私の大胸筋は短所部位で、発達させづらいパーツです。
代表的な大胸筋種目をやり込んでいた頃は、外側エリアが鈍いながらも反応してくれてましたが、内側エリアの発達は乏しいものでした。
そんな私の鈍い大胸筋内側エリアに変化をもたらしてくれた種目の1つが、本日紹介する『バーベル・レバーチェストプレス』です。
この種目の着想は株式会社鍛錬のマシン『ポジティブベンチ』から得ました。このプレス軌道は他社チェストプレスマシンに無いもので、大胸筋の筋活動を引き出してくれる軌道だと直感で理解できました。
ジムにある多くのチェストプレスマシンの軌道は、大体が『前回り軌道系』『後回り軌道系』『外回り軌道系』『直線軌道系』に分類されます。例をあげるとこんな感じです。↓
大多数のチェストプレスマシン軌道
【前回り軌道系】
出典:Matrix Fitnessチャンネル Matrix Fitness | Strength | Ultra Series | Chest Press | Setup & Movements
出典:gymfactoryチャンネル Gymequip-factory.com / Standing Chest Press Machine Plate Loaded
【後回り軌道系】
出典:Nampa Parks & Recreationチャンネル Exercise Spotlight- Precor Converging Chest Press
出典:FITASTICチャンネル Hammer Strength Flat Bench Press
【外回り軌道系】
出典:UKFITNESS HUBチャンネル Exercise Tutorial: Technogym Chest Press Machine
【直線軌道系】
出典:Ultimate Gym Solutionsチャンネル NEW ARRIVAL ✨ Adjustable Chest Press | Ultimate Gym Solutions
出典:Panattaチャンネル Upper Body | Power Smith Dual System Upper | Panatta | FreeWeight Special
出典:Resistance Periodization Smith Machine Bench Press
一方、株式会社鍛錬ポジティブベンチの軌道は『内回り軌道系』になります。
鍛錬ポジティブベンチ軌道
【内回り軌道系】
出典:元気づくりジム 鍛錬 西尾店チャンネル ベンチプレスの筋トレマシン!㈱鍛錬のポジティブベンチの効果&使い方
大胸筋を刺激する軌道で個人的に最も好んでいるものが『内回り軌道系』になります(その理由は後程記します)。
ですが、先に示した通り、この軌道を持つマシンは殆ど製造されていません。この軌道でプレスのトップ位とボトム位に負荷掛けしようとすると、大きなマシンになってしまうからだと思います。
『内回り軌道系』である株式会社鍛錬「ポジティブベンチ」がコンパクトなマシンである理由は、ボトム位は無負荷にしてトップ位エリアで負荷が掛かる設計になっているからです(回転するアームの長さと、回転軸‐体の距離が短くて済む)。
これは大岡社長のトレーニング理論がコンセプトになっていて、敢えてボトム位で負荷が掛からない様にしています。
出典:元気づくりジム 鍛錬 西尾店チャンネル ベンチプレスの筋トレマシン!㈱鍛錬のポジティブベンチの効果&使い方
私の場合は筋肥大においてボトム位の負荷掛けも重視しているので、『内回り軌道系』をトップ位エリアだけでなくボトム位まで負荷がかかる様にしました。その種目が本日紹介する『バーベル・レバーチェストプレス』です。
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バーベル・レバーチェストプレス
パワーラックとバーベルを使用して行います。
バーベルの片端を支点にして行う『内回り軌道』のワンハンドチェストプレスで、こんな感じです。↓
別アングルから。↓
効かせる箇所
この種目で変化か得られた箇所は大胸筋の内側エリアで、特に以下の青色部分になります。↓
『バーベル・レバーチェストプレス』の行い方について説明します。↓
事前準備について
(1)左で行なう場合
使用パワーラック
- ジムの隅にあるパワーラックを使用。
- これ以外のパワーラックは他者の迷惑になるので使用しない。
支点づくり
- パワーラック正面向かって左奥フレームに支点となるラックを設定。
- その高さはプレスのトップ位で負荷抜けしない様に、トップ位でもバーベルが水平にならない高さに設定する。
