3セット法』:具体例編②
パーソナルトレーニングのお問い合わせはこちらから
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
札幌パーソナルトレーニングZeal-K
facebook https://www.facebook.com/ZealKenta/
【広告】