- その具体的な高さは個人差があるので、実際にプレス動作をして大胸筋の効き具合(良い短縮感と伸張感が得られる)で決定する。
ラックとセイフティバーの高さ
- もう片方のラックは開始時にバーベルが外しやすい高さに設定。
- セイフティバーは安全と大胸筋伸張可動域が確保できる高さに設定。
ベンチの配置
- 壁側(パワーラック正面向かって右側)にベンチを配置。
- 具体的なベンチ配置設定(縦方向・横方向)は実際にプレス動作をして、縦方向は左脇角度60°程度になるよう設定、横方向は大胸筋の効き具合(良い短縮感と伸張感が得られる)で設定する。
ウェイトプレート取り付け
- バーベルの可動側にウェイトプレートを取り付け、ジムにあるカラーで固定する。
上写真はIVANKO製スプリングカラーでウェイトプレートを保持しています。経験上、このカラー1個でプレート50kgの保持が可能であることを確認しています(上限重量までは確認していません)。
カラーの種類・メーカーや劣化具合、支点の高さ(バーベルの傾き具合)によって保持可能なウェイトプレート重量に違いが生じますので、確認する必要があります。
不安な場合はカラー2つ使用するのも良いと思います。
(2)右で行なう場合
設定要領はほぼ『(1)左で行なう場合』と同じです。
違いは支点となるラックをパワーラック正面向かって左手前フレームに設けることです。こうすることで、他者に迷惑をかけないベンチ配置(壁側にベンチ配置)で右もできます。
動作について
反復動作は2パターンあります。
左で行なう場合を例として説明します。右も同じ要領で実施します。
(1)通常パターン
開始姿勢
ラックからバーベル可動側が外しづらい場合は、セイフティバーにバーベル可動側を置いておき、そこから開始しても良いです。また、反復終了しラックに戻しづらい場合もセイフティバーに戻しても良いです。
動作
開始姿勢を維持しながら力強くプレスし、トップ位で2秒程度保持。この時、大胸筋の短縮を感じとる。
⇅
開始姿勢を維持しながら等速2~3秒で下ろし、ボトム位で2秒程度保持。この時、大胸筋の伸張を感じとる。
(2)伸張幅憎パターン
通常パターンと比較して、大胸筋をより伸張させるパターンです。
開始姿勢
ラックからバーベル可動側が外しづらい場合は、セイフティバーにバーベル可動側を置いておき、そこから開始しても良いです。また、反復終了しラックに戻しづらい場合もセイフティバーに戻しても良いです。
動作
体を少し左に傾けながら力強くプレスし、トップ位で2秒程度保持。この時、大胸筋の短縮を感じとる。
⇅
開始姿勢(仰向け)よりほんの少し右に傾くまで体を倒しながら等速2~3秒で下ろし、ボトム位で2秒程度保持。この時、大胸筋の伸張を感じとる。
負荷のバリエーションについて
固定力が弱いカラーしかない場合、使用重量がかなりの高重量になった場合、ウェイトプレートがずり落ちてくる不安が大きい場合は、多くのウェイトプレートが取り付けられません。
そういった場合はチューブを活用します。カラー固定力でおさまるウェイトプレートを取り付け、これにチューブを組み合わせて行います(パワーラック床フレームとバーベルをチューブで繋ぐ)。チューブ自体の強度や長さを変えて過負荷を掛けていきます。
増張力性筋収縮になるので、普段は重力で負荷掛けしている我々にとって新鮮な刺激になり得ます。
この種目の利点
個人差があると思いますが、チェストプレスの軌道で私が最も好んでいるものが『内回り軌道』です。プレス動作・下ろし動作共に大胸筋の動きが非常に良く感じられます。
この種目の利点は3つあります。
①大胸筋の収縮が引き出せる
内回り軌道はプレスの絞り込み動作によくマッチしているので、大胸筋作用「肩関節水平屈曲(腕を内に寄せる)」の軌道を引き出すことができます。その結果、大胸筋の筋収縮も引き出すことができます(他プレスマシンより大胸筋の短縮感が得やすい)。
上述した軌道系(前回り、後回り、外回り、内回り、直線)の中で、『内回り軌道』が絞り込み動作と最も相性が良いと感じています。
②トップ位で負荷が抜けにくい
トップ位でバーベルが水平にならない設定にしているので(バーベルが水平より下にとどまる)、トップ位の負荷が抜けにくいです。
③ボトム位負荷が大胸筋にのる
肩のストレスが明らかに少ない状態でボトム位域の負荷がダイレクトに大胸筋にのります(大胸筋の筋腹にしっかりのる)。下ろし動作の後半から良い伸張刺激が大胸筋に入るということです。
こうなる理由は、脇角度60°程度に設定していることと、内回り軌道によって垂直負荷だけでなく大胸筋筋繊維走行に沿った牽引負荷が適度にかかるからだと考えています。
垂直負荷を適度に大胸筋牽引方向へ分散させることは、肩負担かけず大胸筋の筋腹に負荷を掛ける手段になり得ると思います。上述した軌道系(前回り、後回り、外回り、内回り、直線)の中で、これに最も適した軌道が『内回り軌道』だと感じています。
形をつくる種目として活用
種目はマス系種目と形をつくる種目に分けることができます。
マス系種目とはしっかり力発揮できる種目で、大まかに筋量が得られます。基本的なコンパウンド種目がこれにあたります(ベンチプレスなど)。
形をつくる種目とはマス系種目で刺激が入りづらい箇所をピンポイントで刺激できる種目で(生来持っている筋肉の形を変えるという意味ではない)、その箇所の筋肥大が期待できます。
科学的根拠はまだ乏しいですが、形を作る種目の存在を裏付けるものが出てきています(Zabaleta-Kortaさん達のレビュー)。現時点では、上腕二頭筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋で局所的な肥大が確認されています。
同じ筋肉でも種目や筋活動の様式(短縮性筋収縮や伸張性筋収縮など)によって、肥大箇所が異なる可能性があります。
『バーベル・レバーチェストプレス』は、形をつくる種目として取り入れてみると良いと思います。
この種目を取り入れ始めた頃、マス系種目であるベンチプレスやダンベルプレスを実施した後、刺激が乏しい大胸筋内側エリアを集中的に刺激するためやり込みました。
私にとって、『バーベル・レバーチェストプレス』は大胸筋内側エリアの改善に大いに役立ちました。
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後記
この種目で得られる大胸筋の効き具合がホント好きで、色々なバリエーションを模索していた時期がありました。
笑ってしまう内容ですが、私にとって今後の何かのヒントになり得ると思い、そのいくつかを備忘録として残します。
以下はジムで行なわないで下さい。迷惑がかかります。
やってみようと思う方はいないでしょうが(笑)。
1.Leg Extensionマシンで行なう
レッグエクステンション・マシンとEzバーを組み合わせて行うレバーチェストプレスです。
<セッティング>
<プレス動作>
破天荒な大迷惑系エクササイズである事はわかっています(笑)。これを深夜のジムで誰一人いないことを確認して、こっそりと大胸筋の短縮刺激種目として行っていたこともありました。
この種目が終わるまで人が来ないなんて都合よくいかず、やっている最中に見られ、その羞恥心でやらなくなりました(笑)。
2.両側同時で行なう
パワーラック2台使用して両側同時で行なうバーベル・レバーチェストプレスです、ヤバい(笑)。
<セッティング>
<プレス動作>
私にとってバーベル・レバーチェストプレスは効きが非常に良かったので、どうしてもマス系種目として活用したい思いがあったんですね。それでまさかのパワーラック2台を使用する愚行に走り、両側同時にバーベル・レバーチェストプレスを行っていたことがありました。
これは業務用の強固なパワーラックではできません。自分の体格に合うようにパワーラック2台間の距離を動かして調整する必要があるからです(上写真はインフォグラフィックスなので合ってません)。重すぎで動かせません(笑)。
どこで行なっていたかと言いますと、11年ほど前に会員としてお世話になった個人経営のジムです。北海道に戻ることを決め、その準備期間の数ヶ月お世話になっていたのですが、トレ中に一度も他会員に会ったことが無く、スタッフやオーナーも駐在していない無人ジムでした。
ここにホーム用でプレートホルダーもないパワーラックが2台ありました。軽くて容易に移動できたんです。人も来ないし、こんな絶好の機会は無いと思いやり込んだわけです。
マス系種目として使用重量を伸ばしながら取り組み、非常に良い成果が得られていました。ですが時間切れ。北海道へ帰る日がきてしまい、この種目の継続実施は諦めるしかありませんでした。
この種目は帰郷してから一度も行っていません。あの時の様な好条件を持つジムがありませんから。
この『両側性バーベル・レバーチェストプレス』はジムで実施不可な大迷惑種目ですが、私の中では忘れられないレジェンド胸種目なんです。ジムや他人に迷惑をかけないのであれば即採用する種目です。
私にはある構想があるんですが、それは自分のトレーニングや筋肥大トレーニングの研究を目的としたプライベートジムを作ることです。ここで必ず、愛しい『両側性バーベル・レバーチェストプレス』を再現させようと企んでおります!
後記まで読んで頂き、ありがとうございました。